■倒すべきという想いと仲間に引き込む策と■
「こんな大変な時に まだ喧嘩をしてる奴らは 皆両成敗だ」
静かに怒っている
鹿屋野 ヒメ。
前に出て、ベルフェゴールを完全憑依Ⅲで憑依させて魔界の瘴気で魔界の気を身に纏う。
これで、闇に属する攻撃に関しては封じられる。
ベルフェゴールも憑依させ、瞬刻の見切りも身につけている。
攻撃を避けるのは容易い。
吐かれるデモンブレス。
モブ山が練成【鉄壁】で周りへの被害を抑え、【練成】泥の手で敵の動きを封じ込める。
弱点【棺】/影潜で自分の影に潜り込み、鹿屋野の影に寄り添っていた
三条 音緒が飛び出す。
ブラッドブレイドで自身の血を纏わせたゴリアテの巨斧を魔人に向かって振り下ろす。
「なんつーかよ、モロク派の連中がなんか気に入らねぇだからぶっ飛ばす。判りやすくていいだろう?」
ソロモン派もゴモリー派も自分達の方で精一杯で、特異者に攻撃を仕掛けてこようという魔人がいない。
にっ、と惨状は笑って、スタンウェーブで電気ショックを放ち、相手をしびれさせた。
「見ていて下さい。私が成し遂げてみせます」
特異者の未来――三千界の未来を見、魔人に情を持った特異者達に共感しそうな心を殺し、狂人と化した納屋は、魔人達の中へ飛び込み、界霊獣ウィスパーを召喚する。
ウィスパーの無数の囁きが周囲にいる者たちを蝕み、精神を乱した。
アバター分析で魔人を的確に探し出し、チェーンソー【血煙爪】で、急所と思われる場所を振りぬいて駆ける。
長期戦の為、エンハンスドボディで耐久力のある身体と、セルフヒーリングでの体力回復にて戦う。
* * *
「魔人たちよ。アダム・カドモンたる僕の配下となるがいい!」
そう
ゼウス・オリュンポスの声が響く。
――アダム・カドモン。神人間。……自称である。はったりとも言う。
「ふははは! 僕はアダム・カドモンの再来にして、銀河帝国オリュンポスの皇帝、暗黒騎士(ダークナイト)カイザーゼウス! ククク、セフィロトを解放し、新たなる千年王国を築くのはこの僕だ!」
マントを翻し、悪魔の会話術で魅力的に見せるゼウス。
思わず耳を傾ける魔人達。
「ゴモリー派、ソロモン派の諸君! サタンの力は、グリゴリ派やモロク派のような者たちが使うものではない! アダム・カドモンであり暗黒騎士でもある僕がサタンを制御して、教会の支配からセフィロトを救済するために使うべきなのだ!」
良い事を言っているようでいて――突っ込み所があるゼウスの言葉。
ワリと無理があるのはゼウスも承知していた。
だからこそ、ここは頑張って二つの派閥を守ろうというのだ。
「というわけで、
アルテミス・カリスト、ペルセポネよ! ゴモリー派およびソロモン派の魔人たちを敵の手から救い出すのだっ! そして、我らの同胞として迎え入れ、共にサタンの力で教会とワールドホライゾンを倒すのだっ!」
デモンランスを構え、モロク派の魔人目掛けてゼウスは突っ込んでいく。
「了解しました、ゼウス様! このオリュンポスの騎士アルテミス、ご命令通り、クロリス様たちゴモリー派、ソロモン派の皆様をお守りいたします!」
アルテミスは、クロリスの方へと駆けて行く。
「わかりました、ゼウス様! サポートはお任せ下さい!」
ペルセポネ専用ゴーレム装甲【鋼鉄像】の身体の
ペルセポネ・エレウシスは。
「ゼウス様の邪魔はさせませんっ!」
サウザンドアームズから身体から取り出した対魔族砲でゴモリー派・ソロモン派を狙って来る特異者に向かって撃つ。
くすくすと楽しげに笑うアリスは。
「プ・レ・ゼ・ン・ト☆ ちくビーム♪」
エンジェルレイで胸辺りから光条を放つ。
奇抜なアリスの行動に意気をそがれながらも、負けじとベルセポネは対魔族砲を放つ。
エリゴール・レギオン【イフリート】を完全憑依Ⅱさせた桂が、剣のような炎を作り出す。
シャイターンハンドでエリゴール・レギオンを腕に宿し、武器と化したその腕から放ったエンジェルスマッシュがベルセポネに命中した。
「この鎧のままでは、接近戦は不利ですね……。装甲は犠牲になりますが、奥の手を使わせてもらいますっ!」
強力な一撃を受け、ベルセポネはパージオフェンスで身体の一部のプレートを切り離す。
ダメージを受けつつも、スピードと回避力は上がっている。水銀刀を手に接近戦へと転じて桂に向かう。
ボディパージでまた身体の一部を切り離し、桂と距離を詰める。
アリスの攻撃も、パージスウェイで身体を一時的に切り離し、攻撃を避ける。
しかし、スピードを重視し、威力のある対魔族砲を使い果たしたベルセポネの攻撃は2人に決定打を与える事は出来ず、2人は
鉄槌を振るう少女のホーリーキュアで回復もしていて、ほぼ無傷。
「……へっ?! きゃ、きゃああっ! も、もう、パージするものがないですっ?!」
攻撃を受けた分、パージオフェンスとダメージを受けていたベルセポネは悲鳴を上げる。
「これは、お持ち帰りよね☆」
嬉々と喜ぶアリスの後頭部を鉄槌を振るう少女はぺしっとはたいた。
「暗黒騎士の技、受けてみるがいいっ!」
ゴッドクロス――聖騎士が放つ憑依された存在による二連撃だ。ソルトブレイクによる効果も付与してある。
デモンランスでの悪魔兵装をもって協力になったヘブンアンドヘルで、ゼウスは敵を薙ぎ払った。
「お前の罪は、このアダム・カドモンが裁く!」
弱点【棺】/影潜で自らの影に潜み、ゼウスを見上げるクロリスの影に寄り添うアルテミス。
「クロリス様。このままアザゼルの支配のもとサタンが復活してしまったら、セフィロトは本当に滅びを迎えてしまいます!」
真摯な声でクロリスの説得を試みようとするアルテミス。
「セフィロトが神判による滅びを迎えないようにするためには、もはや、アダム・カドモンであるゼウス様が率いるオリュンポス派の元にクロリス様たちも集い、共にアザゼルからサタンの支配権を奪うしかありません! そして、サタンの力を用いて、セフィロトを教会の圧政から解放しましょう!」
いい話ではあるが、派閥が違うと言う事は思想も想いも違うという事。
無理な話ではあるが、それでもゴモリー派の味方として動いてくれているのはゼウスも見ても解る。
「話に乗ることは出来ないけれど、お礼は言っておくわ」
「断るだろうとは思ってました。ですが、せめて誠意を示させてください!」
そう言って、アルテミスはクリムゾンソードを手にし、クロリスに向ってくる敵に、コルリス流剣技で見につけた腕前で、ブラッドブレイドによる攻撃を行う。
「この私が護衛についている限り、クロリス様を始めとした魔人の皆さんを傷つけさせはしません!」
未来の仲間だと、アルテミスは襲い掛かってくるモロク派に対し、果敢に立ち向かった。