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梅影慈旺の任務奇譚

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梅影慈旺の任務奇譚
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 * 異臭漂う沼地の浄化・弐 *



「先輩たちに負けていられないね。僕も頑張らなくちゃ」
 清纏と天狗頭襟をしっかり装備したフィー・ラスティンもまた、外側からの浄化に取り掛かる。
 沼を囲む配置になるよう空蹴で移動しながら、仲間の足を引っ張らないよう丁寧に清浄化を展開していく。
「裏庭ってこんなに広いものなのかな……」
 家の裏手からは山が臨め、その手前に池のある庭が広がっているわけなのだが……。想定よりも広過ぎるように思う。
 そこに桔梗琴を手にしたジェノ・サリスが禊の大鈴を揺らしながら弦を弾き、見解を述べる。
「それは勘違いじゃないだろうな。聞いていた情報よりも敵の動きが早いせいで幻術の力が増しているようだ」
 浄化の力を伝播させる音色に乗せて五星流参ノ型・夕霧を展開――異臭の靄を浄化の霧に塗り替え押し止めた。
 とはいえ、これも一時凌ぎ。更なる浄化を重ね掛けるため休んでいる暇はない。
「ならもう少し範囲を広げた方がいいですか? 僕行きますよ!」
「いや、あっちは他の奴が向かった。それよりここ一帯を浄化し切った方が良さそうだ。手伝ってくれ」
 確かに二人で確実に浄化していく方が効率が良いかもしれない。ジェノの提案にフィーは力強く頷いた。


 *****


「はっはっはっ。まあ何かあるとすれば、本来の池の中だろう。浄化しながら進もうか」
 天鳴法衣【僧正法衣】姿の獅童 白斗は、日輪の鴉に日輪を展開してもらいながら目的の場所へと向かう。
 進めば進むほど靄に混ざる異臭も濃くなり、敵の巣の中であることを実感させられる。
 それらしい物が見えてくると、白斗も清浄化で自分の足元から浄化を開始した。
 花山院 杏は沼化した池から這い出てきたと思われるマガカミを目にする。
「流石に沼に近づいたら敵が多いわね。……泥人形なら凍らせれば動かなくなるかしら?」
 寒極の印を泥人形へと放って様子を窺う。
「……と、止まったにゃ?」
 楓花羽織・豪【楓花羽織】の袖を握って寒さに耐えながら吹雪の中に目を凝らす火狩 子虎。ホッとするも束の間、悲鳴を上げた。
「今ピクッて動いたにゃー! こ、こっち来た!? 泥で汚れるのはイヤにゃーっ」
 吹雪が止んでくると再び動き出す泥人形に子虎は天月正宗【新月正宗】を手に風雷を発動する。
 それは風の刃となって飛び出し、一体の泥人形を粉砕した。
 日輪の鴉の照魔鏡が沼の本来の姿を映すが、それは一瞬の事で直ぐに靄が掛かってしまいあまり効果はなかった。
 白斗は眉を寄せる。
「かなり侵食してしまっているようだ。この広さでは地道に浄化する他なさそうだな」
 白斗もまたマガカミ出現の根源となる物を探していた。
 この現象はただマガカミが住み着いたから起きたものなのか、それとも邪気を放つ何かがマガカミを住み着かせたのか……。
「……何も見つからねばいいのだがな」
 強いマガカミが邪気の発生源であればただ倒してしまえばいいだけなのだから――。



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