「御髪の飾り、イメージ通りに仕上がりましたね。では改めて、今日はよろしくお願いします」
パトリアで出会った友人を見上げ、
藍屋 あみかは満足げにほほ笑む。
リデザイアの小さな子供の姿になったあみかの首元からは花飾りが覗く。
その隣で、
藍屋 むくがぺこっと頭を下げた。
「おねえちゃんが、おせわになってます。むくも、今日は、よろしくおねがいします、なの」
「ええ、こちらこそ。あみか様、むく様、お誘いいただきありがとうございます。お2人と一緒にこの衣装を着ることができてとても嬉しいです」
ミイレンは視線を下げ、小さな2人にカテーシーで応えた。
歓声の中、真っ先にランウェイに現れたのはパトリアのお菓子「白いもちふわ」の可愛らしい着ぐるみが2人。
1人は弦楽器を手にし、白くて丸い体を弾ませながらランウェイの上で楽し気に歌い始めた。
♪
「もちふわ もちふわ おひとついかが
白いもちふわ おひとついかが」
「やわらか もちふわ」
2人の着ぐるみが可愛らしく「もちふわお歌」を歌い、観客に手を振る中、むくがランウェイに現れる。
裾に緑の葉がデザインされた
KARAN KARANの白いケープドレスの胸元には大きなリボン結びが揺れ、端にあしらわれた白いポンポンがむくの動きに合わせて元気よく弾む。
むくは着ぐるみたちの歌に可愛らしいワンフレーズの合いの手を入れながら、元気よくランウェイを歩いた。
(むくの、今のゆめは「もちふわアンバサダー」さん! かわいくて美味しそうに見えるかな?)
ランウェイの端まで歩いたむくがポーズを決めると、髪にあしらわれた葉の飾りの上で小さなもちふわモチーフがぽんと弾んだ。
緑の靴の外側にも小さなもちふわ飾りがあしらわれ、観客の視線を呼ぶ。
♪
「ないてる あのこに おひとついかが
なつかし おあじ おひとついかが
白いもちふわ おひとついかが」
「しっとり もちふわ」
ポーズを変えて観客にアピールしながら、むくは次に登場するミイレンを待った。
今回はあみか、むく、ミイレンの3人は素材とテーマを合わせた衣装を選んでイベントに臨んでいる。
だが、ミイレンの水棲の生き物を思わせる容姿により合うよう、あみかはKARAN KARANに対し、アクセントカラーに透明な水色の素材を用いた衣装を提案していた。
水色のカチューシャや靴にはもちろん、かわいらしい白いもちふわのモチーフがあしらわれている。
(ミイレンおねえさん! 一緒にポーズでスマイル、なの!)
合図するように手を伸ばしたむくの手に、宵の口の空を思わせる濃紺色の宝石が光る。
むくの視線に気づき、ミイレンが微笑み返す。
そしてむくの隣でポーズを取りながら、最後に登場するあみかに視線を送った。
(次は私の出番ですね)
最後に現れたあみかは、ドレスに白いガーリーなケープを合わせていた。
ケープのリボンの端にはむくやミイレンと同じく白いポンポンを。
髪には小さなもちふわ型の飾りを茶色のお皿に乗せて髪飾りに。
裾にはそれとテイストを合わせ、茶色の木目柄があしらわれている。
あみかは姿勢よくランウェイを歩き、歓声の中ポーズをとる。
耳元の透明な宝石がきらりと光り、銀色の輝きが周囲に散った。
♪
「げんきな あのこに おかわりいかが
どっきり おあじ おかわりいかが
白いもちふわ おひとついかが」
「ほっぺじゃないよ もちふわ」
手に乗せた白いもちふわを差し出すあみかの足元で、茶色い靴にあしらわれた白いモチーフがはずむ。
観客は3人の可愛らしいアピールに大きな拍手を贈ったのだった。