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【覚醒のアーキタイプ】文明の衝突トーナメント―決勝戦、その前に!―

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【覚醒のアーキタイプ】文明の衝突トーナメント―決勝戦、その前に!―
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1.金色の滅亡者

 アーキタイプのシステムの中心である“太陽”の内部。
 様々な重要な器官が存在しているうちの一つ、“吸憶器官”。
 連れ去られたクロニカが記憶を奪われることを防ぎ、クロニカを救うために多くの特異者らが向かった。

「決勝戦もあるのに厄介なことになったなぁ」
 高いドーム状の天井を見上げてアルトレイ・フィルブレイドは呟いた。
「それでも、クロニカさんが攫われたとなると放っておけないし、その為には吸憶器官の破壊も必要、と。
そこを守る斉天大聖に乗るジローさんを、何とかして足止めしないと厳しい……」
 守護者【氷霧の守護者トルメンタ】で、地面から突き出た様々な形状の岩山のに身を隠すようにして慎重に先へと進む。そうしながらここで自分たちがやるべきことを頭の中で整理する。
「つまり、命を賭けないといけない、ということだな」
「あらあら、また主様は無茶なことを考えてますわね~。
まぁ、アクリャとして主様の手助けが出来るなんて、最高の幸せですし、頑張らなきゃですわね~」
「どんな無茶でも三人いるからできるにゃ! がんばるにゃー!」
 トルメンタにアルトレイと共に搭乗している二人のアクリャの焔辺 光莉アルトニャン・キャスバーハはアルトレイの決意に同調し、戦いに備える。
 光莉はアルトレイの指示でトルメンタの装甲にミラージュアーマーを施す。潜伏中に効果が切れないよう注意する。ただどれくらいもつかはわからないが掛け直しは一回が限度である。
「時間的にも切れるまでにタイミングがくればいいんですけどね~」
 
 その時ドーム状の施設内の空気が動いた。
 揺らめくように全身を金色に輝く毛で覆われた斉天大聖が姿を現わしたのだ。
 同じ滅亡者であるテラコッタと比べても、そのフォルムは生物的である。
 アルトレイがシークレットクロークを使うことで気配を消す。
 そうすることで気配を最小限まで無くして伏兵として動き、敵??ジローの搭乗する滅亡者【斉天大聖】の出方を伺うつもりだった。
 最初から無茶なことをするつもりはなく、ジローの行動を観察し、動きや攻撃パターンの情報を得たかった。
 ??だが、視界に捉えたと思った斉天大聖は、その足元に毛の色と同じような金色に光り輝くものを浮かべ、それに乗る形で、一気に通り抜けた。
「「「速っ」」」
 アルトレイと、光莉とアルトニャンがほぼ同時に小さく呻く。
「ひとつ、ふたつ、あとあっち……ふん、思ったより……」
 斉天大聖の内部でジローは周囲を広く見回す。この場所に来ている特異者の気配を確認しているようだった。
 一直線に通り抜けたかと思うと鋭い角度で曲がり、広大なドームの内側の四方を見回るようにして移動している。
「あれを足止めするのか……」
 アルトレイはできれば器官の破壊にやってきた他の特異者をジローが襲う瞬間を狙いたいと考えていた。一番余裕のない状態、周りを見づらい状況、そういう相手にとって間の悪い時を待ちたい。
 ただ、果たしてそれが上手くいく相手かどうかはわからなかった。


(まともに戦っても厳しい相手、しかも相手が陣取っている場所での戦闘……。
今回で倒すのは厳しいだろうな。)
 ザフィーアⅡに搭乗し斉天大聖に対し距離をとってショックガンを構える万年 忠道も、まずは相手を観察する。
 見た目は巨大な生物の猿そのものである。ただし、守護者と同様に内部にジローが搭乗して動かしているようだ。
 金色の毛並みを逆立て、牙を剥き目を見開いて威嚇されるとかなり怖い。忠道は気を持ち直す。
「徹底的に【相手の実力を引き出せない状況】をつくり、相手に【特異者との戦闘】への苦手意識を与える事ができれば御の字だが……」
 策略家としてのプライドを揺さぶれないかというのが忠道の作戦だった。そのためにもどうにかして罠に嵌めたい。
(あれは……本体なのか、分身なのか、どっちだ?)
 斉天大聖は分身を使い分けてくると聞いているが、生命感知で探るが明確には判断できなかった。だが、たとえ判断できたとしても分身も本体もどちらも強敵なのは変わらないだろう。
「あいつだ……蟲はぶつかって死なないよう動かしてくれ。視界にチラつくよう纏わりつかせてくれればいい」
 忠道は守護者に同乗させているフェローのニードルヘアに指示を出す。
 そしてトライショットでの連射を行う。だが遠距離からのショックガンはやすやすと避けられる。
「あぁ? そこからいくか?」
 そのままあっという間に斉天大聖に接近される。
 忠道の目的は斉天大聖の注意を自分に向けることだった。
 斉天大聖が牙を剥いて咆哮し、手にした如意棒を振りかざす。
 その斉天大聖の顔面にニードルヘアが放った蟲毛針が降りかかり纏わりつく。だが斉天大聖は気にかける様子はない。
 忠道のパートナーであるクシャド・アコプラが空の守護者ヘルグリューンで大精霊の憤怒を拡散させて撃ち放つ。
「俺が守護者様の初のメインパイロットだ!暴れるぜぇ!!」
 クシャドは怯むことなく精霊のシロッコでの熱風を浴びせる。だが斉天大聖が息を一拭きで跳ね返す。
「止まらねーか、じゃあこっちだ、猿流しだ!!!」
 水龍の祟剣を構えてし、水の奔流を巻こし、流そうとする。
「ふはははは! 強いぞぉ! これが守護者様とシャーマンの力だぜ!!」
「クシャド、はしゃぎ過ぎだよ。それに猿いないよ」
 アクリャとしてクシャドのヘルグリューンのサブパイロットとして乗り込んでいるネル・クルーガーが忠告する。
「なに? 逃げられた?」
 水が流れ込んだ先に斉天大聖の姿はなかった。
 ネルは冷静に敵の次の動きを見る。
 (まあ、私も前回はこんな風だったのかな)
 ネルはため息をつきながらクシャドを見遣る。このクシャドを自分がクールアシストでサポートしていかなければならないのだ。

 斉天大聖は別方向に飛ぶと、素早い動きでヘルグリューンへの反撃を行う。
「お前の相手はこっちだ!」
 忠道が前に飛び出し果敢にルビーンウィップソードで攻める。斉天大聖がそれを払おうとして伸ばした如意棒に絡める。
「ニードルヘア、逃げろ」
 緊急脱出装置でニードルヘアを脱出させ、ドレッシングサンダーで機体に電気を纏わせる。
 斉天大聖の金色の毛が青白い電撃の波に逆立つ。
「よう……こんな凡人の……みえみえの罠にかかりに行かなくちゃいけなくなった気分ってのはどうだ?」
 忠道にしてみればまんまと罠にかけたことで斉天大聖??その中の人のジローの精神的なダメージを狙ったつもりだった。
 だが、斉天大聖は特に反応することなく如意棒をさらに大きく張りかざすとルビーンウィップソードを振り払い、返す動きでザフィーアⅡに突き刺す。
 忠道のアクリャのいない守護者では接近戦ではとても斉天大聖のパワーには敵わなかった。斉天大聖は如意棒を振り回す。
「ぐあっ」
 棒の先でザフィーアⅡが激しく揺さぶられ、遠くへ投げ落とされた。
「万年!」
 クシャドのヘルグリューンが祖霊の一撃を放つ。だがそれも斉天大聖が素早く動き躱される。
「クシャド! あっち!」
 ネルが斉天大聖方向をクシャドに指示するがなかなか追いつけない。斉天大聖がザフィーアⅡに止めを刺そうとした。

「ここだ!」
 様子を見ていたアルトレイのトルメンタが挟み撃ちにするようにしてシークレットクロークを解除、ハチドリの護符を解放してホバリング状態から突撃する。
「キャス! 光莉!」
 アルトレイの指示で二人がスーパーナチュラルミサイルを放つ。僅かな差で斉天大聖が身を引くが爆風で態勢を崩す。
 そのミサイルの爆風に巻き込まれないよう回り込みながら両腕の【セリオン】【ラファーガ】の刃を4つずつに展開する。
 だがミサイルの爆煙の中から現れたのは二体の斉天大聖だった。
「分身か……」
 待ち構えるようにしてその内の一体にアルトレイがウィップソードツヴァイでの攻撃を浴びせる。上下空間からの八刃の攻撃で包囲し、鋭い複雑な刃の動きで封じる。
 だが斉天大聖もまた短く戻した如意棒の高速の動きで対応し、刃の幾つかが破壊される。
「タイミングがシビアですわね?。ちゃんと見極めてかけないといけませんわね~」
 アルトレイの呼吸を読んだ光莉がサンアタックで強化したトルメンタのオーラを纏った二刀ジェメリで、アルトレイがディスラプトラッシュを仕掛ける。
 ウィップソードの素早い連続攻撃で斉天大聖の全身が刻まれたように思えた。
 だが、消えた。
 それは分身のほうだった。
 本体の方は如意棒をクシャドのヘルグリューンに突き刺してを岩石に縫い付けていた。その棒を引き抜くとヘルグリューンは地上に倒れこんだ。クシャドたちは失神しているようだった。
「くっ」
 本体へと向かいたかったがアルトレイは激しく精神を消耗していた。
 スロートワイヤレスでアルトレイに通信が入る。
「本体には私たちが向かいます。ヘルグリューンを保護してください」


「あれが……邪魔者……圧倒的ね」
 アルトレイらに代わって砂月 秋良が【守護者クレイドル】から斉天大聖の姿を捉え、突入する。
「大きな金色のお猿さん……これが滅亡者、なんですね……」
 デューン・ブレーカーが興味深げに敵の姿を見つめる。
 滅亡者である斉天大聖は本当に中にジローが搭乗して操縦しているのか疑いたくなるくらいにその動きは生き物の猿そのものだった。
 足元を金色に光る雲を纏わせ自在に高速で飛び回り、その動きを追うだけでも大変だった。
「でも、行くんですよね、なら、一緒に行きますよ! 私はあなたのアクリャなんですから!
ブースト!」
 太陽の欠片で魔力を増幅させ、アクリャ用インカムで機体の機動性を向上させる。
「これが神、ってやつなのね……でも、引かないのよね……ホント、しょうがないわね……」
 サブパイロットとして乗り込んでいるもう一人のアクリャのレヴィーア・ファルトナーもふいに仕掛けられる攻撃に対しエネルギーシールドで防御する。
 盾での防御力はデューンも力を合わせる。
 斉天大聖がその如意棒を構えた姿勢から伸ばす。まるで銃弾のような速さで突かれた突き抜かれる衝撃で盾ごとクレイドルの機体が吹っ飛ぶ。
「ま、まだ大丈夫……直せます!」
 少しでも機体に損傷を受けるとデューンがガーディアンリペアで修復する。
 わずかな戦闘でもパワーと素早さの圧倒的な差に秋良は息を飲む。
(それでも……大切な人を助けようとする人がいて……そこに私がいるのであれば、私は手を出します。)
 戦って勝てる相手ではないかもしれない。でもだからといって戦わない理由にはならない。
「いきますよ、レヴィーア、デューン、出し惜しみはなしです」
 受けて立つようにして再び斉天大聖が二体に分かれる。どちらも同等の戦闘力があり区別がつかない。

 ――今のうちに。
 特異者と斉天大聖との激しい戦闘から離れた場所を素早く移動していく幾つかの気配があった。装置の破壊に向かう人たちだろう。
 斉天大聖はすぐその動きを察知したようで、分身がその気配を追う。
「あなたの相手はわたしです……!」
 秋良はインテュイションで本能を研ぎ澄ませ、コンセントレーションの集中力で相手の動きの先を読み取る。秋良もまた太刀の刀身を伸ばし、攻撃範囲を広げて応戦する。
 実際、パーフェクトリードでの予測を持ってしてでなければ斉天大聖とまともにやりあうことはできなかった。
「【クレイドル】……【漂流砂刃】、私に応えてください……やりたいことをやり抜くために……」
 斉天大聖が突き出す如意棒によって接近する度にクレイドルは衝撃を受けてどこかを損傷する。装甲を破損する。
 だが、斉天大聖に対して全く手が出せていないわけではなかった。
 火花や激しい斬り合いの音が響く。
「デューンは秋良自身の回復もお願い、あのやり方じゃ長くはもたないから、回復は必ず必要よ!
あなたもこれを食べながらそれやりなさい!」
「もごもご」
 レヴィーアが黄金バナナをデューンの口に押し込んで体力と精神力を回復させ、リプレイスメントで秋良の魔力と精神力の回復を指示する。
 やり方は若干乱暴だが、手際よく3人の体力を管理維持し、斉天大聖との戦いを維持させる。
 秋良もパートナーたちの思いに応える。
「今……この一撃に持てる力のすべてを込めて……!」
 セカンドスラスターをオンにして、一撃に思いを込める。
(相手の隙を見逃すな……その瞬間にすべてを込めて……友に貰ったこの刃を叩き込む!)
 より一層大きな衝撃音が響く。相打ちとなった、ように見えた。
 土煙が舞い、その中から先へと動いたのは斉天大聖だった。ただ、かなりの足止めにはなった。


 その斉天大聖の特異者との戦いの動きを把握し、一気に危険地帯を駆け抜けようとしている影の一つは閃鈴 内名だった。
「記憶を奪おうだなんて許せませんね……その方の人生そのものでもあるのです。
時間も限られています……このひととき、この一瞬、集中します……」
 シークレットクロークでオーラを断ち、味方の位置と破壊対象の位置をよく見て隙間を探しながらの移動だった。
 リトルガーディアンを装着し、アニマルローブで移動速度を上げて一撃を入れるタイミングを計る。
 吸憶器官に向かう内名と、その気配を追う斉天大聖の攻防が繰り広げられる。
 同じ大きさであればとても斉天大聖を振り切れるものではない。ただ巨大化している分、石の柱の隙間を細やかに移動する内名が若干有利だった。だが当然一撃でも攻撃を食らえばお終いだろう。如意棒が内名のすぐ近くの地面を抉り、石柱を砕く。デッドオアアライブでギリギリで攻撃を回避する。
「……破壊さえ出来れば私の命は安いもの、クロニカ・グローリーさんの記憶は沢山の命が詰まってしますからね……」
 だが、その内名に斉天大聖が迫る。
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