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ネコの死んだ日

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ネコの死んだ日
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【自分たちが出来ること】


 高い建物を陣取って、操られ暴走している特異者を相手にしている者がいた。
「特異者を操るのは何か目的があるのか……」
 エリル・フレアは建物の下にいる特異者を眺めながら言った。
「こちらの準備は出来たわよ」
 ヴィイ・ベラルーシが街に置いてあった建物修繕用の工業用ウィンチとザイルを使って、矢を撃ち出せるよう準備をしていた。
「分かった。……杞憂であればそれでいいんだがな」
 エリルはそう呟くと自分の準備を始める。
「とりあえず、3つは用意できたけど……これ以上は用意できなかったわ。時間も有限でしょうし」
 と、準備された物を見てエリルにヴィイは言う。
「十分だ。オレを打ち出した後は頼むぞ」
「分かってるわ、遠距離から支援するから。……あんまり無茶しちゃダメよ?」
「分かってる。他にも今の現状を止めようとしている特異者がいから大丈夫だ」
 ヴィイの心配する言葉を安心させるかのように、エリルは少し優しい言い方をした。そして、エリルはヴィイが用意したザイルに「流星錘」を絡めた。
「それじゃ行くわよ!」
 ヴィイがそういうと、勢い良くエリルは打ち出される。
 着地をすると、その場所には別の特異者が暴れている特異者の相手をしていた。その特異者は両手に盾を持ち、その盾を使って攻撃と防御を繰り返していた。
「っ!? 流石にこの数の差だと新人相手でも結構きついですね」
 そこにた特異者とはアルヤァーガ・シュヴァイルだった。彼も暴れた特異者と止めるために動いていたのだ。
「この数だ、オレも手伝うぞ」
 不意に声をかけられて驚いたのか、アルヤァーガは勢い良く振り向くが、操られているわけではないと分かると再び前を向く。
「感謝します。流石に1人でこの数は厳しいものがありますからね」
「一応オレのパートナーが遠距離から援護をしてくれる。それには当たるなよ」
 ヴィイが建物の上から「疾風の矢」を用いて、建物の下にいる暴れている特異者に向かって矢を放っていた。
「分かりました、気をつけましょう。自分はこっちを相手にします。向こうはあなたが」
「分かった、向こうはオレが対応しよう」
 お互いに確認すると、操られて暴れている特異者のほうへ向かっていく。
「やはり操られてますか……まあ、いいでしょう。全力で殴って助けますよ」
 アルヤァーガは両手にある盾を構えた。右手には重い盾、左手には軽い盾。その盾を用いた防御力、そして機動力がアルヤァーガの持ち味だ。
 しかし、二手に別れたといっても数が多いことには違いはない。新米特異者たちが相手だとしても、これだけ数がいれば脅威になる。
 「超直感」にて、囲まれると判断したアルヤァーガは構えを取る。
「これで倒れろよ……踏破ぁっ! 双穿ちぃっ!!」
 本来剣で行う「ダブルインペイルメント」を盾で行う。アルヤァーガはそれに自分で名をつけていた。
 アルヤァーガの攻撃に、周りを取り囲んでいた特異者たちは倒れていった。
「ふぅ……大体は何とかなりましたか……」
 そこにアルヤァーガは見知った顔が通っていったことに気付く。
「ルナ!? お前もこっちにきてたのか……と、そっちは任せてよさそうだな。頼むぞ」
 そう呟くと、アルヤァーガは自分の仕事へ戻った。
「向こうは大分頑張ってるようだな」
 エリルはアルヤァーガのほうを見ながら言う。
「さて、こっちも始めようか!」
 ヴィイが放っている矢を支援とし、エリルは特異者たちを次々に攻撃を加える。攻撃を加えて、エリルのほうへ気が向きこちらのほうへ向かってくる。
「こっちに来るってことは……特に目的はない、ということか……? いや、まだ分からないか」
 悪意があって暴れているわけではないことは分かっているので、エリルはヒットアンドアウェイを繰り返す。
 撃ちだされるザイルに再び「流星錘」を絡めて、攪乱をしつつ特異者たちを相手にしていく。
 その中でエリルは観察も忘れずに行うが、操られた特異者たちが目的を持っているのか、特にないのか、分からなかった。それほど界霊というのは頭脳明晰なのだろうか。攪乱されてるのは、もしかしたら自分たちなのかもしれない。
 エリルは特異者たちを相手にしながら、そう思う。
 こうして、この場にいた特異者たちは少なくなり、界霊を相手にしている者たちへの時間稼ぎも出来たのだった。
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