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黄泉へいざなう診療所

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黄泉へいざなう診療所
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 * 序章 *



 任務を円滑に進めるため、ダヴィデ・ダウナーは噂の診療所近辺の村々をレイグランドワークを展開しながら回っていた。
「――診療所を辞めた理由?」
 ダヴィデの質問をオウム返しした女は僅かに顔を顰めてから声を落として内緒話をするように話す。
「……もしかして、また出たの?」
「出た、とは?」
「幽霊よ。ゆ・う・れ・い!」
 診療所に勤めていた時のことを思い出したのか、彼女は両腕を擦りながら続ける。
「若い女の幽霊よ。それが出ると必ず患者が死ぬの。看護師の間では死神って呼んでいたけど。まあ偶然だって皆分かってはいたんだけどね、気味が悪くて……」
 恐らくそれは偶然ではないだろう。
 ひと月前、あの村で幻玉を操り人々を惑わしていた諷という女。彼女が幽霊の正体だろうとダヴィデは確信した。
 ダヴィデは念のため神咒を口の中で唱えてから尋ねる。
「今は医者が一人しかいないと聞きましたが」
「ああ、先生はいい人よ。余命幾ばくもない患者を受け入れて最期まで面倒を看る人だから。私達の退所も迷わず受け入れてくださったし」
 ダヴィデは怪訝に思う。患者が途切れることなく入って来る診療所では人手は必要なはず。
 にもかかわらず医者が簡単に退所を許可するなんて、何か裏があるとしか思えない。
「患者だけでなく私達看護師も体調を崩す人が増えてね。先生がご決断なさったの。……ちょっと話し過ぎたわね。このことは他言無用でお願い。先生を困らせたくはないから」
 彼女が流れるように質問に答えてくれたのはトークセンスⅠの効力によるものだ。
 加えて彼女は話し好きのようで、思いの外上手くいった。
 最後に医者の名前を聞き出したダヴィデはもうじき任務が決行される診療所へと足を向けた。


 
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