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【覚醒のアーキタイプ】文明の衝突トーナメント―決勝戦、その前に!―

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【覚醒のアーキタイプ】文明の衝突トーナメント―決勝戦、その前に!―
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2.魔犬、哮天

 鈴奈の危機を救ったのは哮天との戦いの場に飛び込んできた世良 潤也だった。
 潤也はパートナーと連携攻撃で哮天に立ち向かう。
「クロニカさんには……ワールドホライゾンが初めて第1世界アルテラにつながったときからお世話になっているんだ……!」
 その思いはアリーチェ・ビブリオテカリオも同じだった。アリーチェは第二世界のゴダムに繋がってからお世話になっていた。
 そのクロニカをどうにかして救い出したかった。
 
 触れた相手に高圧電流を流すスタンウィップを繰り出す。だがリアリティクローゼットから取り出したドレッシングウィンドをまとうことで素早さを上昇させて哮天の動きにどうにかついていくことはできても、武器を当てることは至難の技だった。
 潤也が時間を作っている間にアリーチェもチャンスを見て最大級のフレアーボムを作り哮天を攻撃しようとする。
「クロニカさんに手を出した報いは、きっちり受けてもらうからね!」
「これ以上、お前と遊んでる暇はないんだ。クロニカさんは返してもらうぜ!」
 だが哮天の牙による噛みつきは激しく、獣人形態時の爪による一閃もあった。潤也も、デッドオアアライブを使ってのギリギリの攻防戦を繰り広げる。
 何とかしてスタンウィップでの攻撃で哮天を縛り上げ、高圧電流を流して動きを鈍らせるのが狙いだった。
 だが哮天はそんな潤也の意図を見透かすように元の犬の大きさに戻ると素早さを上げてスタンウィップには触れないように躱す。
 そして僅かな一瞬、潤也の腕から血しぶきが散る。手からスタンウィップが落ちる。
「うぐっ……!」
「潤也!」
「アリーチェ、今だ!」
 潤也が戦っている間にアリーチェが最大級まで大きくしたフレアーボムを哮天へ撃ち込む。哮天の体を高い熱と質量が包みそのまま壁へと激突させた。
 だがシールドを纏った哮天は傷を負うことなく立ち上がる。
 その哮天を、続けて別方向からのウィップサイクロンが襲う。
 哮天の体が一瞬巻き上げられるようにして持ち上がる。そのまま壁に叩きつけられそうになるが、哮天は新たな相手に対し少し後退し攻撃態勢を取る。
「今のうちに離れろ!」
 畳み掛けるようにして先制攻撃を繰り出すのは草薙 大和だった。
 大和はクロニカの身を案じ、一刻でも早く救出する方法を考える。そのためにも番犬の目をこちらに引きつける必要があると考えていた。
「記憶を覗くためにプロテクトを強引にこじ開けようだなんて……、クロニカさんにどれほどの負担がかかるか分かったもんじゃない」
【BRウィップソード】でのウィップサイクロンを仕掛け、魔犬を自分に引きつける。
 竜巻の勢いの中で鋭い刃で周囲の壁が刻まれ、哮天が警戒して後退する。
「魔犬をできるだけ牢獄から引き離すです……!」
 草薙 コロナがその哮天が移動する絶妙な位置の足元にバナナトラップ破を仕掛けておいたが、匂いでわかるのか哮天には避けられてしまった。
「う、やはりダメなのです……」
 哮天がぎろりとした視線をコロナに向ける。
「わ、わたしのほうに向きすぎるのも困るです……!」
 コロナも大和も衝撃に備えたレイダースーツを装着しているとはいえ、強力な一撃を受ければそこでお終いとなるだろう。
 必死にウィップバーストを繰り出し、逃れる。
 大和も先の先で哮天が動く鼻先へとウィップソードの攻撃を繰り出し、相手の攻撃をコンセントレーションの集中力とデッドオアアライブの回避能力でギリギリで躱す。
 お互い毛先や衣服の先を刻みながらの交戦が繰り出される。
 わずかな戦いでもかなりの集中力を使い息が上がる。だが大和たちもただ逃げ回っていただけではない。
(とにかく、できるかぎり時間を稼がなければ……!)

 その機会を見計らうようにして更にミサイルが哮天に向けて発射された。
 哮天を吹き飛ばすようにして一層牢獄から離れた場所へと移動させる。
 ミサイルは黒瀬 心美のコンキスタドールから撃たれたものだった。
「ホライゾンの中枢ともいえるクロニカが攫われちまうなんてねぇ……。
ライブラリの事を抜きにしても、クロニカとはアタシが特異者として覚醒してからずっと世話になって来た仲だ。
助けに行く理由なんざそれで十分」
 クロニカに対する思いは誰もが同じだった。
「アーキタイプのシステムだか何だか知らないが、クロニカは返してもらう!」

 心美はリアリティクロークを纏い、ここまで牢獄内の防衛システムはレイダースウェイで躱しつつブレイクスルーで突破してきた。
 下手に武器で切り払うといったり直接触れないよう、ミサイルで迎撃した。
「心愛、クロニカの居場所が分かるかい?」
 アクリャとして乗り込んでいる黒瀬 心愛に確認する。ある程度の居場所はリサ・グッドマンからの情報を得ていたが、それ以降移動したりしていないか確認する。
 心愛はホライゾンウォッチで残り時間を常に確認しながら、感応によって防衛システムを探知して回避し、サイコメトリーで周囲の地面や壁からクロニカが連れてこられた時の経緯などを読み取れるかどうかを試みる。
 読み取れるものは漠然とした空間の中をトライポッドに運ばれるクロニカの姿だけだった。
(囚われている場所や現在の状態……最悪、方角だけでも分かれば、探す時間は短縮出来る……)
 クロニカが囚われている場所の見当をつけ、トラップディスカバードを飛ばして捜索開始してクロニカが捕らわれている方向を目指していた。
 
 
 哮天も守護者に対応するために大型に変化する。
 小回りのできる犬型と大きなパワーをもつ大型獣人化を使い分けて特異者に対応するようだった。
 素早い動きで駆け、コンキスタドールの背に取り付く。
「……そこまでして邪魔をするかね」
 心美は哮天を振り払い、ガーディアンバスターで切りかかる。
 その流れでウィップサイクロンで竜巻を起す。
 だがその時哮天の姿が消えた。元の犬の大きさに戻って攻撃を回避したのだった。
 そしてコンキスタドールの死角で哮天は大型化する。
「面倒な相手だね」
 そこに姿を現したもう一体の守護者が立ち向かってきた。
 アクセル・ハートビーツの【蒼風の守護者・レゾナント】だった。
 斉天大聖の足止めに多くの特異者が倒れ、そしてまだ今も戦いの最中である様子だったが、その中には、友人もまた果敢に立ち向かって今は動けない状態となっていると聞いている。
「ったく、オレの友人は相変わらずだナ……。
斉天大聖相手に持てる力のすべてを使って無理をする、横槍無用ときたもんだ。
なら、一刻も早く哮天を倒しクロニカを救わねーとだゼ。
それが友へできるせめての手助けだ……行くゼ!」
 リアリティクローゼットでドレッシングウィンドを纏い、スラスターで高めた機動力で戦う。
 哮天も咆哮し、レゾナントに飛びかかってくる。
 爪や牙などでの攻撃に対応するために刀身にオーラを纏わせて切れ味を増加させた二刀のブレードを用いる。
 哮天に向けてリディエール・マキシマイザーがアクセルをフォローする為にマキシマム・ブラスターでの砲撃も随時行うことで一切の隙を作らないようにした。
 レナ・ハーモニクスはアクリャ用インカムを用いてアクセルのサポートを行う。
「ふふっ、マスターたるアクセルの友人なら我にとっても大切な相手じゃな。
それに彼女には我が愛用しているヴェールを贈ってもらった恩もある、少しでも力になりたいのう」
 ゴールデンルールでレゾナントの機体性能は底上げしてあった。
 サポートしながらアナリティクスによって情報を収集し分析していたが、これまでの戦いの様子の情報から哮天の攻撃に対し防御はあまり意味をなさないようだった。
 おそらく哮天の持つリアリティクロークの性質だろう。エネルギーシールドでの防御が用を成さなかった。
 逆に哮天の鋭い一閃はレゾナントの装甲の数カ所を刻まれる。
「ううむ、やはり簡単には行かない相手ではあるのう」
「そうだな……」
 ただ、それだけにアクセルも戦り甲斐がある相手としていた。
「そろそろやらせてもらうゼ? オマエの親分と戦ってるオレの友人が心配なんでね、いつまでも遊んでらんねーんだよ!」
「ゆくぞ、リディエール! クフフ、ヘマするでないぞ?」
「Full throttle! レナこそ遅れないでよねーだ!」
 レナがクロックアップで機体速度を限界まで上げ、リディエールがレゾナントの足元をトライアルブーツのローラースケート状にし、地面を滑るように移動、ツインマニューバーで三人の思考を共有する。
「これが……オレ達のレゾナントだ!」
「これが……我達のレゾナントじゃ!」
「これが……私たちのレゾナントだよ!」
 パーフェクトリードの集中力で哮天の位置を捉え、インテュイションでレゾナントの二刀の連撃を浴びせる。それらは哮天に躱されるが、【刻剣カイロス】の刃を空中に複数転写する。
 そのタイミングでリディエールがドレッシングチェーンを放ち、ハイパーナチュラルミサイルで攻撃する。
 レナとリディの攻撃も合わせて逃げ場のない全方位攻撃で封殺する。
 哮天はドレッシングチェーンから逃れるために犬に戻るが、ミサイルや全方位攻撃によって吹き飛ばされる。
「マスターの力になるのがサーヴァントである私の使命だもんね!
I’m ready! 頼りにしてよね、マスター♪」
「ああ……、だが、まだ終わりじゃない」
 吹き飛ばされた先、立ち上がる影があった。
 シールドによって哮天はダメージはさほど受けてはいないようだった。
 アクセルは戦闘態勢を取る。
 心美もガーディアンバスターを構え、心愛もいつでもスーパーナチュラルミサイルを撃てるよう待機する。
 哮天が犬化してすり抜けることがないよう、大和もウィップソードを構えて警戒する。
 哮天とはしばらくそうやって特異者側とにらみ合うかたちとなった。
 短い時間でも哮天との戦闘は特異者らはかなり消耗した。ただ、少なくとも哮天をそうして“牢獄”からは引き離すことには成功していた。
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