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エルベ砂漠の戦い

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エルベ砂漠の戦い
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【移動開始】


「これより皆さんの誘導を行います小山田小太郎です。よろしくお願い致します」

うずらと共に移動しなかった避難民達に対し、小山田 小太郎は前に立って声を上げた。
その姿を八代 優とエアロシップに乗った八葉 蓮花がどこか心配そうに見つめている。

「……こちらへ、どうぞ……」
「移動な困難な方がまだいらっしゃいましたらおしゃってください! 自分がお連れします」

多くの避難民がけがを負っている現状、動けないとまでは言わずとも、移動が困難な人はまだ多く残されていた。中には痛みから嫌實態度をとる避難民もいたが、小太郎は無心無想を用い、どんな人にも穏やかに接していた。さらに無我の境地を用いて他人の心情を読み取り、不安な人へ仏の顔を浮かべながら話しかけている。

「無理しちゃ……だめよ……?」

そんな小太郎の後ろをついて歩く優は、観察眼で人々の機微を確認し、少しでもけがを負っている人が残っていれば、すぐに治療して回っている。

やがて、二人の甲斐もあり、今から危険な戦場を移動しなければならない恐怖で揺れていた避難民の心は落ち着いていった。

「……戒兄……こっちの道が一番安全そう……」
「あぁ、俺もこっちの道が一番安全だと思うぜ」

少し先の様子を見ていたシア・クロイツ永澄 怜磨が、小太郎と共に避難民の誘導準備を進めていた戒、そして綾坂 春奈の元へと戻ってきた。

彼女達はそれぞれ“戦場の匂い”、“エスケープセンス”を用いて戦いの雰囲気を感じ取っていたのだった。
こちらに戦う力のない避難民がいる以上、戦闘は極力避けなければならない。

戒は頷くと、導き出されたルートを元に、避難民たちを誘導しエアロシップへと移動を始めた。




「マスター! まずいわ! 敵軍よ、そっちに向かっているわ!」

避難民たちが移動を開始して少し経った頃、ペガサスに乗って先頭集団を誘導していた戒のもとへ、アヒルからの通信が入った。
なんでも、避難民や食料の積込みを終えたアヒルが出発しようとしたところ、敵集団を発見、見つかりはしなかったものの、複数の敵部隊がオアシスの方へと向かっているとのことだった。

未だオアシスには複数の避難民たちが残されている。
敵軍に見つかればひとたまりもないだろう。

「大丈夫ですに、私達の小隊を向かわせたですに」

その通信に割り込むような形で入ってきたのは、コミュニ・セラフ
輸送用エアロシップの上空で待機していた彼女たちは僚機スカイライダーRVerを用いてオアシスと移動経路を常に警戒させていた。
おそらくアヒルと同タイミングで敵軍を発見し、すぐにサジー・パルザンソンファイアヘッズ・トランスポーターへと連絡、彼らが向かってくれたと考えられる。


「……待って戒兄……この先も、嫌なにおいがする……」
「あぁ、ヤな感じがするぜ……」

それはシアが感じ取った、戦場の匂いだった――


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