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アンダーグラウンド動乱

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魔人・魔獣掃討戦  4



 瓦礫が散乱する建物の屋上へと上り、前方を見やったトリス・フィロソフォルムは、うずうずと何かを堪えるように指をそわそわと組み替える。
 そしてついに我慢出来なくなったのか、おもむろに人差し指を前へと突き出すと、
「ドーン!!!!」
 と、至極無表情のまま抑揚なく言った。
「ちょっ……やめなさいトリス……! 気持ちは分かるけど」
 慌ててトリスの口を両手で塞いだシェルライア・オルシーニは、トリスの背後から彼女が見ていた方向を一緒に覗きこむ。
 そこには、従えた魔獣たちに入口を守らせ、拠点を構える脆苦覆臓が居る。
 脆苦の居場所を突き止めた特異者たちは、第三区を占拠する魔人や魔獣たちの群れを掻き分け、脆苦を討つべく既に結集しつつある。
 頭が落ちれば、モロク派は総崩れとなり、区内の混乱も収まるだろう。
 けれど仲間たちが脆苦を倒すまでの間、生贄を求めて練り歩いているモロク派の魔人たちを放置しておくわけにもいかない。
 それに、戦闘の気配を感じ取ったのか、はたまた脆苦が援護を求めたのか、周辺の魔人たちが脆苦の元へと向かって来ている。
「ここがギリギリのラインって所かしら」
 脆苦自身が傍に従えている護衛の数はそれほどではないが、区内で暴れ回っている魔人や魔獣と合流すれば、厄介になることは間違いない。
 シェルライアは、脆苦周辺の護衛勢力と、その他の勢力とを分断するべく、その境界にトリスと共に陣取った。
 幸い、戦いの最中無人となった、この廃屋は、屋上から区内を見渡すことが出来、勢力図を描きやすい。
「行くわよ!」
「了解」
 階段を駆け下り、外へ出たシェルライアとトリスは、魔人たちの行く手を阻むように構える。
「頼んだわよ、ポイズンタンク!」
 シェルライアの指示を受けて、ポイズンタンクが前に躍り出る。
 毒をもって毒を制すの手法で、ポイズンタンクには【アイズフラッシュ】で攻撃を加えながら、魔獣たちの吐き出すデモンズブレスの盾となってもらう。
「そこの路地を抜けて大通りに出れば、メルカバー部隊がいるわ。魔人たちをそっちに誘導して、魔獣たちはここで仕留めるわよ!」
 【広角視野】で周囲の仲間たちの位置を確認し、シェルライアはトリスに【癒し系ナビゲート】で指示を飛ばす。
 トリスは、敵の足元の死角を狙って、錬成【斬糸】によって生み出した鋼線で罠を張る。
 魔人たちはともかく、敵と見れば突進してくる魔獣たちはここで足を取られて、一掃できるはずだ。
「こっちだ……かかって来い」
 トリスは魔人たちを挑発し、シェルライアの情報分析に逐一耳を傾けながら、味方と合流すべく大通りへと誘い出した。
 

 シェルライア・オルシーニトリス・フィロソフォルムとがメルカバー隊の前に誘導して来た二人の魔人。
 一人は悪魔【メリリム】を憑依させ、全身が髪と鱗で覆われ、心臓の上にある眼が不気味な閃光を放ち、もう一人は、悪魔【ガープ】を憑依させ、頭部に角、背にはコウモリの翼を背負っている。
 いづれも、今まで蹴散らして来た魔人と比べれば、格段に魔力が高い、魔人たちの中で精鋭兵と言うべき存在だ。
 引き連れていた魔獣たちは、シェルライアたちとの闘いで失ったとは言え、油断は禁物の相手だ。
 それまでは敵の妨害を弾きながら順調に進んできたメルカバー隊の動きが、二人の魔人を前にして止まった。
「気を付けて! 今までとはちょっと違う感じです!」
 【ホーリートーカー】の敵の見立てに耳を傾け、エセルが叫ぶ。

「部隊を二つに分けますわ」
「了解です」
 【疾風のメルカバー】に乗り、上空から部隊の周囲を偵察しながら、連絡を密にする寝子郷 桐子と、シスカ・ティルヘイムが、地上のメルカバー部隊へと陣形を伝える。
「私たちは右の魔人を」
 サキス・クレアシオンのメルカバー上で、シスカから連絡を受け取った藤原 千寿が、サキスへと攻撃対象を告げる。
「わかった。エセルの方につけばいいんだね」
「そう。こちらの方が、多勢になる。だけど、油断はしないで。近くの魔人たちが呼び寄せられている気配がする」
 千寿は【戦況分析】と【位置把握】で、現状を把握し、サキスに伝える。
「分かってる。敵が合流しないうちに、性急に仕留めてみせるよ。メルカバー隊、出撃する!」
 サキスが、メリリムへと向けてメルカバーを発進させると、同乗しているthe・Calamityが【ブラッドバウンド】でメリリムを狙い撃つ。
「隠れたって無駄ですよ」
 上空から地上部隊の援護と、横にならぶ桐子の護衛として周囲を警戒するシスカは、近くに居る敵の魔人たちが身を潜めている建物の影へ向けて錬成【爆裂】で創り出した爆薬を投下する。
「ヤソマガツさん、召喚です」
 桐子もヤソマガツを召喚し、空から攻撃の機会を伺う。
「一気に決める!」
 サキスは【ホーリーゴースト】を発動し、聖霊を身に纏った状態で聖騎士の秘技、ヘブンアンドヘルを放った。
 サキスの攻撃に合わせて、エセルもメルカバーから【破邪の光】のレーザーを飛ばし、皆で一斉に攻撃をしかける。
「ぐぁあ……っ」
 反撃のきっかけが掴めないメリリムは、為す術なくその場に倒れ込んだ。
「――!? 大丈夫か?」
 メリリムに駆け寄ろうとしたガープの目前に、小さな【銀槍】が雨のように降り注ぐ。
「あなたの相手は私たちよ」
 【疾風のメルカバー】で上空から北村 真由子が投げる槍に合わせて、突破者の手榴弾と小原 泰彦の落とす【ネギ弾】も炸裂する。
「地上からの直接攻撃は俺に任せてもらおうかな」
 【地列のメルカバー】の炎の車輪を回しながら、藍澤 一は【エンジェルスマッシュ】を放つ。
「くっ……」
 立て続けの攻撃に行く手を阻まれたガープは、羽根で身を翻しながら、攻撃を避けつつ、【地獄の炎陣】で反撃を試みる。
 しかしそれも、【火焔のメルカバー】で一とガープの間に割って入ってきたアルテリア・ホルシュタインの、【大天使の盾】で攻撃を弾き返される。
「終わりです」
 アルテリアの火焔のメルカバーからの砲撃が一斉に浴びせかけられ、休む間もなく与えられる攻撃に、ガープもまたメリリムの横に膝から崩れ落ちた。
 圧倒的強さをまざまざと見せつけたメルカバー隊は、ゆっくりと隊列を戻しながら、悠々と大通りの中央を進んで行く。
「にゃーにゃにゃーにゃにゃーん♪」
 魔獣たちを一掃し、静けさを取り戻した大通りに、再びエセルの讃美歌が響き渡った。
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