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ウェンディールに吹く風 ~中編~

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ウェンディールに吹く風 ~中編~
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■プロローグ■



(準備は整いました。あとは……)

 計画を実行に移すのみ。
 誤った歴史を修正し、この国をあるべき姿に戻す。そのために、忌まわしいデモニスに従ってまで、研究を続けてきた。
 五年前、この町を取り戻してからは、来るべき日に備えて入念に準備を進めた。
 “回帰杖”ウロボロスは伝説の存在。そう都合よく見つかるものではない。それを使うのは理想でしかない。
 この地のデモニスを全て排除し、緑豊かな土地を蘇らせるだけなら、“コレ”を完全に稼働させるだけの魔力を確保できれば問題ない。それで十分だった。
 その魔力をどうやって得るか? それこそ、デモニスから搾り取ればいい。魔人やダークエルフといった高位種は自分たちエルフとさほど変わらない魔力を持っている。この地にのさばっている連中をかき集めれば足りるだろう。
 ……だが、“回帰杖”ウロボロスと思しきものがこの地に現れた。さらに、所有者らしき彼女やその仲間の色相はこれまでに見たことのないものだ。その魔力が、理の扉を開く鍵になり得るかもしれない。
 しかし、
(……本当にそれでいいのでしょうか? 悪意のない彼女たちを利用して)
 使い魔を通して、メリディエからウィルフォンスへかけて、旅人たちのことは観察してきた。危険を承知で使い魔やエクゥを助け、メリディエではその地の者と共に復興に勤しんでいる。ここまでの道中でも巨獣相手に一歩も退かない強さを見せていた。
 彼らが、この地を侵したデモニスたちと同じならば、もしくはただの他種族であれば躊躇う必要はないというのに……。
「迷いが顔に出ているぞ。エルフは、己が種族の安寧のためなら何者を利用することも厭わないと思っていたが……」
 闇の奥から現れた魔人を睨み、答える。
「ええ。ですが、そのために最善の手段を取るか、最良の手段を取るかは人それぞれです」
 最善の手段が最良であるとは限らない。逆もまたしかり。
「最善にして最良の手段というものがあれば理想なのですけれどね。いずれにせよ、もう少し見極める必要がありそうです」
「お前がどちらを選択しようと、我には関係ない。理の向こうから真の魔剣を喚び戻せればそれでいい」
「……己の目的のためなら、同族がどうなろうと知ったことではない、ということですか」
 それがデモニスという種族だ。本当に同じ空気を吸うのも嫌になる。
 自分にはこの男を殺せない。逆に、この男も自分を殺せない。そういう契約だ。
 だが、彼は自分の真の目的を知らない。ただ、「ウェンディールを元の姿に戻す」としか告げていないのだから。

(残念ですが、貴方が目的を成し得ることは、決して叶いません。仮に叶ったとしても……他のデモニスともども、貴方も消えるのですから)



プロローグ・目次

【1】【マラキアの案内】
【1】【ウィルフォンスという町】
【1】【杖と使い魔と元素と】
【1】【第二陣、到着】

【2】巨獣の行方
【2】巨獣の行方2
【2】迷子?
【2】巨獣の解放
【2】不自然な動き
【2】不自然な動き2

【3】進む復興
【3】美味しい料理を食べよう
【3】それぞれの交流の仕方
【3】それぞれの交流の仕方2
【3】蘇らんとする緑の大地
【3】心を癒すもの
【3】メリディエの宴

【1】【宴の始まりと共に】
【1】【宴の始まりと共に2】
【1】【夜の町を見回る者】
【1】【塔は静かに聳える】
【1】【宴もたけなわ】
【1】【宴もたけなわ2】
【1】【マラキアと塔】
【1】【終わりの始まり】
【1】【終わりの始まり2】

エピローグ

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