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<スカイドレイクIII>掴む未来

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<スカイドレイクIII>掴む未来
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~ 世界平和へ ~

 さてここで、ここしばらく出てきた『国際スポーツ祭』という語について説明しておかねばなるまい。元はといえばそれはスカイドレイク大戦後に余剰することになった各国の戦闘員たちの失業を防ぐため、ルキナ・クレマティスが国際闘技大会として提案した概念だ。それをさらに一般に門戸を開くよう、命を奪いあう戦いを得点や記録を奪いあう戦いへと置きかえることにより、平和と闘争心を両立せんという祭典。
 それをルキナがムタパへと出かけている間に、スカイドレイク世界の国際機構であるスカイドレイク連盟は少しずつ形にしてくれていたようだった。

 現時点では対戦競技には国ごとの違いが大きすぎるため、身体能力を競う種目を基本とすること。
 同時に、各競技が発祥国以外にも普及し、いつしか国際スポーツ祭の正式種目となれるよう、エキシビジョンを行なうこと。

(なるほど、普及のためのエキシビジョンか……ならばスポーツ以外に関しても、各国の文化や芸術の祭典を計画するのは良い方法かもしれない)
 そしてm文化芸術の祭典を部分的に国際スポーツ祭にも採りいれたもの……それが各国のパフォーマーが一同に集う開会式と閉会式だ。
「ええっ、アダルでのライブが噂を呼んで、私たちも開会式への参加が期待されているのですか……?」
「良かったですね弥恵。弥恵が世界じゅうから注目を浴びるよう、このような演出を考えてみたのですがどうでしょう?」
「ふむふむ……って、こんなお色気演出はごめんですよ!? それとグッズ販売と握手会もこの前のライブだけで十分ですし、何より世界的なイベントを使ってやるような話ではありません!」



 とはいえ双子島で紛争をくり広げていた戦闘員たちに関しては、この恩恵に必ずしも与れるとはかぎらないのだろう。
 何故なら、国際スポーツ祭はあくまでも国同士の祭典。それをアダルとイファトのような小石龍島にまで許すようにしてしまっては、キリがないという言葉が相応しかろうから。

「だが、大会がそれだけである必要はないはずだ」
 ゆえに双子島同士の調停用の大会を、真希那は提案してみせた。
「こちらの戦いが終わったからといって、巨木の森から遠出してくる魔物までいなくなるわけじゃない。ならば、それを狩った数を競いあえばいい。森のマナをたっぷりと吸った魔物は良い魔術材料になるからな……それを買いとらせてもらえれば、ノヴォルーシの人々の生活もよくなる」



 ……もっとも。
 こうして世界が平和をとり戻しても、必ず、いつか再び紛争は起こるのだろう。
 そうならなければいいと願いはしても、その願いが容易く叶うものではないことを天峰 ロッカは知っていた。
 世界大戦は終結し、双子島も未来に向かう。でも……それらは争いが偶然見えたから解決できただけ。この世にはまだロッカも知らないところで、紛争の火種はくすぶっている。
「そこで皆様に提案したいのは、スカイドレイク連盟の下部機関、『平和安全理事会』の設立なのです」
 すると先ほどムウェネ=ムタパの正式な連盟加盟が決定した瞬間にひき続き、連盟臨時総会の場は、彼女の演説を受けて万雷の拍手で沸いた。

 平和安全理事会。それは各国の紛争解決を担う場所。スカイドレイク連盟事務総長の名の下に世界の平和と安全を維持する機関であって、紛争の防止と拡大阻止の責任を果たす。
 もちろん、かつての『アダルの王』盗難のような、外的な要因そのものは防げないだろう……だとしても、もし当時に平和安全理事会が存在すれば、速やかにワハート・ジャディーダ政府は理事会に調停開始を発議し、調査と、国際南方領域探検隊の派遣にまでこぎ着けられただろう――そう言える組織になるのが世界の理想だ。
 それで本当に全てが解決するとは、ロッカ自身も思わなかった。理事会は時には当事者間の戦闘を強制的に中断させるため、平和維持隊の投入を余儀なくされるだろう。平和維持隊は中立的でなければならないわけだから、多くの国から人員――普段は各地に散らばって、『スカイドレイク』という巨大な龍の耳目となるのだ――を供出してもらうことになる。ということは、当事国自身が他国の人間を関わらせることに抵抗感を持ち、調停を求めずにおくかもしれない。

 だとしても、もし、各島・各国が十分なパートナーシップを築けたのなら。
 互いに平和維持隊をやり取りできる関係を創れたならば。
 そうでなくとも、もしも少しでも悲惨な暴力に苦しむ人々が、ほんの少しでも救われるなら……。

 ……そこに、掴む未来は訪れるのだ。
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