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理想の未来に死にゆく絆:第8話

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理想の未来に死にゆく絆:第8話
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「なぁ、なんで俺たち、メシ食ってんの?」

 cafe Classical Sweetsのイートインスペースで、ヒューマンに化けたクイジがスプーン片手に話を振る。
 頼んだコーンスープにまだ手をつけていないのか、ホワイトソースは綺麗な円を描いたままだ。

「ティラが腹減ったと言うからだ」

 バランの言葉にティラは頬張りながら口を尖らせる。

「はりゃがへってはしんりゃくはできぬっていうでしょ」

「こぼしながらしゃべるんじゃない」

 バランはティラの食べっぷりに溜息をつき、これまでを振り返る。
 ――私を邪魔する冒険者たちに挨拶してくるわ。あなたたちは遅れてきなさいね。
 6人が仕える主は帰宅早々、クルーアルの体をトランクに詰めて出て行った。
 短い言葉の中に冒険者たちの戦力を削る指示を拾った彼らは、装備を整えて朝日が差す前に出発。
 飛行なら、主と入れ替わるタイミングで到着でき、追いうちをかけられる。
 そう思っていたが、ティラの唐突な寄り道で崩れたのだ。

「バランも食べなさいよ。わたしたち、帰ってきてから何も食べてないんだから」

「あぁ」

 ディーフェの勧めに、バランもパンを半分に割いて、バターを塗る。
 窓側ではファイがカゴに入った丸パンをトリトに差し出していた。

「ほれ、トリトも。気を抜けるのは今だけだぞ」

「ん……ありがと」

 トリトは1つ取って自分の皿に置く。
 主のいない同志たちだけの時間。
 ずっと彼女の癇癪に振り回されながら、励まし合い、今日まで生きてこれた。
 賑やかだけど穏やかな朝食を過ごせているのは、ここにいるみんなのおかげ。
 永遠に続いてほしい。
 ……だが、軽快なベルが終わりの時間を告げる。
 店主の挨拶が聞こえ、彼らが座るテーブルの側でヒールの音は止まった。

「あなたたち、何やってるの?」

「お、お嬢様……!」

 ディーフェが席を立つと、5人も慌てて起立する。
 彼女が説明しようとすると、ティラが先に言葉を発していた。

「お嬢様、わたしがいけないのです。空腹になると狙撃がボロボロになっちゃうから……」

 ノー・キラーは6人の顔をさっと眺め、彼らの持つ武器を一瞥する。

「……そう。自分を理解しているのはいいことよ。まぁ、あなたたちにここで会えてよかったわ。渡したいものがあるの」

 ノー・キラーは背負っていた剣を2本、ディーフェとバランに渡す。
 鞘から抜いてみると、機導武装だった。

「あと、あなたにはこれを」

 彼女はバランに大盾の機導武装も与える。

「敵の中に機導使いがいるわ。その武器だと簡単に壊れてしまうわよ。使いなさい」

「「ありがとうございます」」

 2人は丁寧に頭を下げ、鍔にあるであろうコアを確認する。

「あぁ、それ。コアは抜いてあるから。剣技だけで十分でしょう?」

 その言葉に2人は表情を硬くし、不安になりそうな顔を何とか取り繕って肯定の返事を返す。
 彼女は満足げな顔で、ショーケースに並び始めたケーキを前に、注文を始めるのだった。


◆目次◆



1章:一時の安堵と秘める誓い
一時の安堵
これが俺だ
宣誓

2章:魔力狩り残党戦
偽者たちとの激突
VSティラ<1>
VSティラ<2>
VSティラ<3>
魔力狩り残党戦<1>
魔力狩り残党戦<2>
魔力狩り残党戦<3>
魔力狩り残党戦<4>
魔力狩り残党戦<5>
魔力狩り残党戦<6>

3章:魔装
魔装への道
魔装試練<嗜薫風>
魔装試練<従剣ツヴィリング・ガード:1>
魔装試練<従剣ツヴィリング・ガード:2>
魔装試練<従剣ツヴィリング・ガード:3>
魔装試練<白導>
魔装試練<ガーベラの縦横盾>
魔装試練<予知鏡(フォーサイトミラー)>
魔装試練<紅炎のピアス>
魔装試練<明星の燈装:1>
魔装試練<明星の燈装:2>
憧れの実現と精霊魔法指導<1>
憧れの実現と精霊魔法指導<2>

4章:理想の未来に死にゆく絆
最終決戦に向けて
全てを知る者たち
理想の未来に死にゆく絆<1>
理想の未来に死にゆく絆<2>
理想の未来に死にゆく絆<3>
理想の未来に死にゆく絆<4>
理想の未来に死にゆく絆<5>
理想の未来に死にゆく絆<6>
理想の未来に死にゆく絆<7>
理想の未来に死にゆく絆<8>

終章
過去を終えて
覚悟は決まった。始めよう

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