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第三次三千界最強決定戦　～夏の陣～

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■プロローグ■

■□■大会開始前■□■

　第三次三千界最強決定戦――その一大イベントの開催時間が刻一刻と迫る中、会場は凄まじい興奮に包まれて居た。
　そんなざわめきの中、大会本部前のステージに天城　夜々が姿を見せた。
　西域の舞服に、トレードマークである鎖付きの首輪と両手足に枷の装飾を付けた夜々の姿はどことなく背徳的で、艶っぽく、観客席の熱い視線が一気に注がれる。
「今回も皆さんの目の前で踊る事が出来る事……大変嬉しく思いますっ！」
　第一回、第二回ともに最強決定戦でオープニングセレモニーで舞を披露したことのある夜々は、慣れた熱気に心を震わせる。
「皆さんへの想いを込めたこの舞……是非ご覧くださいっ！」
　夜々は礼儀正しく一礼をすると同時、８０名もの踊り子の亡霊兵を召喚する。
　突如現れた踊り子集団に、客席はワッと歓声をあげる。
　夜々を中心とした踊り子たちは、西域の舞服を煌びやかにはためかせながら舞う。
　踊りに合わせた音楽が一曲終わり、それと共に夜々たちの踊りもピタリと止まる。
　現れた時と同様踊り子たちが一瞬で姿を消し、夜々だけが残ったステージで、夜々は深々と頭を下げる。
「それでは今回の戦いも悔いの無いよう……皆様全員……しっかりと己の実力を発揮してくださるよう健闘を祈りますっ！」
　ステージを降りた夜々と入れ替わりでステージに立ったのは、由仁　ひよりだ。
「はい。素敵にオープニングを飾って下さった天城夜々さんに、皆さま盛大な拍手をお願いいたします！」
　ひよりの声に応えるように、会場に割れんばかりの拍手が鳴り響く。
「またこの時期がやってまいりました！　皆さーん！　盛り上がってますかーっ！」
　うぉおおおという大きな反響に、ひよりは満足げに頷く。
「今回も進行役を務めさせていただきます、由仁　ひよりです。私は総合司会という形で参加させて頂いていますが、各ブロックにはそれぞれ解説者さんがいらっしゃいますので、そちらの進行もお楽しみください！」
　【メーキャップ化粧品】で、ナチュラルメイクに仕上げたひよりは、まさに【癒し系】美少女司会者と言って良い。
　その見た目と裏腹に、結構容赦ない性格をしているのを知っている瀬倉　統夜は、なんとなく釈然としない。
　今だって、運営雑務を引き受けるつもりで参加したと言うのに、すっかりひよりお付きのＡＤのように使われ、運営からの指示を書き出したフリップを、ステージの影からひよりに見せつけるように持たされている。
　ついつい、早く裏の仕事に回って、救護ブースに居る彼女の顔でも見て来たいなと思ってしまう統夜なのだった。
　ひよりは、統夜の掲げる進行表に目を通しながら、大会における注意事項や、タイムスケジュールについて、観客に丁寧に伝えていく。
　生徒会長、木戸浩之による、開幕の挨拶も終え、後は試合開始を待つだけとなる。
　
「お待たせいたしました！　第三次三千界最強決定戦夏の陣、ただ今より開幕です！！！」

　開幕を告げるひよりの声と共に、真夏の太陽が照りつける会場に、人々の熱狂が木霊した。

■目次■

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