「お、ミイレン。俺の姿に見惚れたか」
ステージ上の
死 雲人が
ミイレンを見つけ、挑発的な視線を向ける。
身に着けているのは露出度の高い大胆なデザインが施された
QUATAの衣装だ。
同ブランドのセクシーな衣装のアピール度を増すため、雲人はその身に神々しい光を纏い、ステージに立っていた。
「ふ……。俺はどのブランド着ても最高にかっこいいから当然だな」
「ええ、雲人様。今日のお衣装、とてもよくお似合いだと思います」
それはミイレンの正直な感想だった。
この服は雲人が持つイメージや魅力、そして白く透き通った「セピアナ」の容姿に合うよう、今日のために特別に仕立てられた一着だ。
さらに八感学の「愛情」の知識に基づいたアピールがそこに加われば、観客の心をまるで初恋のようにときめかせることすらも可能なのである。
「ミイレンも着てみたくなったか? この服の女性用もあるぞ」
「ええっ!? で、ですが……わたくしここまで露出の高いお衣装は着たことがなくて……」
「ミイレンなら、絶対に似合う」
ステージに上がって来い、と雲人はミイレンをからかった。
どうやら、本当にQUATAがミイレンの分の衣装を用意しているらしい。
この軟派なやり取りもショーの一部に見えたのだろう。
雲人のステージを見ていた観客からも期待の拍手が上がっていた。
これはもう、ミイレンも逃げられない。
「わ、分かりました! 雲人様、皆様もいいですか!? こっ、今回だけですからね!」
真っ赤な顔でバックヤードに下がっていったミイレンだったが、やがて衣装を身に着け、ステージに上がってきた。
衣装の胸元は大胆に開き、裾も大胆なスリットが入って生足がギリギリまで見え隠れしている。
雲人は満足そうに「最高だ」と頷いた。
「思った通り、ミイレンはおっぱいが大きいからセクシーに決まるな。エロくてとてもいい」
「もうっ……! 今度からこういう役目は別の方に頼んでくださいね?」
「そう怒るな。とてもよく似合っているぞ」
ふくれっ面のミイレンを前に、雲人は哀鳴きのラーガを歌い始める。
ステージは星空のオアシスに変わり、月の光が雲人を照らす。
水の種族であるセピアナと、露出度の高いQUATAの衣装のセクシーさには月の光が照らすオアシスの水辺がよく似合う。
その中で自分の存在感をアピールすることで、より観客やミイレンの目を惹きつけられると雲人は考えていた。
「どうだミイレン。この光で照らされた俺、綺麗だろう?」
「ええ……綺麗だと、思います……」
「やはりミイレン、本当に見惚れてる」
「惚れ……!? もうっ! もうこれ以上は許してください……!」
「顔が真っ赤なミイレンは可愛いな」
「あっ、赤くなんて……! なってませんから!」
「ミイレンは俺の事が好きだな」
「違います……っ! そんなんじゃ……!」
「じゃあ、もっと見せてやろう」
雲人はミイレンのそばに寄り、悲哀を誘うようなその歌声を間近で聞かせ続けた。
俺のセクシーな服を間近で楽しめ――
神々しい光を纏った雲人にぐいぐいと迫られたミイレンは逃げ場を失い、両手で顔を覆っていた。
「恥ずかしいですから……! もうっ、わたくし、泣いちゃいます……!」
「ミイレンも月の光で綺麗で可愛い」
「~~~っ!!」
「ますます俺のハーレムの女に相応しい美しさだ」
ミイレンが雲人のハーレムに入るかどうかは分からない。
だが、容赦のないそのアピールに今回、たじたじになっていたのは間違いないだろう。