クリエイティブRPG

ワールドホライゾン

ネコの死んだ日

リアクション公開中!

 0

ネコの死んだ日
リアクション
First Prev  3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13  Next Last

 先ほどとは違う場所では風峰 悠人が避難誘導を行っていた。
「悠人さん、こちらの避難は大丈夫です!」
 悠人のパートナーアリシア・シャムロックが悠人に報告をする。
「アルフそっちはどうだい?」
 もう1人のパートナーであるアルフレッド・アーヴィングに聞く。
「こちらも大丈夫であろう。しかし、操られた特異者もいると聞いた。悠人、十分気をつけるんだ」
「うん、分かってる」
 悠人は周りを確認すると、大体の新米特異者が避難できたのが見て分かる。
「操られた新米特異者はこっちで対処した。後は避難を進めてくれ」
 草薙 大和が悠人に報告をする。
 安全も確保できたということは、このまま進められれば危険がなく避難をさせることができる。
「特異者を倒した後、界霊は出てきたかい?」
 悠人は大和に尋ねる。悠人はそのことに関して少し気になっていたことがあった。
「出てきたが……ある程度経験を積んでいる僕らには簡単に破壊ができた。だから気にすることはないだろう」
「そっか……なら、大丈夫かな」
 大和の答えに少しだけ安心をする。しかし、経験を積んでいない新米特異者が操られてしまう可能性が大きいことには変わりはない。操られた新米特異者を倒せば、その近くで避難をしている新米特異者にまた憑依をして操られてしまうかもしれないからだ。
 すると、そこに息を切らせながら走ってくる1人がいた。
「ししょー! わたしが避難させてた場所に操られた特異者が!」
 その人間とはコロナ・ブライトであった。コロナは相当急いだ様子で大和に伝える。
「なんだと!?」
「僕たちも向かおう!」
 それを聞いた、その場にいた5人はそこへ向かって走り出した。
 そこでは闇野 名無しが新米特異者を攻撃していた。
「……」
 無言で新米特異者に攻撃をしているが、少しだけ操られている特異者とは様子が違う。名無しは幽霊のように、ゆらゆらと揺れながら近寄ってくる。名無しは霊となってさまよっているらしい。
「悠人さん、あれは……違います」
 その様子に「観察眼」を使っていたアリシアが気付く。見ている限り、操られてしまった新米特異者や避難をしている新米特異者を見境なく攻撃しているのだ。操られた人間のような、嫌な雰囲気はかもしだしてはいない。ただそこに居た特異者を攻撃しているだけに見えた。
「うん、あれは操られてない」
「自発的に攻撃をしているな」
 アリシアの言葉を聞いて悠人とアルフレッドが確信をつく。そう、名無しは操られているわけではなく、自ら進んで特異者を攻撃しているのだ。
「ししょー、あんな人がいるなんて……」
 操られていなく、自発的に特異者を狙う名無しの存在にコロナは驚いていた。
「どんな理由かは分からないが、相手をしなければ危険が広がる」
 名無しがどんな理由で攻撃をしているのかは分からない。ここで名無しを止めなければ被害が大きくなる。そして、避難をしている新米特異者にも、まだ止められるであろう、操られてしまった新米特異者にも。
 それに対して大和とコロナも覚悟を決める。
「……」
 5人の気配に気付いた名無しはゆっくりと身構える。確実にこちらを確認して身構えた。やはり、アリシアが気付き、悠人やアルフレッドが言ったように操られた特異者ではない事は確実である。
 そして名無しが持っている武器は「ブレード」にて硬化させた「グレートシザー」だった。メガラニアで発見された謎の触手で、先端がハサミ状になっており、スポーンはこの触手を操りハサミで敵を攻撃できる。そしてスポーンである名無しの硬化してあるこの武器は脅威と言えるだろう。
「わたしの邪魔しないで……!」
 名無しは5人に一気に距離を詰める。急な行動に5人とも不意をつかれてしまった。
「君たち身構えるんだ!」
 大和の一言に急いで他の4人も各々身構える。
 4人の前にいた大和が名無しの攻撃を剣で受けた。思ったよりも強い攻撃で少しだけ押されてしまう。そして、鋭いハサミの部分で腕に傷を負ってしまった。
「大和ししょー!」
 コロナが動きの止まっている名無しに向かって剣を振りかぶる。それを見た名無しはバックステップで距離を開ける。そのせいでコロナの剣が振り下ろした時には距離をとられていた。
「身軽だね。これは思ったよりも苦戦しそうだ」
 その様子を見て悠人が呟く。スピードも攻撃力もある。見ただけでも分かったことだが、これほど強いのは予想外だった。これがある程度経験を積んだ特異者との戦いなのだとこの場にいた全員が思う。
「大和さん、大丈夫ですか!?」
 そしてアリシアがすかさず、血の出ている大和の腕に碧の癒しで治療を行う。
「大丈夫だ。そんなに深い傷ではない」
 治療をしてくれているアリシアに大和は言った。確かに血は出ているが、かすっただけで深い傷にはなってはいない。
「ダメです、ばい菌でも入って悪化したら剣さえ握れなくなります」
「あぁ……すまないな、ありがとう」
 アリシアの言葉に素直に大和は応じた。
「しかし、結構な手練の特異者のようだ。気をつけるに越したことはない」
 攻撃を見ていたアルフレッドが注意を促す。向こうは1人、こちらは5人。そうだとしても、気をつけることに越したことはない。
 動きが止まったのをみて、名無しは再び攻撃を仕掛けてくる。
 こちらは5人。全員で攻撃を仕掛ければ倒せる、と皆が思っていたが、名無しから大量の触手が出てきてそうはいかないことが分かる。
「こっちの触手は僕たちが対処する。逆側からの攻撃を頼むよ!」
 二手に別れれば、狙ってくる触手の数は分散する。そこを狙おうとしていた。
 悠人とアルフレッドは名無しの右側へ回り込む。そして、アリシアは触手の攻撃が届かない場所まで空中を舞う。
「コロナ、合わせろ!」
「はい、ししょー!」
 左側から回り込んだ大和とコロナが触手を確実に1本ずつ斬りながら名無し本体を狙っていく。
「アリシア押さえ込んで!」
「はい!」
 触手が出なくなり、こちらに向かってくる触手がなくなったところで、アリシアは空中から名無しの背後に回り羽交い絞めにする。そこに、大和と悠人、アルフレッドとコロナが同時に攻撃を加える。
「くっ……!」
 アリシアの力がそれほど強くなかったのか、攻撃を受ける直前に振りほどき、名無しはバックステップで下がる。しかし、攻撃は名無しに当たっており、致命傷を受けていた。
「『超直感』を使って、手ごたえはあったが……」
 アルフレッドが名無しの様子を見て言う。名無しは先ほどの4人の攻撃で膝をついていた。避けたとはいえ大きなダメージを受けているのは確実だった。
「これで終わりだといいんだがな」
 大和はまだ緊張を解かずにいた。再び名無しが立ち上がったら、また相手をしなくてはいけない。また触手を多く出され攻撃をされたら、またこちらにも危険が及ぶ。
 しかし、名無しは力が尽きたかのようにその場から消えるようにいなくなった。
「倒せた……のかな?」
 悠人は消えた名無しを見て、少し安心した声を出す。
「ししょー、あの人はいなくなったようです」
 コロナが名無しのいた場所まで行ってみて、周りを確認して言った。他に操られた特異者もいないようである。
「悠人さん、すぐに避難誘導に戻りましょう!」
 アリシアの言葉に悠人はうなづく。
「僕らは操られた特異者の相手をして、危険がないようにする」
「うん、頼んだよ」
 大和と悠人はお互いに言葉を交わすと、大和とコロナは安全を確保するために操られた特異者を止めるために、悠人たちは再び避難誘導を行うために走り出した。
First Prev  3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13  Next Last