(パトリアの魅力が地球の皆さんにも伝わり、今回のイベントがこのパトリアの復興の力になりますように……私も、精一杯頑張ります)
狩屋 恋歌が
南の王城のステージに現れると、ライブ会場は歓声に包まれた。
恋歌が身に着けているのは
LANTECAによるパトリアの花々のモチーフがあしらわれた衣装だ。
頭には王の証であるアトリビュートの花冠「リーディ」がある。
普段は金色のティアラだが、今回は衣装に合わせて形を変えているようだ。
(初めての人も、今日は最後まで一緒に楽しんでくださいね)
恋歌は明るい歌声を響かせながら、観客にそんなメッセージを送る。
そこにコーラスを重ねるのは、恋歌と同じLANTECAが手掛けた衣装を身に着けた
ミイレン、
プラジア、そして
トリオナリスの3人だ。
甘味 愛歌はそこに、ゆるやかなエレキハープの演奏で加わる。
(今日は3人と共演できて、れんちゃんと私と5人でLANTECの衣装を着られてよかった。パトリアとみんなの衣装の魅力が伝わるように、ライブの演出も頑張るね)
Best Friends Forever――共演する5人の仲の良さが観客にも伝わるよう、愛歌は歌声と音の響きを合わせていく。
今回の5人の衣装合わせは主に愛歌の提案によるものだった。
愛歌の衣装は恋歌と同じくパトリアの花々のモチーフがあしらわれたリンクコーデになっていて、全体の仕立てはトリオナリスの衣装と揃えている。
さらに、プラジアの衣装には夜明けの空と大地を現す配色の生地に「明けの明星」モチーフの星を、ミイレンの衣装には宵入りの空と海を現す配色の生地に「宵の明星」モチーフの星を配し、恋歌や愛歌の衣装とシミラールックになるよう、
全体のシルエットや絵柄の雰囲気を合わせた。
(ナチュラル系の飾りすぎない自然体な雰囲気がいいよね。私の役目は、パトリアの自然表現とブランドコンセプトの引き立てかな)
観客がリラックスして楽しめるように。
愛歌はエレキハープを奏で、恋歌のサポメンの演奏に音を重ねた。
白昼夢のリボドゥカンが奏でるパトリアの伝承歌に合わせ、ステージにはたくさんの蝶が舞っている。
そこに愛歌の演奏がパトリアの大地に生える植物たちの幻影を呼び出す。
植物たちが元気よく茂り、そこに蝶がいるのは土地が豊かな証拠だ。
恋歌と愛歌はこの演出で、地域の豊かな土壌を表現しようとしているのだ。
(ガラテアさん、お願いしますね)
恋歌は広く高らかな歌声に乗せ、周囲に漂うガラテアをステージに呼び寄せた。
キラキラと光の粒になったガラテアはステージ上の者たちの周囲を華やかに演出し、ピスキルのプラジアを宙に舞い上げ、セピアナのミイレンの体を宙に泳がせた。
ステージ上に浮いた2人の手を捕まえると、恋歌は観客に向かって合唱を促す。
(LANTECAさまのブランドコンセプトは「空想と現実の私を遊ぶ」です。最後は観客の皆さんも一緒に……!)
どこからか輪唱の声が響いてくると、観客もそこに加わって歌い始め、会場全体が大合唱となった。
最後は愛歌、トリオナリスも加わって手を繋いで。
お辞儀をする5人を、観客の温かい拍手が包み込んだ。