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【祓魔師/未廻組】祓魔師のカリキュラム10

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【祓魔師/未廻組】祓魔師のカリキュラム10
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 ステンノーの策略の進行を食い止めるべく、エリザベート・ワルプルギスは次なるカリキュラムを考察する。
 だが、幾度となく実戦を熟す生徒たちにも休息は必要だろうと考え、1日休息を取るように勧めたのだった。
 しかし、未廻組のウィード・フォン・ライヒスマリーネとアンフェ・メレッツィーの二人がステンノーの潜伏を調査に赴くと知り、彼らに同行を志願した生徒もいたようだ。
 校長から通達されたのはシャンバラ大荒野の山という情報のみで、生徒たちにも明確な場所は伝えられていなかった。
 全ては目標の潜伏先を調査する際の道中、ステンノーと共にいるであろう者に悟られず煙に巻くためであり、何時如何なる場所で好戦的な魔性に協力する者たちが潜み、イルミンスール側の動向を見聞きしているか分からないからだ。
 火山地帯に到達し、未廻組の二人と生徒たちが目にした光景は、人の道に外れてしまった者たちの姿。
 謎の集団に勘付かれてしまい、追跡から逃れようと彼らの内一人に生徒が拳を打ち込む。
 致命傷にならないよう手加減はしていたが、その者は一切怯む様子を見せなかったのだ。
 それもそのはず、避けることもせず受けた拳の一撃に対し、かすりさえ傷負っている様子が見られない。
 恐怖心がないのか躊躇なく襲い掛かり、痛覚が鈍いという点のみでは然程、著しい異端には見えない。
 拳打を食らい負ったであろう傷は、目視する間もなく完治してしまっているのだ。
 このままでは追跡を振り切れないだろうとアンフェは止むを得ず、異端な力を持つ者の足払いをし絶壁から滑落させた。
 その光景に他の者が気取られている隙をつき、登山した道のりとは異なる獣道を駆け、生徒たちと共に一般キャンプ地へと逃れたのだった。
 生徒たちが目にした情報と合わせ、未廻組の二人から報告を受けたラスコット・アリベルトは、おそらくステンノーはその異形なる者と協力関係にあるのだろうと断定した。
 遅かれ早かれ魔性の潜伏先で探っていた者は、イルミンスール魔法学校の校長の指示によるものなのだろうと勘付かれてしまう。
 再び何処かに雲隠れさせないよう、エリザベートは直ちに生徒たちにシャンバラ大荒野の火山へ向かってもらった。
「(ラスコット先生に教えていただいたステンノーさんのような、強力な魔性と対峙するときの心構え…。全力で戦ってはいけないように仰っていましたね)」
 ベアトリーチェ・アイブリンガーは講師からハイリヒ・バイベルを受け取る際、手強い魔性の対処を行う術を尋ねていた。
 もし、その対象を祓うために全ての精神力を魔道具へ注ぎ込んでしまった際、二つの結末が待ち受けているからだ。
 そのどちらも、思わしくないもの。
 一つは、再生能力すら維持できず全ての魔力を失い、相手を消滅させてしまう可能性。
 例え滅する意図がなく、痛みを与えなかったとしても、だ。
 そのような結末は彼女だけではなく生徒たちも皆望まない。
 しかしそれは、祓魔師の魔道具の扱いを学び始めた当初から習熟済み。
 重要なのは、残り一つの方。
 上回る能力を持つ魔性を相手に、端から全力で魔道具を行使してしまうと、万が一祓いきれなかった場合…。
 最早思考が回らず、反撃を回避する術を無くして窮地に陥ってしまう。
 ステンノーのような魔性を祓うにはまず、器に憑依する能力等を減らしたほうがよいようだ。
 無邪気なグレムリンでさえ、こちらの残存能力が上回らなければ対話にも殆ど応じることがなかった。
 器だけでなく己さえ深手を負うことを躊躇わない魔性相手なら尚更だろう。
「(ステンノーさんを祓う事が出来たとしても、再び何者かに協力してしまうかもしれません。彼女を止める言葉を考えておかなければなりませんね…)」
 次から次へと闘いの場を作り上げる好戦的な魔性に、どのような言葉を投げかければよいのか。
 対話に持ち込んだ際に語り掛けるための言葉の思案を巡らす。
「相手は豪快な性格なんだし。思い切って大きな声で、思っていることを全力でぶつけてみると、案外聞いてくれるかもしれないよ?」
 被りを振る素振りや顔を俯かせてみたりするベアトリーチェの様子を目にした小鳥遊 美羽は、未だステンノーと和解の糸口を探しているのではと感じアドバイスをした。
「わ…、私にそのようなことが…。いえ、この機会を逃すわけにはいきませんから、頑張ってみます…」
 美羽のはっきりと通る声のボリュームを出せるように、気恥ずかしそうに小さなトーンから練習を試みる。
 そう試行錯誤試する間もなく、活火山の麓に到達してしまった。
「後をつけられている気配はないみたいだね」
 美羽は首から下げたペンダント型の魔道具、エレメンタルケイジに触れて周囲に邪気を持つ気配がないことを確認する。
「皆、同じルートで登ると目立っちゃうかな?」
 ステンノーの潜伏先を探るため調査に赴いた際、目深に被った黒フードの追手から逃れた美羽たちはイルミンスール魔法学校に帰還したが、以前よりも警戒を強めているはず。
 ビバーチェとルルディが舞わせた花弁の中に身を隠し、はっきりと目視されず素性は知られなかったが、魔性の本体を見つける前にこちらの存在を気取られるわけにはいない。
 敢えて纏まらず、数人に別れて登ったほうがよいだろうか。
「今回の実戦は大雑把に分けると、黒フードに憑依した魔性の対処と情報収集でしょ?私は一般のキャンプ地の道順を通りながら情報収集するわ」
 創世御名 蛇々は美羽の考えに賛同し、麓に立てられた人々が訪れる登山ルートを示す看板の傍へ寄る。
 中腹まで大回りになってしまうが、思いがけない情報も集まる可能性を考えてのことだ。
「私も情報集める側に同行するわね。杏樹お姉ちゃん、後で情報交換しよう」
 ロゼッタ・ミーティスも黒フードの動向を探るため、色紙で作ったブックカバーを被せたハイリヒ・バイベルを手に一般登山の方へ足を向けた。
「中腹に着く手前で待っているよ」
 情報交換を行う集合場所を伝えた壬生 杏樹はキャンプ地の方面へ進むロゼッタたちを見送り、生徒たちはステンノーの潜伏先の調査に赴いた同じ道順と、一般ルートから遠回りして中腹を目指す組に別れた。
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