クリエイティブRPG

終焉解放オーバーチュア【一曲目/全三曲】

リアクション公開中!

 137

終焉解放オーバーチュア【一曲目/全三曲】
リアクション
First Prev  10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20


「うん、そろそろ引いていいかも」
 相馬 若葉は剣を降ろし、戦場の様子を窺いながら呟いた。
 特異者もとい解放者がこの地に現れ、劣勢は少しずつ均衡へと変化していく。
 あちらからすれば急に覚えの無い戦術を使ってきた思っているだろう。警戒は徐々に根付き、今までとは違う何かがあるのだと疑心へ変化をしていくものだ。
 結果として、王国軍は深追いを止めた。
 少々さっぱりとした流れとはなったが、きっと上に報告なりこちらのデータを持ち帰っていることだろう。そう考えれば油断はできない。こちらもこれから動き方やら何やらを見つめ直さねば対策されてしまうのだから。
「対立の状態が長引けば厳しいよねぇ。長引かず終幕……といけばいいんだけど……それに、これからどうしたらいいものやら。悩みはたっくさん」
 扉についての話は聞いた。それが本当かどうか若葉には分からなかったが、扉の性質を知る者によれば『危機が去れば自ずと開く』ものらしい。危機が何を指しているのかは分からないが、この地において危機にさらされていたのは間違いなく解放軍の面々である。つまり、今暫くは彼らと共にしなければならないということだ。
「豊穣の大地でやることまだまだあるんだけどなぁ……大丈夫かな。騒ぎになっていないといいんだけど……とにかく一度、オーフェデリア様のところに戻らないと」
 大人しくしていてくれればいいのだが、若葉は祈るように呟いた。

「ああー!! 私のドラグーンアーマーが……!?」
 オーフェデリアが大人しくしているはずもなかった。
 若葉のドラグーンアーマーには所々凹んだ後があり、機体のログを見ればエラーが出ていた形跡が多々あった。つまり、今は軽微な破損にまで修復されたが、その前はそうでなかったということである。オーフェデリアが『やんちゃ』したということだ。
「オーフェデリア様、勝手に乗ったんですね。乗ったんですよね!?」
「乗りましたよ。ちょっと操作が間に合わなくて壊してしまいましたが……きちんと修理いたしました」
「ええ、誰がです……? 修理してくれた人に御礼を言わないと……」
「わたくしですが?」
「いやいや、そんな……えっ、本当にオーフェデリア様が直したんですか?」
 若葉は周囲を見渡してみたものの、目があった者は同意の頷きをしている。
 それにオーフェデリアの衣服や肌には汚れやオイルなどが付着している。本当に手ずから直したのであれば、それはもう――。
「……オーフェデリア様、D因子のことは忘れましょう。今日から別の因子の可能性について考えてみませんか……?」
 別の因子のはずだ。若葉がそう告げたものの、当の本人は「D因子です」と言い張る始末。押し問答は暫しの間続いたが、先に折れたのは若葉であった。
「ああ、もういいですそれで……それよりこちらの状況はどうですか」
「D因子ですのに……。そうですね、負傷者に関しては助けられるだけ助けることができた、としか言えませんね。ここは広いですから。機体に関しては解放者や機械生命体と共に使えそうなものだけ修理いたしました」
 負傷者の応急処置は終わり、避難に必要な機体は確保した。
 王国軍が退いた今、ここに残る理由もないだろう。
「F05-2898さん、行き先はございますか?」
「ええ、私達の拠点へ行きましょう。きっと皆、喜ぶはずです」
 殿や囮以外の解放軍は、既に拠点に到着しているはずだとF05-2898は続けた。
 拠点と言うからには最低限の設備は整っているだろう。今後どう動くにせよ、機体の整備は必要だし、各々の強化もしておきたいところだ。
 オーフェデリアは暫し悩むような表情を見せ、若葉へ声を掛ける。
「それならば若葉、特異者……解放者の方々や解放軍の方に移動の通達を。支援機体の皆様には輸送準備をしていただき、動けない者のサポートを優先で頼んでいただき、機体を持ち帰れるかどうかの相談を。F05-2898さんは皆様の先導をしていただきたいので、狭いかもしれませんが若葉の重鎧機体へ一緒に乗ってください」
 テキパキと指示をするオーフェデリアに、若葉は「普段からこうだといいんだけどなぁ」とチベスナ顔を見せた。
「あ、オーフェデリア様。私のドラグーンアーマーも運んでおきたいのですが」
「わたくしが乗りましょ――」
「――他の誰かに頼みます。オーフェデリア様は支援機体に乗せていただいて、この地についての聞き取り調査を続けてください。機械弄りができるのであれば知識を増やしておいて損はありませんからね。金属について知ることができれば、こちらも手を打てるかもしれませんから」
 逆に指示を受け、オーフェデリアは頬を膨らませる。
 そんな二人の様子を眺め、F05-2898は「合いそうで合わなさそうで、なんだかんだ上手くいってそうなコンビですね」と感想を漏らした。
 

First Prev  10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20
担当マスターより

▼担当マスター:森乃ゴリラ

マスターコメント

 お久しぶりのシリーズ運営にも関わらず、たくさんの方にご参加いただきとっても嬉しいです!!
 シリアス……当社比シリアスだったかな……?
 ちなみに森乃ゴリラがシリアスって言い張っているだけなので、アクションなどはギャグでもシリアスでもどちらでも大丈夫です。

 ご参加いただいた方に招待をお出しいたしますので、
 ご都合がよろしければ次回シナリオもよろしくお願いいたします。