二つの「敵」
(【1】キトリー隊に参加)
●
紅紫 司はギルドで眉を寄せた。
「そもそもだ。ゴーレムにロボット三原則は適用されるのか?」
と、思ったが、マグメルどころか他の世界でもそんなものはとんと聞いたためしがない。であるならば、ここでもロボット三原則は存在しないと言うことだろう。
「とは言え、大世界ではフィルマの使徒として作られたのがゴーレムだったな。そう考えると似たようなものはありそうなんだが」
しかし、ゴーレムも来訪者の転生先なり得る。ゴーレムだけが不利な制限を掛けられる、と言うことはないだろう。あっては困る。
「まさか、使命と現状で板挟みになって暴走したクチか?」
導こうとしても、大人しく付いてきてくれない人間たち。レベルアップに目が眩み、人間同士で争った歴史すらある。大世界のマグメルでも、冒険者同士の小競り合いということはいくらでもあった。導く使命と、そのレールに乗ってくれない人間たち。
板挟みになって暴走、と言うこと自体はあり得なくもない。
(だとしたら、何処に行ってもそうした理由で暴走する奴はいるもんだな。そしてそう言う奴ほど、やる事が極端すぎる)
ロボット三原則は言うなれば奴隷宣言のようなものだ。人間にとって無害な使用人だ。そもそも「ロボット」と言う名前に労働の意味が含まれるとする説がある。ヒト種族の一種として認められているゴーレムに適用するのは乱暴に過ぎるが……。
「こう言う事がある以上、何らかの抑止力を持たせるべきだったんじゃないのか?」
他のヒト種族も野心を持って人類支配を目論む可能性はある。
けれど、元から「人を導く」と言う使命を持たされているゴーレムには、その使命に対する情熱が燃え広がらないようにするための措置は必要だったのではないか。
司はそんなことを考えていたのであった。