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エルベ砂漠の戦い

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エルベ砂漠の戦い
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【避難民との邂逅】


砂漠に残った僅かな緑。
僅かな水を湛えているオアシスへと、特異者たちは各々それぞれの方法で向かっていた。

道中、九曜 すばるは敵に見つからないよう注意を払いながら上空へと飛翔し、下を見下ろすことで、避難船の位置や、周囲に大きな敵影ないことを確認する。

だが、オアシスの周囲は当然ながら高い木々などはない為、敵影は発見しやすいだろう。

「……砂丘の裏までは確認できないか……」

砂漠地帯となるエルベ砂漠には、多くの砂丘があり、その大きさはメタルキャヴァルリィであってもたやすく隠してしまうほど。
もしも砂丘を乗り越えた時に敵がいた場合には、遮蔽物がない為、隠れることもできず、戦闘は避けられないだろう。

「敵が現れるとしたら砂丘の裏からだろうな。護衛してくれる方はそちらへの警戒を強くしてください」

クールアシストでそう分析すると、すばるは仲間にそう連絡した。
そして他の特異者達と共に避難民たちの近くへと着陸する。

「だっ誰!? 私たちを殺してもどうにもならないわよ!」
「うわーー! また怖い人たちだぁ!」

特異者達が現れるや否や、避難民たちは突如現れた人影に半パニック状態へと陥った。
今までの逃避行が相当過酷だったのだろう。多くの人がどこかしらに怪我を負っている。

「安心してください。私たちはあなた方の味方です。」

戒・クレイルはペガサスから降り立つと、身に着けていたラディア王国軍軍服を見せ、避難民たちに向け笑顔を見せる。
さらにすばるは清澄の唄声を用いて歌を聞かせ、避難民たちは落ち着きを取り戻した。

少し離れた後方では、メタルキャヴァルリィ同士が戦う、激しい戦闘の音が響いている。
激しい戦いの音は、避難民たちの不安を煽るには十分すぎるだろう。

「エアロシップに乗れば助かる。もう少し頑張ろう」
「そうにゃよ! 生きてる限り負けじゃないにゃ!」

怯えている子供たちに、うずら 君とすばるは“癒し系ナビゲート”を用い、励まして回った。
戒のライトオブライフの効果もあり、避難民たちは完全に特異者達を信用してくれたようだ。

「けがをしている人はいますかー?」

避難民たちが気を許してくれたところで、波多 南はその間を縫うように“癒し系ナビゲート”を用いながら練り歩く。
そして、けが人を見つけ次第、ハートケアや整体術によって治療を施していった。

「ボク達が来たからにはもう大丈夫!泥船に乗ったつもりで任せてよ!」

「嬢ちゃん……それ沈んじゃわないかね……?」

「あはは、冗談冗談!ツッコミ入れるぐらいの元気があれば心配いらないね!」

祝福の書とホワイトケープを持った南の言動は大地母神キュベレーを神聖視している避難民たちにとって大きな励みとなっていた。
彼女の渡したラディアポーションも人々の喉を潤し、特に小さな子供には効果が高かったようだ。

さらに、ミズ ポーの“簡易手当”と、すばるによる救急セットを用いた応急手当も行われた。
途中行われたカドゥケウスと療養のお香も、避難民達を癒すのに一役買っている。


「みなさん、近くで僕の仲間が避難用の乗り物を用意しています!
 怪我をしている方を優先してそちらへ移動してください! それ以外の方は僕たちが誘導します!」
 
多くの避難民が落ち着き、体調を整えつつあることを確認すると、戒がそう口を開いた。
ブレイブボイスを用いた彼の声は、避難民に対して、勇気を与えている。
 
「ご主人! ボクも食べ物を確保しながらアヒさんのところに向かうにゃ!」
「ありがとう、うずら君。何かあったらすぐに連絡しておくれ」

「了解にゃ!」

うずらはそう言うと、少数の避難民を率いてAHI RUのエア・クッション型揚陸艇へと向かった。“励ましの歌”を歌いながら先導する彼の後ろへ、怪我をした人々がゆっくりとついていった。

「私も動けない人を背負って、そちらの方へ向かいますね」

それに伴い、ミズ・ポーも老人を背負い、うずらの後を追う。
彼女もまた、“応援”で辛そうな人たちを鼓舞することを忘れず、避難民たちをはげましている。


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