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ネコの死んだ日

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ネコの死んだ日
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【守るために~後方~】


「勝手に操られるなんて不愉快」
 杠 夢は操られてしまった新米特異者たちを相手にしながら不快感を抱いていた。夢は自分以外の何者かが自分の身体や精神を操ってくるのが不快でしかたなかった。
「そっちは――」
 別方面で避難をする新米特異者を庇いながら戦っていた諏訪部 楓が声をかけるが、その瞬間に声が止まる。
「貴方……!」
 楓はジャックされた新米特異者に背後から剣にて貫かれていた。血が滴りその瞬間楓は動きを止めるが、「リブート」にて復活ができたのかすぐに動き出す。
 しかし、その様子はおかしい。
「ウワァァァァァァ!!」
 突然何ががはじけ飛んでしまったかのように楓は叫びだす。
「操られてしまった。なら私が対処。今日の武装はガトリング。でも、大丈夫。安心。……腕や足の一本や二本、吹っ飛んでも治療できるらしいから」
 痛みの感覚はあっても、治療が可能というだけで、ダメージを受けすぎると死んでしまう可能性はある。その辺は手加減をしなくてはならない。そして、操られてしまった楓に向かって夢は「ガトリング」を向ける。
 楓は敵も味方も分からないのか、獣のように暴れている。避難をしている新米特異者も、操られてしまった新米特異者もその攻撃によってただの肉塊になっていく。
 夢は暴れている楓に向けて攻撃を開始した。
「界霊に操られてるのは不快すぎる」
 遠距離から楓に「ガトリング」にて打ち抜く。楓は身体の感覚もなくなっているのか、サイボーグ化している場所も生身の場所も考えず身を守る。そのため、楓の身体から血が飛び散る。
「これで終わり」
 夢は一気に接近をして「パンチアウト」を繰り出す。「ガトリング」にて撃ち抜かれた身体はもろくなっており、その衝撃で楓のサイボーク化されている部分が吹き飛んだ。
「生身は治療。サイボーグ化してる場所はすぐ直せる」
 倒れた楓に向かって夢はいう。しかし、楓はすでに意識がないのか聞いている様子もない。
「まだ操られた特異者はいる。イラつく……」
 そう呟くと夢は別の場所へ向かい始める。

 避難をするシェルターから距離がある場所。そこでは特異者たちが、まだ新米の特異者たちを界霊に襲われないよう避難誘導を行っていた。
「こっちだ! 急ぐっていっても焦らずいくんだ!」
 世良 潤也は声を張りながら誘導をしている。中には界霊に体や心をジャックされ、操られてしまった人たちもいるが、避難する新米特異者のほうが多く居る状況だ。
「潤也危ない!」
 その言葉に潤也は振り向くと、界霊に操られた新米特異者たちが潤也を取り囲んでいた。潤也に危険を知らせたのは、パートナーのアリーチェ・ビブリオテカリオだった。
「これでも食らいなさい!」
 アリーチェは「光輝の書」を取り出し、光を放つ。それに怯んだ操られてしまった新米特異者は1歩引く。その隙を見て潤也は「太刀」を取り出し、逆刃に持ち替る。
「今よ、潤也!」
「操られてるとしても……人を襲うのはもうやめろ!」
 取り囲んでいた新米特異者たちにみね打ちをして気絶させる。
「さあ、今のうちに早く行って!」
 アリーチェの言葉に、止まっていた新米特異者たちはまたシェルターに向かって走り始める。
「アリーチェもなんだかんだで心配なんだな」
「なっ! べ、別にあんたたちのことを心配してるわけじゃないんだからね!」
 避難をしている特異者たちにアリーチェはいうが、それを潤也は見て笑う。
「何よ……!」
「別に、何でもない。さあ、早く!」
 潤也は再び避難をしている新米特異者に檄を飛ばす。
「あらあら、何をちんたら戦ってますの……? まさかとは思いますけど、そういうプレイか何かかしら?」
 そこに現れたのはセリア・レフィルだった。
「今は避難させるのが優先だわ。どうでもいいけど――」
 アリーチェがまた素直ではない台詞を言おうとした瞬間、多くの新米特異者たちがこちらに向かってきていた。
「あれは……ジャックされてしまった新米特異者たちですわね」
 よく見ると、目がうつろな感じでこちらに歩いてくる。
「大丈夫か。まあ、これでも飲んで落ち着けよ」
 潤也は先ほど気絶させた新米特異者たちが目を覚まし、そのフォローを行っていた。しかし、潤也が差し出したコークを飲んだ新米特異者は吹き出してしまう。
「いいですわ。こっちに向かってくる特異者は私が相手をしますわ。あなた方はそのまま誘導を続けてくださいまし」
 セリアはこちらへゆっくりと向かってくる、ジャックされた新米特異者に向かっていく。その言葉を聞いて、潤也とアリーチェは避難誘導を再開する。
「ふぅ……新米如きにこの私が遅れを取るなんてありえませんわよ……。ほらほら、今から貴方達は私の玩具、遊んであげるからさっさとかかってきなさいな!」
 セリアは楽しそうな表情をしながら新米特異者たちに攻撃を加える。「アギーレの銃」にて牽制をして、「電流鞭」を使って攻撃を仕掛ける。
 しかし、どれだけ新米特異者の攻撃を無効化させても、減る気配がない。
「どうなってますの……こんなに居たら流石の私でも疲れてしまいますわ」
 おかしいと思ったセリアは「観察眼」を使う。すると、1人だけ新米特異者とは違う力を持ったものが居ることに気付く。それを確認すると、神無月 司がその中心にいることに気付いた。
「先ほど孤立している新米特異者がいないかと、見に行くといって走っていった人ではないですの……?」
 そう、司はつい先ほどまで潤也とアリーチェと一緒に避難誘導をしながら、操られた特異者を抑えていた。そして、孤立している新米特異者がいないかと、確認をしに1人で走っていってしまったのだ。
 きっと、その時に界霊に操られてしまったのだろう。
「まったく、めんどくさい事この上ないですわ……でも、避難誘導をしている2人に恩を売るのもありかもしれませんわね」
 セリアは司に向かって走り出す。一定の距離まで迫ったとき、司は左手に「フォトンガン」を取り出し、「ダガーアタッチメント」で応戦しようとしてきていた。
「……」
 司は何かを呟いているが、何を言っているのかは分からなかった。それは一体、何に話しかけているのだろうか。しかし、積極的に応戦しようとはしていない様子だった。
「どういうことですの……」
 セリアは司はただ操られ暴れているわけはないことに気付く。一線を引き、距離を開けると司は避難をしている新米特異者に近寄っていく。
「……」
 司は何をいっているのかは分からないが、新米特異者たちは動揺しているのが分かる。そして、ジャックされた他の新米特異者のような雰囲気になる。
「そうやってジャックさせて、操られている新米特異者を増やしているのですね」
 セリアはそれを確認すると、司を止めるべく接近をする。すると再び「フォトンガン」と「ダガーアタッチメント」で応戦しようとしてくる。セリアは牽制をしているが、「ゴダム護身術」にて対処されてしまう。そして司は右手に持っている「フォトンカービン」を使って弾幕を張る。
 それを避けるには流石のセリアでも「戒心」を使わないと避けることが出来ない。すると、一瞬だけ動きが止まるのが見える。「ダブルショット」を使ってくるのだから、その間に武器を取り上げてしまえばいい。
「ディザーム!」
 セリアは一気に距離を詰めて武器を取り上げる。
「これでチェックメイトですわ」
 その勢いで倒れてしまった司を見下ろしながらセリアはいう。しかし、それでは終わらず「電流鞭」にて司に追い討ちをかける。
「これで動くことも出来ませんわね。さあ、次の狩りに向かいましょうか」
 セリアは不敵な笑いを浮かべて、またジャックされている新米特異者のほうへ向かっていく。
 こうして、シェルターから離れた場所では避難している新米特異者は無事にシェルターへ向かうことが出来るのだった。
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