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【祓魔師/未廻組】祓魔師のカリキュラム21

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【祓魔師/未廻組】祓魔師のカリキュラム21
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 遊園地とは本来、日常から抜け出して非日常を楽しむための領域である。
 だが、その賑やかな空間が再び侵略されてしまう。
 そこへ訪れた人々が帰宅後、以前とはまるで別人としか思えない振る舞いをするという怪奇事件が起きたのだ。
 エリザベート・ワルプルギスの指示の元、遊園地でいったい何が起きているのか調査するべく、生徒たちは再びモーントナハト・タウンに訪れた。
 彼らは劇場の施設の周囲に、人のようにしか見えない人形が闊歩しているのを目にした。
 其々、ピエロなどの格好をしているため来場客が目にしても訪れた者を楽しませるためとしか思わず、何も違和感を持たないだろう。
 生徒が首から下げているペンダント型の魔道具、エレメンタルケイジに納まっている琥珀色の宝石の力ならば、それが何かすぐさま看破することが出来る。
 祓魔師として成長した者が扱えるアークソウルの効力を引き出した壬生 杏樹の心に、その宝石の能力を介して無機質のはずの人形の中から人のものとしか思えない感情が流れ込んできた。
 それは、表現し難いほどの悲痛な苦しみを訴えかけるものであった。
 魔性が扱う強力な呪術の類でない限り、生体から空っぽのはずの物の中に引き込むのは不可能。
 魔法学校の教師に対処法を聞く間はなさそうだと判断した生徒たちは、今まで実戦を通して身に付けた感覚を頼りに、人形の中へ引き込まれている魂を解放する。
 人形の存在を来場者たちに気づかれないよう、遊園地の外へ誘導しつつ入退場のゲートに向かう先ではやはりというべきか、黒フードの者たちが襲撃をしかけてきた。
 やつらは自身らに目を向けさせている間に、来場者が大勢いる中でフラワシに悪疫を散布させたのだった。
 悪疫の霊体は海難法師が使役する道具のようなもの。
 園内でパニックになった来場者の体から魂を人形の中に引っ張りやすくするためなのだろう。
 生徒たちは姿を見せる様子のない魔性に構わず要救助者と脱出し、病にかかった人々を手早く治療したのだった。
 来場者たちが落ち着きを見せたのを確認すると、再び遊園地に侵入する際の策を練るため宿の一室に集まり、園内の出来事をエリザベートに報告した。
「ううむ。人形に魂を入れる所業が呪術によるものではないということのようじゃが、それだけではどうにも不可思議に思えてのう。ワシらがその場に到着する前から闇世界となるよう、進行していたのではないか?」
 ルシェイメア・フローズンとしては人を意のままにするなど、既に闇世界化が始まっているのではと感じていた。
 いくら人々が劇場の中で非日常の世界を見せていたとはいえ、それだけでは理由にならないと考えた。
 来場者の様子が変貌するといった点を踏まえると、空っぽの人形の中に海難法師が彼岸から招き入れた死者であることは間違いないだろう。
 入れ替えるものがなければ人形に魂を移すした後の中身が空っぽになり、指一本動かさないガラクタのような状態になっていた。
「演劇を見る者ばかりではないじゃろうし。皆と離れた後に何度もゲートを潜って試してみたのじゃが、通り抜けただけでは影響はなかったのぅ。ワシらは祓魔師の訓練を受けておるから、来場した者と差があるかもしれぬが」
 ルシェイメアたちは全体の授業を通して簡単に精神を乱したり、魔性の甘言などで心を囚われることはない。
 遊園地に訪れた人々と大きな差があるものの、すぐさま彼らの様子が分かるような様子は見られなかった。
「なるどな~。出入りが自由だし、いつどこでって余計に気づきにくいか」
 ルシェイメアの意見にアキラ・セイルーンは演劇の空間は魂を移すための準備であり、それを遂行するために予期できないほどの力を弱めた状態で進めていたのではと腕組をして考え込む。
 とはいえ園内で気づいて対処を行おうとすれば、その時点で闇世界化する術を行使されて外界と遮断した領域に取り込まれてしまう可能性が高い。
 それを明確にルシェイメアが仲間たちに口にしなかったのは、最善の考えだったのだろう。
「なぁオメガさん。あいつらがステンノーの時のように遊園地を闇世界に取り込もうとしてんのだけど、どうやったら防げるのあれ?」
 人々の魂を奪われないよう策を考察する一室には、オメガ・ヤーウェも控えていた。
 生徒たちの能力向上の訓練を手伝うために訪れた魔女に、闇世界化を止める方法があるのか訊ねた。
 その仕組みが分かれば妨害する方法を見えてくるという考えである。
「わたくしの場合は、意識して止めることはできませんでしたわ。えぇっと…もしも止めるというのであれば、現実の場所を夢の世界に取り込んでしまう者を…、その……」
 オメガはアキラの質問にどう答えるべきか考え、何やら心苦しそうに視線を床に落とす。
「あっ、いや…教えてくれてありがとうっ」
 魔女が何を口にしようとしているのか分かり、アキラは片手を向けてそれ以上言葉を続けないよう止めた。
「(オメガさんはレヴィアさんと遊園地で待ち合わせしているところを、ステンノーに見つかって意識を奪われたんだったもんな)」 
 ステンノーの思念体がオメガの意思に憑依し、その能力を使い現実世界を悪夢に取り込みやすくなる要因となったことを思い出す。
 そもそも彼女自身は意識してその能力を使ったわけではないから、闇世界化を止める方法は術者の命を奪うしかないということしか思いつかないのだろう。
「(う~ん、やっぱりそうなるか。オメガさんは術の発動条件に、何か準備するってわけじゃないし。いくら模造の力といっても、本物と比較すると違うところもあるかもしれないし。あいつの居場所を先生たちに訊いてみるか)」
 あの魔性によって魔女からコピーした力は、既に時の魔性の手に渡ってしまっているが、それを使ったとしても本来の能力者によるものよりも遥かに下回る。
 その不足を補うための手段を妨害する方法を探るため、ステンノーの居場所を校長と講師に訊ねてみることにした。
「遊園地を闇世界に取り込んだ能力って、ステンノーがオメガさんの力をコピーして持って時の魔性に渡したんだろ。なぁ先生たち、ステンノーがどこにいるか知らないか?」
 何も関係ない人々の癒しの空間を奪われないよう、闇世界化を阻止する方法はないかモニター越しにいるエリザベートと、魔法学校からモーントナハト・タウンに到着し生徒が集まる一室に同席しているラスコット・アリベルトにステンノーの居場所を尋ねた。
 ステンノーが誰彼構わず闘いを挑むような争いごとを起こしたり、再び時の魔性側に協力しないよう意味を込めて祓魔術を学ぶ生徒たちの魔道具の力で抑止している。
 だが、その制約の術には居場所まで検知するような効力はないため、今どこにいるかは知る術がないのだ。
 仮に捜し出せたとしても、この場に連れてくるわけではない。
 その魔性の思念体に意志を奪われていたオメガには畏怖の対象でしかないからだ。
 ここには呼ばず人目の付かない町中で、闇世界化を妨害する方法を聞き出そうと考えていた。
「皆さんの力で彼女を抑止してもらってはいますけども、監視はしていませんので分からないですねぇ~」
 そのアキラの言葉にエリザベートは申し訳なさそうにモニター越しで眉尻を下げ、ステンノーの居場所を捜す術はないと答えた。
「再び時の魔性らに協力することはないのだから、さっきエリザベートが言った通りその必要もないということだ」
 幼い校長の言葉に付け足すよう、常に探知する首輪のようなものはないとラスコットが話す。
「制約といっても、行き先まではほとんど自由みたいな感じだもんな」
 ステンノーの居所は把握していないという教師の言葉に、その魔性と接触する方法はないようだ。
 闇世界化の妨害というよりも、別の対策を考えることにした。
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