プロローグ
「皆さん、大地溝アルベヘリにある天然洞窟にて謎の生命体と遭遇しました! 救助に行ける方はただちに向かってください! 場所がわからない方はナビゲートするので遠慮なく連絡してください!」
ロデスから救援要請を受けた
納屋 タヱ子は、オーブの家の1階で通信を繋げたまま席を立つ。
女性型小型ロボットのような外見をした人造界霊獣ドンナを超小型PCの隣につけさせ、スーパーアダプトギターを傍に置いた。
スピードアタッチを抜くことになってしまうが、ドンナの解析力で状況をより鮮明に把握することを優先。
少々雑音が混じりながらではあるが、複数から救助に向かう連絡がタヱ子に集まり始めていた。
彼女と同じ階にいる千咲は春奈が飛び出していきそうな要請だと思い、部屋を見渡す。
「あれ、春奈は?」
「春奈ならもう行っちゃいましたよ」
「はぁ!? もう行った!? あの馬鹿、味方くらい募りなさいよ……」
「千咲、大丈夫だ。春奈はまおーと競争するように出て行った」
ダイアが顔を向ける先には薬用シロップが入っていた小瓶がバランスを取ろうとくるくる回っていた。
そういえば部屋の窓は締め切っていたのに、なぜか風が吹いたような気がする。
「……ダイア、よく見えたわね」
「見えるわけねぇじゃん! 橙色と銀色しかわかんなかった……」
色で誰なのかわかるのも、2人の能力をわかっていないとできないことなのだが。
それは置いておき、千咲はルドラとソルフェに話を振る。
「ルドラ、ソルフェ、悪いけど春奈の援護を頼める? あたしと怜磨も行きたいけど、ヴェール馴染んでないし、今の状況みたいに土地に何かあるかもしれないから……」
「当然です。私とルドラでフォローしますから、千咲と怜磨は土地の管理に集中してください」
「火山の調査は後でもできるし、今は春奈のサポートに徹するぞ」
「ああ」
ソルフェとルドラが装備を整えている間、クランも描写魔法で具現したフロートブーツを履く。
書き記した能力が備わっているか、立ち上がって意思をブーツに向けると床から足が軽く離れた。
(よし。問題なさそうだ。……とんでもねぇ話ばっかだったな。救い出すにも結構苦労しそうだし、そこまでの道筋が見えない。じっとしてるより案外動いてた方が、何かしら情報掴めたりするかもだしな)
意思をブーツから離して着地すると、タヱ子が救助に向かう者たちに声をかける。
「到着しましたら連絡してください。通信越しではありますが、援護します」
「わかりました、行ってきます!」
ソルフェ、ルドラ、クランがオーブの家から急ぎ向かう。
同時刻。
幻想の森にある調薬小屋ではルキナがロングコートのポケットに万年筆を入れていた。
ヘッドフォンを装着し、杖を手にした彼女は小屋を出ようと一歩踏み出すと、2種類の薬用シロップが目に留まる。
(……念のためだな)
それらを持てるだけ詰め込んで、大地溝アルベヘリへ急いだ。
目次
第1章 天蟲リーマペダとの遭遇
ベースキャンプに届く救援要請
VS天蟲リーマペダ<1>
VS天蟲リーマペダ<2>
VS天蟲リーマペダ<3>
VS(激臭の)天蟲リーマペダ<4>
VS(激臭の)天蟲リーマペダ<5>
第2章 地の元素神フムス
琥珀色の巨岩解放<1>
琥珀色の巨岩解放<2>
第3章 鍛えた先に
ボノクと元素神の顔合わせ
ヴェールの価値
第4章 創造と発展
ロスト上空:人造天使(フォトニエル)との接触
ロスト上空:真の神狩り
ロスト東部:構い倒して視得たもの<1>
ロスト中央部:構い倒して視得たもの<2>
ロスト中央部:ガーベイジケイブ周辺の発展
ロスト東部:サーマルグレープ
ロスト北部:天上の庭でライブ
ロスト北部:グレイスゲレンデ
ロスト北部:砂漠の原住民との接触
ロスト南部:色彩の森のお肉担当、マッチョリ豚
ロスト南部:アクアオーラに住む者を呼びたいっ!
ロスト南部:宿儺町と変幻の塔
ロスト南部:ヘルバ族とレッスン
ロスト南部:藍楽堂に、コラボカフェ!
ロスト西部:ファームの発展~助けて有識者~
ロスト西部:ヴァルガング城のルージュ先生
ロスト西部:プルガリオの森最奥地に潜む幽世迷宮
ロスト西部:天使ラエアの襲撃
ロスト西部:グレイスマウンテンの麓にあるセレイン湖
第5章 対象を探しに
巨大樹調査
ロスト上空の水の街アクア・ヴィテと火の竜探索と
似た境遇、重なり合うとき
訓練の傍で生えるまかろんの樹
青竜への呼びかけ
調査にタコサメと深海発光微生物を誕生させて
タコ足を健全に書きたいのにセンシティブになるのは触手の宿命らしい
藍玉色の巨岩の過去から得たヒント
第6章 今後についての共有
藍玉色の巨岩解放会議
スカーレットの巨岩の行方
ニーヒ神受肉と天使ラエアについて