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エルベ砂漠の戦い

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エルベ砂漠の戦い
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【Trap to Trap】


 特異者達から1度距離をあけたフォルティス隊。1度態勢を整えるべく、自分達の状況を確認する。
 現在1機が損傷により機体性能が下がってはいるが、まだどうにか相手側よりも早く行動する事は可能なようだ。それはここまで距離を離してきた事で分かっている事。
 損傷をしている機体に乗る部下も「まだ戦える」という強い言葉を言っている事でフォルティスはまだ戦う事を決める。
「なかなか楽しい状況ではあるな」
 下手な兵士であればあの攻撃を受けて全滅もあり得ただろう。しかし、フォルティスはすぐに状況を判断して部下たちが更にダメージを受けないようにとすぐに引く事を決定した。こうしてすぐ引く事を判断出来る人物もまた強者であるといえる。
 態勢を整えた後に目視で1機だけ周囲を見渡している機体を発見する。しかし、ここまでで囮として出て来ていた者もいた事を踏まえてフォルティスは僚機達に距離を取らせるように指示を出す。
「敵がいました……けど、1機? どういう事でしょう……」
 周囲を確認していた機体、ファントムRVerに搭乗していたのは焔生 たまだった。彼女も僚機を連れずに1機だけで行動をしていた。
「……相手は新型。何もせずに釣る事が出来たのであればある意味良かった、のでしょうか」
 たまは少し引っかかる事もあるが、現状こうしてフォルティスだけがこちらへ向かってきている事を良い方向へと捉える事にする。
 そう、釣る事が出来たということはたまもまた自身を囮にしてフォルティスを釣る作戦でいた。しかし、こうしてフォルティスのみがこちらへやってきてくれているのであればそれを上手く使う手はない。
 ビームガンを構えて神経を研ぎ澄ませて放っていく。やはりと言っていいのか、それをフォルティスは避けながらこちらへと高速で近付いてくる。
 そしてある程度近づいてきた所でフォルティスに襲い掛かるようにしてもう1機の機体が飛び出してくる。
「ラディア王国のサキス・クレアシオン出る!」
 フォルティスを吶喊しつつ横から強襲に出るサキス・クレアシオン。オフェンスシフトを取って僚機には囲まれないようにだけ現在は指示を出している。
「やはり囮か」
 この状況にフォルティスはまだ余裕の表情である。部下たちに距離を取るように指示をしているので、現在4対1の状況であるが、すぐにその数は逆転するだろう。
「やっぱり1人で来たわけじゃなかったみたいですね……」
 ライトクルーザー級エアロシップに乗るシスカ・ティルヘイムが戦況の確認を行っていた。たまが引っかかっていたのはこの部分だったのだ。
 ここまでは僚機のいない者を狙って優先的に相手をしていたようだが、それには僚機を援護させるようにしてある程度援護が出来る距離だけを取らせていた。しかし、この状況になってフォルティスは更に自身と距離を取るよう指示。ここまでで囮を作戦としてきた者達がいた為に囮作戦は看破されていたと言う事だろう。
 シスカはこの現状からの位置把握を行う。
 現在フォルティスと戦っているのはたまとサキス、その僚機の2機。彼女達から少し離れた所から敵の僚機が近付いてきており、すでに射程圏内へと入っているようだ。
「スカイライダー2機はすぐに2人の援護へ行ってください」
 この状態では彼女達が不利になるのは必然だろう。すぐに自身の随伴させているスカイライダーRVer2機へと前線へ行くように指示を送る。
 シスカの動きを見てすぐにフィン・ランカスターも行動を開始する。
 彼女はペガサスに乗り、ペガサスリッターの6人と一緒に空中からの攻撃を担当している。しかし、生身で相手のマシンガンを受けた場合は致命傷になってしまうだろう。
「きちんと隊を崩さずにお願い。何かあれば必ずフォローをしていくのよ」
 フィンはペガサスリッターの皆へと指示を出して、シスカのスカイライダーについていくようにして少しずつ高度を上げながら前線へと向かう。
「敵もまだ数がいたか」
 たまとサキスを相手にしながらフォルティスも戦況を確認していた。反応しなかった機器は再び使える事が出来るようになった事で、再び目視だけに頼らなくてよくはなっている。
「隊長機は私とたまちゃんで叩く。二人は敵僚機を」
 サキスは随伴しているファントム強化型の僚機へと指示を送る。こちらへはフィン自身やシスカが送ってくれた者達がこちらへと向かっているだろう。
 敵の僚機は皆へと任せて2人でフォルティスの相手を行う。
 フィンは試製AMライフルを構えて敵僚機を狙う。フィンが狙った事に相手は気付くが、そこはペガサスリッターの1人がカバーするようにして槍にて攻撃を仕掛けてくれる。
「1機だけでも……!」
 フィンはトリガーを引くが、そこへ敵のファントムからの射撃のよって邪魔をされてしまう。狙いが外れた事によって撃墜する事は出来なかったが、その1発は敵の腹部へとかすったようだ。相手の機体の腹部が少しだけ削れているのが分かる。
(まだ戦えるみたいだが――)
 すでにフォルティス隊の2人が損傷した事になる。下手をして彼らが大破する事だけは絶対にさけたいと考えているフォルティス。
「損傷はどのくらいだ?」
「1割くらいでしょうか、まだ大丈夫です!」
「分かった」
 今はこの言葉を信用するしかないだろう。しかし、無理はやはりさせられない。再びフォルティスは相手から距離を取るようにして戦うように指示。自身もまた、たまとサキスから離れるようにして一気に引き離していく。
 その引き離そうとしている姿を見付けた天峰 真希那は近づくようにして一気に距離を詰めていく。
「狙うは敵指揮官のみ! いくぞっ!」
 真希那がいた方向はそのまま真っ直ぐ近づいていけば彼等が距離を開こうとしている方向へとぶつかる位置。このまま進めばフォルティス隊と戦う事になるだろう。
「お前が指揮官だな? その首、貰い受けるっ!!」
 ダブルアクセルを用いて通常よりも速くフォルティスへと妖刀【黒牙】にて斬りかかる。しかし、真希那が近付いてきた事に気付いていたフォルティスはそれを回避、僚機達に真希那を狙うように指示を送る。
「俺はこのまま指揮官を狙う。そっちは頼んだぞ」
 真希那は一緒にきたオオカミ乗りへとそう指示を出す。ただ、相手の武器はマシンガンである為にオオカミで攻撃をするのは一苦労だろう。
 この1対1の今の内にフォルティスを叩きたいと考える真希那だが、やはりフォルティスの方が一枚上手のようだ。巧みな盾捌き、そして剣での返し方などで当てる事が出来ない。
「こんなすぐやるつもりはなかったが……やるしかないな」
「何をするつもりだ……」
 一瞬動きを止めた真希那にフォルティスは疑問を持つ。そして、真希那の乗るサイフォス先行型から煙が上がる。
「マスターから煙幕が上がった……!」
 離れた場所では真希那と同じくサイフォス先行型へと乗っているリーオ・L・コルネリアがロングレンジライフルを構えて準備を行っていた。
 この煙幕を使ったと言う事はリーオの射撃する瞬間が近付いていると言う事。しっかり、ロックオンをして敵の弱点を突かなくてはならない。
 煙によって生まれた真希那の分身。その分身がフォルティスに向けて突撃をしていく。しかし、その攻撃は避けられてしまった。ただ、狙いはこれではない。
 煙によって出来た分身だが、フォルティスが操る機体のホバーによる風で徐々にその分身が消えかかっている。それによってフォルティスはこの煙が本体ではない事を知る。
「……この一撃で、お前を仕留める」
 煙に乗じて納刀していた刀の柄を持って構えていた真希那。そのまま敵へと突撃をしていく。
「今!」
 それを見たリーオは引き金を引く。
 フォルティスは真希那の攻撃を1度避けて距離を取る。しかし、そこへリーオの放った一撃が飛んできていた。
「くっ! 盾で!」
 銃弾を盾で受け止めると更に真希那と距離を空ける。ここで妖刀【黒牙】の力を解放し、刃を巨大化させる事で追い打ちを考えていたのだが、そこまで距離を空けられると当たらない事が分かる。下手にここで力を使ってしまっては戦いが続けられなくなってしまう。
 小隊でのヒットアンドアウェイ戦法を取るのであればフォルティスはここで一旦引く事を考えた。ダメージを負っている部下たちの事を考えるとそれが一番良い考えだろう。それに相手がどのようにこちらを攻撃してくるのかを考えれば、こちらも数で囲まれないようにして動くのが最適と考えた。
「距離を取る、1度離脱しろ」
「了解!」
 僚機から返事が来る。それによってこの状況から1度距離を取る事にした。ただ距離を空けるだけであれば特異者達は機体性能からフォルティスに追いつく事が出来ない。
 この小隊ヒットアンドアウェイの動きは非常にやってかいになっており、今度は特異者達が更なる一手が出せないでいた。
「ちょっと待ったー!」
 イーグルデザートに乗るフォルティスは僚機達と比べて速度があり、調節しなければ置いていってしまう可能性がある為、殿を務めるようにしてフォルティスは動いている。そこに引き留めるペガサスリッターを連れたサイフォス先行型の影。
「強者とお見受けした。それがしは白波芙蓉! 武人として、是非手合わせ願いたい!」
 そこを止めたのは白波 芙蓉だった。
 いつもならば神前 藤麻が一緒にいる時もあるのだが、今回は別行動を取っており、この場所にはおらず1人でやってきていた。
「……あいつらは引き離し、近くには誰もいない……勇敢なのか無謀なのか」
 フォルティスは芙蓉を見ながらそう呟く。ただ、そうその気構えは嫌いではない。
「さあ、来られよ! “戦争屋”の技、この目に見せていただこう!」
「面白い。そっちも連れがいるんだ、こちらもそうさせてもらう!」
 サイフォス先行型とイーグルデザートがぶつかる。やはり、フォルティスの戦い方は非常に上手く芙蓉の剣撃は盾で防がれたりいなされたりと攻撃を当てる事はままならない。
 僚機のペガサスリッターはフォルティス隊の者達に当たっているがやはり、生身であり武器が槍であるからか時間をもう稼ぐことは出来ないだろう。
「流石“戦争屋”と言われる事だけはある!」
 芙蓉はきちんと残心を取りながら可能な限り隙をなくして、五行の構えにて攻撃を加えてきた。ヘヴィスラッシュも与えるだけの隙があれば放とうと考えていたが、ワンスマニューバの使用時間も少なくなってきている。
 このままでは空中を飛べなくなり、完全に相手の土俵へと持ち込まれてしまう。それにワンスマニューバがあるお陰で相手の僚機からのマシンガンも避ける事が出来ているが、今度は攻撃へと移れなくなっている。
 引く手あまたの現状の時にフォルティス向けて一本のレーザーが飛んでくる。急な攻撃にフォルティスはどうにか回避をするが――。
「ちっ……また掠ってしまったか……」
 ここまでの戦いと1度膝に受けたかすり傷で思ったように動かなくなってきている。見た目には分からないが、操作をしているフォルティスだからこそ気付く誤差。
「外れたか」
 先程の攻撃を放ったのは信道 正義だった。芙蓉が戦っている所を囮にして自分が上手くIF用レーザーライフルを狙い撃つタイミングを計っていたのだ。
「近くで戦っている者の援護を頼む。俺はこのまま遠距離からの射撃を続ける」
 レーザーライフルを撃つまで待機をさせておいた僚機のサイフォス先行型に乗る者へとそう指示を送る。彼は指示通り芙蓉がいる所まで走っていった。
 しかし、この距離から彼等がいる所までは距離がある。そこを正義は射撃をしながらフォルティス隊の者達を自身の僚機へと狙いを定めさせないようにしていく。
 遠近からの連続攻撃。敵僚機も数が多いが、正義からの遠距離攻撃と彼の僚機と芙蓉の近接での戦闘によって再びその場所が混戦状態に陥ろうとしている。
「見付けましたわ」
 そこに一隻のデストロイヤー級エアロシップが近付いていく。
 索敵の担当をしているドルミーレ・アルボルが敵の位置を発見して乗っている者達へと知らせる。
 情報によるとフォルティス隊の者達しかこの周辺にはおらず、援軍が来る様子がないとの事。それに加えて2機ほどダメージを与えた事によって多少戦力が落ちている可能性があるという話だ。
 ドルミーレは味方の場所も確認して、ここからどのタイミングで攻撃するかを考える。
「味方は3機ですわね。近くに戦闘不能のペガサスリッターがいるようです。マリア様、このまま行きましょう」
「了解です。それでは、吶喊開始します!」
 ドルミーレの言葉にマリア・ストライフが返事をすると、全速力でフォルティス隊の所へと突っ込んでいく。すでに敵はこちらに気付き、攻撃をしてくる者もいるが簡易防壁で多少のダメージを受けつつもこちらも支援砲火にて応戦。スカイライダーRVerにも機銃にて敵を狙ってもらう。
「他の味方もこちらへ向かってきている人達がいるみたいですね」
「ツバメさん、タイミングはお任せします!」
「了解!」
 いつでも飛び出せるように準備をしている安藤 ツバメがマリアへとそう返事をする。
「索敵完了――味方もすぐ来ます、良い頃合いですわ!」
「引き付けて……引き付けて……」
 ツバメはタイミングを見計らっている。そして、エアロシップはフォルティス達を飛び越えていった。
「安藤ツバメ、いっくよー!」
 そのタイミングでツバメのサイフォス先行型と僚機のペガサスリッターが飛び降りる。ツバメはワンスマニューバを使って着地の時の衝撃緩和をしつつ降りる。
「わんさか敵が来るものだな。これもまた愉快。戦争とはこうでなければな!!」
 着地の瞬間は誰でも無防備になる。他の者達は僚機が戦ってくれているのでフォルティスのみがツバメに向かう事が出来た。
「ツバメさんに攻撃が集中しないように上手く狙ってください! 味方へのフレンドリーファイアには気を付けて!」
 先程よりも高度を上げたエアロシップは着地のツバメを援護するようにして射撃を行う。しかし、それを掻い潜りながらフォルティスはその機動性を上手く使いながら接近する。
「おっと、危ない……!」
 フォルティスの一撃をどうにかビームソードで受けて残っているワンスマニューバの推進力で少しだけ距離を取る。
「ありがとね、マリっち!」
 彼女の援護のお陰で直撃を避ける事が出来た様だ。流石のフォルティスもあの射撃の中でしっかりと狙いをつける事は出来なかったらしい。
「僚機、一気に攻めるよ! シュツルムアタック!」
 ツバメはそう指示を送ると一気にフォルティスへと距離を詰めていく。そして、ツバメはビームソードを振り上げるとフォルティスのビームソードとぶつかり鍔迫り合いの形になる。
 これはツバメが狙っていた所でビームソードの刃を消す様にしてスイッチをオフにする。それによってバランスを崩してくれればいいのだが――。
「そういう事か!」
 オフにした瞬間に機体が前のめりになりそうなのを盾をツバメの乗るサイフォス先行型に押し付ける事で体勢が崩れる所をカバーする。
「流石だね……!」
 そういう回避の仕方もあるのだと、盾によって下がらされたツバメが呟く。しかし、フォルティスの死角から狙っているのは彼女の僚機。
「隊長!」
 フォルティスの僚機である1機からの声で後ろから攻撃されそうになるのに気付いた彼はバーンソードを持つ右手を思い切り後ろへと降る事でツバメの僚機の胴部分へと当てる。
「さっきのは危なかったな……!」
 危なかったとは言いながらもこの激しい戦いに更なる楽しさを見付けているフォルティスの顔はまだニヤリと笑っている。
 突然周囲の気温が更なる上昇が起こっている事に気付く。周囲を見回すと炎が上がっているようだ。剣が炎を纏っていたりすることはあったが、このように周囲に炎が上がっている事はなかった。
「……上からミサイル?」
 上を見ると誰かが放ったであろうミサイルがこちらへと飛んでくるのが見える。僚機達にフォルティスは回避運動を優先するように指示。可能であれば撃ち落す事も視野に入れて動いてもらう。
「スフィアは貴方たちのものではないんですよっ!」
 そのミサイルはアデル・今井が放ったDD:携行式対空ミサイルだった。そのミサイルは敵のマシンガンにて撃ち落されてしまうが、炎を放った本人である今井 亜莉沙がそこへ合図を送っていた。
「今よっ! いっけーっグリさん!」
 彼女の僚機であるグリフォンリッターが待機していた上空から敵へと向かって滑空を始める。しかし、1人しかいないその僚機は多少の攻撃は回避する事が出来たがすぐに反撃を受けてしまう。
「グリさんっ!?」
 それを見ていた亜莉沙は悲痛な声を上げる。その隙を狙うようにしてフォルティスが相手をしていたツバメを僚機に託して亜莉沙へと突撃。しかし――。
「地面が崩れた……!」
「こっちにも穴が!」
 亜莉沙へと向かおうとしていたフォルティスに加えて近くにいた彼の僚機が突然砂が緩くなって穴の様になっている場所へと足を踏み込んでバランスを崩す。
 この穴は亜莉沙による地突の計によって出来た穴である。グリフォンリッターが滑空している間に溝を作り、そこへ敵が入って多少の機動力を削ぐことが出来ればと考えていた。
 亜莉沙もまたこの隙を逃す事はない。一気に接近してビームソードを振り上げて自身の乗るサイフォス先行型の機能を最大限に発揮した強力な一撃を狙う――が、それを盾で受け止められてしまう。
「その状態で受け止めるなんて」
 亜莉沙はその動きに驚く。この状態でもどうにか敵の攻撃を回避する行動を取れるフォルティスの戦闘センスはどこまで高い物なのだろうか。しかし、ここまで戦ってきた事でフォルティスの盾の損傷も大きくなっているようだ。
(ここはあたし達で何とか出来る……。アデルは大丈夫かしら)
 先程ミサイルの放ったアデルはここから離脱していた。ワラセアバイクを操りある者の所へと向かっている。
「大丈夫ですか?」
 彼女が向かっていたのはマリィを助けるためにこの場所に残った部下であった。戦闘不能になった機体ではあったが、やはりこれも爆発をさせる事なく、中の者を殺さないようにしてあるように見える。
(傷は負ってるけど命の別状はないみたいで良かったです……)
 アデルは救急セットを使って怪我を負っているマリィの部下を治療術にて癒していく。
「立てますか?」
「は、はい……ありがとうございます」
「ここは大丈夫です。まずはここから離れましょう」
 アデルは彼を連れてこの地域から彼をしっかりとした治療を行える場所まで連れていった。
 そして、バランスを崩したフォルティスだったが体勢を整えて僚機達と一緒に陣形をしっかり整える。このまま乱戦していた場合は数の少ない自分達が不利だと言う事が分かっているからだ。
 しかし、そこを上手く動かせない様にと銃弾がイーグルデザートの脚部を狙って放たれる。
「ここできちんと体勢を整えさせるわけにはいきませんわ」
 その攻撃をしたのは此世為銃を持つファントム強化型に乗る松永 焔子だった。その一撃は脚部の関節部を外れて足の脛にある装甲へと当たる。流石のフォルティスも遠距離射撃からの脚部への攻撃は盾で防ぐことが出来なかったようだ。ただ、直撃を避けられた事は彼にとっては幸いだろう。
 近接戦闘をメインとしている者達がいるので、焔子は銃からの遠距離攻撃から敵を狙う。彼女のペガサスリッターは彼の僚機を牽制するように頼み、フォルティスの援護をさせないようにしている。
 相手の機体性能の方が上であり機動力もあるのであれば、機動力を削いでしまえば良い。焔子はそう考えてフォルティスの乗るイーグルデザートの脚部破壊を狙って行く。しかし、それに気付いたフォルティスは動きを止める事なく動き続けて特異者の相手をしていく。
 僚機対僚機の戦いもまた徐々に押されてフォルティス隊の数人が彼の援護へと回る状況になりつつある。
(回り込めれば一番なのですけれど――)
 焔子は上手くフォルティスの後方へと回り込めないかと他の味方と連携しながら狙っているがなかなか上手くいかない。こちらへ敵の僚機がマシンガンで狙ってくる事もあるがそれはエネルギーシールドを用いて防御を計る。ただ、その攻撃によって上手く動けないのも確かだ。
 特異者達の方が数が多いにも関わらず彼等を撃墜する事が出来ないでいる現状。フォルティス隊の機体性能が上だという事ではなく、やはり指揮官としての能力もまたフォルティスが非常に優秀なのが見て取れた。
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