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ネコの死んだ日

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ネコの死んだ日
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 シェルター近くでは操られた特異者を気絶させ、無効化させている者がいた。
「悪いがしばらく寝てもらう……」
 御巫 千歳は1人の特異者の人体急所である水月に肘打ちをして気絶をさせた。しかし、まだまだ操られている新米特異者の姿が見える。
「これだけ数がいるとなかなか堪えるものだ」
 周囲を確認して千歳は呟く。しかし、このままで終わらせるわけにはいかない。続いて、近くにいる操られた特異者に向かって無効化を試みる。
 どんどん操られている特異者たちをひれ伏せさせていく。積極的に特異者を倒していく千歳には目的があった。
「ノーマンとエミリアは無事だろうか……出来るだけ、俺が対処しないとな」
 親友のため、親友が恋人を守りやすくするために、千歳は操られている特異者たちを倒し続けていた。
 もう1度周りを確認する。操られているのは新米特異者がほとんどだが、中には強力な特異者が操られてしまっているケースがあると聞いていた。そういう相手がいた場合は、本気で相手をしないとこちらにも危険が及んでしまう。
「周りには、そういう強力な特異者はいないようだな」
 周りに注意をしながら、操られている特異者たちを無効化させていく。急な強襲に備えて。

 千歳のお陰か、ノーマン・コモンズエミリア・アッシャーがいる場所では、操られた特異者がそれほど多くいなかった。ガードナーは操られた特異者の攻撃がエミリアに及ばぬように守り、マーチングはエミリアの近くで避難誘導を行っていた。
「さあ、こちらです! シェルターは近いですよ!」
 エミリアは避難している特異者に声をかけながら誘導していた。そして、エミリアを守るかのように、ノーマンは操られた特異者を倒していく。
「誰しも心に弱さがあります。だけども人が人であるならば、人はそれを克服出来る。僕はそれを信じている……だから今は眠れ」
 倒した相手にノーマンは言う。人であれば誰でもそういう心は持っている。そこに界霊はつけこんでくるのだ。
 しかし、現状操られている特異者だけではない。突然避難をしている特異者が操られてしまう時もある。そして、その特異者は避難をしている特異者に襲い掛かる。
「くっ……また操られた者が増えましたか」
 凶堂 朔太郎がこの状況を見て、少しだけ焦る。そこにノーマンが「アギーレの銃」で操られた特異者を撃つ。
「こうして戦うことになると頼もしい存在と感じさせてくれる……さすがですね、ノーマンさん」
 そういって、ニヤッと笑う。しかし、その額にはうっすらと汗をかいていた。
「ミスター凶堂、油断してたらダメヨ!」
 神代 レッドが朔太郎を見ていう。
「さぁさぁ、皆の者!正義のヒーローが来たからにはもう安心ナノダ!!」
 避難をしている人たちにレッドは言い、安心させる。そして、レッドも増えた操られた特異者の相手をしていく。
 ノーマン、朔太郎、レッドが操られてしまった特異者を相手にしている間に、エミリアは避難誘導を進めていく。しかし、その時だった。突然避難をしていた新米特異者が界霊に操られてしまったのだ。
「エミリアさん!」
 流石にエミリアがいた場所は遠く、ノーマンが突然操られてしまった特異者のところまで行くには時間がかかる。
「迷いの意思、心に蟠りのある方を界霊は狙います。そう、つまり――あなた方が一番危険なのです!私達があなた方を安全な場所に誘導します。誘導に従ってください!」
 操られた特異者の攻撃を受けながら、「不屈の炎」を用いて避難をしている特異者をエミリアは守った。その時ノーマンと朔太郎、レッドもエミリアの元へたどり着き、操られた特異者をひれ伏せさせていく。
「大丈夫ですか、エミリアさん!」
「はい、深い傷ではないですから。そんな心配しないでください」
 ノーマンの言葉に笑顔でエミリアは返した。
「レッドさん、あなたは向こう側の特異者を。私はこちらの特異者を相手にします。ノーマンさん、あなたはエミリアさんについていてください」
「お任せヨ! ミーにかかればこんなの簡単ネ!」
 2人は二手に別れて操られた特異者の対応に向かった。
「僕はエミリアさんが傷つかないよう、守っていたのに……」
 エミリアは「癒しの唄」により回復をしていたが、先ほどのことをノーマンは気にしていた。
「大丈夫、傷はもうふさがりましたし……ノーマン様が守ってくれていることはよく分かっています」
 そうエミリアは微笑みながらいう。ノーマンはその笑顔に救われた気がした。そして、朔太郎とレッドだけでは対処できなかった特異者のほうへ向き直る。
「来るならば相手になります。エミリアさんとの明日を守るために、僕の全てを賭けて倒します」
 ノーマンは「アギーレの銃」を両手に持って構える。その後ろでエミリアはどうにか操られた特異者を正気に戻すことができないかと「癒しの唄」を使って、3人の支援を行う。
 ノーマン、朔太郎、レッドのお陰でこの場にいた操られた特異者はいなくなったようだった。
「これで安心ですかね……」
 朔太郎は周りを確認していう。
「はぁ……ミーは流石に疲れたヨ……」
 レッドは激しい戦いに、その場に倒れこんでしまった。体力的にも精神的にも、まだ小さな身体のレッドには負担が大きい戦いだった。
「朔太郎さん、レッドさん、お疲れ様です。これで――」
 ノーマンが皆を見た瞬間、エミリアの後ろから特異者が近づいてきたのに気付く。その驚いた顔をエミリアは見て振り返る。
「きゃあ!」
 いきなりだったため、エミリアは持っていた「ジュラルミンケース」でその特異者の頭を叩いてしまった。そのせいか特異者は気絶をしてしまう。避難をしていた特異者たちは逆の方向にシェルターがあるため、4人がいる方向へ来るはずはないのだ。きっと、この気絶した特異者は操られてしまったのだろう。
 エミリアはシェルターまで暴れないよう、持ってきていた縄でその特異者を素早く縛る。しかも亀甲縛りで。そして、「カツオブシコーク」を特異者の口から流し込んで目を覚まさせる。
「気分はどうですか?」
「え、自分は……あれ、何この格好!?」
 縛られた特異者は自分の縛られている姿を見て驚く。しかし、エミリアはそのまま特異者を歩かせる。
「ちょ、自分で歩きますから!」
 そう言うたびにエミリアは嬉々として締め付けた。
「エミリアさん大丈夫ですかね……」
 その姿を見て、ノーマンは少し心配になってきていた。
「まあ……安全は確保されましたし……」
 朔太郎も苦笑いしか出来ないでいた。
「ミーも運んでほしいヨー……」
 相変わらずレッドはぐったりしていた。
「こんな格好じゃ調教されてるみたいじゃないですか!」
 縛られた特異者は歩きながら文句を言い続けていた。しかし、エミリアは笑顔で言う。
「調教? 違います、教育ですよー♪」
 やっぱりこの様子にノーマンは心配をしながらシェルターへ向かっていった。
 こうして、多くいた新米特異者はシェルターに避難することができるのだった。
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