クリエイティブRPG

楽園に至る者達へ

リアクション公開中!

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楽園に至る者達へ
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
リアクション
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11.エピローグ

 ウーブレック村の一件が解決して数日後。
 川上 一夫は再びセオロ・ドルトバームの屋敷を訪れていた。
「我が領地でそんな恐ろしい事態が起こっていたとは……首謀者の一人はまだ捕まっていないというのもまだまだ気を抜けませんな」
 セオロは天楽快の陰謀を聞いて大袈裟に嘆いてみせる。
 お互いに分かり切った演技であるが、一夫は調子を合わせた。会社の接待で目上の者をヨイショするのには慣れている。それに今回に限っては彼も共犯者の一人だった。
「この老骨も少しは貢献できましたかな」
 村から来訪者が持ち帰った証拠と捕らえられたイサムや信徒の(紳士的な尋問による)情報提供によって多くの悪事が明るみになった。更にそこへセオロが流した顧客情報が加わったことで“西武共和国”の勢力図が一部書き換わることになった。
 ただそれも結局は椅子に座る者が変わるだけのことで、多くの者にとっては代わり映えのない明日が訪れるだけの話だ。
 しかし勝ち馬に乗った一人であるセオロは満面の笑みである。
「ウーブレック村の後始末で、狂乱の宴は三日三晩続いたという話を聞いて震えてしまったよ。腰が壊れて二度と使い物ではなくなってしまう」
「ご冗談を、セオロ殿はまだまだ現役でしょう」
「はっはっはっは、カズオ殿、お世辞が過ぎますぞ」
 セオロは怪しく笑い、机の上に冷気を帯びた小箱を取り出した。小箱には今日の日付と『遠方からの素敵な友人』と記されていた。
 一夫は跪いて恭しく小箱を受け取った。
「今後ともご贔屓にさせて頂きます」
「もちろんだとも、男児の出産を祝いたいですからな」
「ええ、それはお互い様ですよ」
 麗しき友好の証として、一夫はヘヴンスライムから作られた媚薬を手にした。
 妻との熱い夜と五人目の子ども、どこまでも明るい未来が待っているのを想像して一夫は微笑んだ。

* * *
 

 その日は雨が降っていた。
 また一つ無事に依頼を達成して、メリアドネは復帰したパーティメンバーと共に報告のため冒険者ギルドへの帰路を歩いていた。
「ん……?」
 一瞬差した陰に空を見上げて、ふわりふわりと上空を漂う紙袋を見付けた。
 何か見覚えがあるような――と思い出そうとしたところで、先を進む仲間に呼び掛けられて慌てて駆け出した。そしてそのまま紙袋のことは意識から外れてしまい、忘れ去られるのであった。
 メリアドネが目を逸らした後も飛び続けていた紙袋は、やがて雨に濡れて浮力を失うと路地裏に落ちたいった。
 街中に落ちたゴミには誰も見向きもしない。
 やがて紙袋がもぞもぞと動き出す。そしてパステルピンクの粘体が這い出してきた。
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担当マスターより

▼担当マスター:トヨシロ

マスターコメント

 リアクションの公開、大変お待たせしてしまい申し訳ございません。
 色々とギリギリな全年齢対応因習村の戦いをお届け致します。

 性癖博覧会はこちらですか? どうしてこうなった、改めましてトヨシロです。
 今回は地の文で不規則言動が多くなっておりますが仕様です。

 リアクションでは初登場シーン以外にも複数のページに登場していたり、全体を通してお互いの行動が影響を与え合っていますので、是非とも全編を通して読んで頂けますと幸いです。
 PCを示す場合は、特別な理由がない限りは出身世界を問わず来訪者と記載しています。


■リアクション結果まとめ
 ●研究所は全焼してヘヴンスライムの研究は止められた
 ●天楽快の企んでいた計画の詳細は突き止められなかった
 ●ラメーダは捕らえられず行方をくらませた
 ●倉庫に保管されていた大量のヘヴンスライムと媚薬を処分した
 ●イサムと多くの天楽快の信徒を捕らえることに成功した
 ●ウーブレック村に捕らわれていた調査隊を全員救出した

【1】丘の上の建物に向かう
 建物の正体はヘヴンスライム研究所でした。
 パートの成功度としては一周目で辿り着くノーマルエンドぐらいでしょうか。
 一応の目的は果たせましたが、色々と謎が残るという感じです。エピローグなどに描かれている内容に繋がってきます。
 シナリオ中でラメーダだけは飛び抜けてレベルが高いので、彼女を完全に無力化するのは難易度を高く設定していました。シナリオガイドで情報が制限されていたのもそのためです。
 人数の都合上、すべての部屋を調査し切れなかったので、それもあって天楽快の目的や背景は語られても、その実現方法については謎が残りました。
 サメは神獣です。異論は認める。

【2】木々に囲まれた建物に向かう
 建物の正体は媚薬を保管した倉庫でしたとさ。
 イサムや信徒を捕らえて、ウーブレック村の裏側を示す証拠品を確保できました。
 冷凍されたヘヴンスライムもたくさん詰め込まれており、何も考えずに燃やすとフィーバータイムに突入します。実は燃やそうというアクションは幾つかありましたが、調査した上での行動に読み取れたので、全員が内部の状況を把握して思い留まっています。いやまあ最後には燃やしましたけどね。
 ヘヴンスライムが一番暴れたパートだったので、多くの犠牲者を出しましたが、これは決して私の趣味ではなくアクションの結果であり、敢えて言うなら誘い受けだから無罪です。イーサスライム? あれは古参向けサービスなので気にしないでください。きっと今頃はマグメルで自由を満喫していると思います。

【3】調査隊を救出する
 無事に調査隊全員の救出を果たせました。
 救出に向かった人数自体は少なかったのですが、その代わりに他パートにもプラス補正が掛かるぐらい陽動が派手だったので無事に成功できました。
 なんか黒幕側になっている方が居るような気もしますが、まあ気のせいでしょう。男の子が生まれると良いですね。
 依頼中に村の中で襲われた来訪者も戦いが終わった後に助け出されているのでご安心ください。無事かどうかは各々の解釈にお任せ致します。


 今回は色々と趣味に走ったシナリオだったので参加者を選ぶ内容でしたが、それでも構わず飛び込んでくださった皆様に、この場を借りて改めて感謝申し上げます。
 次回こそは、早めのシナリオガイド公開と、早めのリアクション公開を目指す所存ですので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。