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終焉解放オーバーチュア【一曲目/全三曲】

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終焉解放オーバーチュア【一曲目/全三曲】
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「一徹二徹は当たり前、三徹四徹なんのその、五徹からが本番だ♪」
 明るい歌声、物騒な歌詞。そんな歌がF05-2898の居る避難所へと響き渡る。
 声の主は永見 博人。コンピューターでドローンを制御しながら機械生命体たちの処置へと勤しんでいた。本来であれば星楽を使用しての処置と趣きたいところだが、あれは魔力消費の大きなものであった。戦場での起死回生などには向いているが、救助された機械生命体たちの数はその時々で変わる。後で重傷者が来てもマズい、ということでこうして手数の多さで勝負をしている具合だ。
「とはいっても機械生命体たちの構造、知ってる機械とはちょっと違うんだよなぁ……」
 いかに情報を照らし合わせても細かな箇所が変わっている。おそらくは使われている金属が違うせいだろう。大まかな部分は知識で対応できるが、それ以外ともなると都度判断やテストが必要となった。しかし一度成功すればデータは蓄積されていく。この先の戦いを見据えるのであれば、こうした行動も役立つはずだ。
「機体に使われている鉱物も独特だし、後で色々調べて見るのがいいかも?」
 解析が進めば、他所から持ち込んだ機体を活用できるようになるかもしれない。そう考えれば好奇心はあっという間に膨らみ、修理する手も進んでいくというもの。なにせやればやるだけ、新たなる可能性を見いだすことができるのだから。
「とりあえずは応急手当て……処置? を続けていこうかな」
「博人、作業は順調ですか」
 博人が腕まくりをすると、声を掛けてきた者がいた。
 永見 玲央である。アーマースレイヴで周囲を護衛していた彼の表情は博人とは違い、明るいものではなかった。
「やっぱりお義父さんの機体、ちょっと変だった?」
「ええ、万全とはいかず……やや適さないと評するのが良いでしょうか」
 彼の持ち込んだ機体は他所から持ち込んだものである。
 この地においてかの機体に付き纏うのは軽微な違和感。
 慣れ親しんだはずの機体は、大まかにいえば別の機体に乗ったときのような感覚があった。普段ならば気にもとめないような風の流れも、操縦中はそれを視野にいれて動かさなければならないほどだ。
「移動だけではなく、攻撃にも関わってきますからね。敵機体を追い払うことはできたので良しとしますが……」
 玲央の脳裏に浮かぶのはさきほどの接敵に対するものであった。
 狙撃特化の機体で命中率の強化を行っても、照準を合わせるのに些か戸惑う場面があった。急所を撃ち抜くことはできたが、操作性に気を配らねばならぬのは戦いにおいてデメリットとなりうるだろう。それが入り乱れる前線であれば尚更のこと。
「落ち着いたらそちらの調査にも取り掛かった方が良いですね」
「うん、機体の修理をしながらやろうかな。助けた人達をここから移動させるためにも必要だし」
「救助した方の中で元気そうな方がいれば、そちらに教えを請うのも良いかもしれません」
 ともあれやることはまだまだ多い。玲央と博人は二、三会話を行ってからそれぞれ修理と警備に戻ることにした。


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