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理想の未来に死にゆく絆:第7話

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理想の未来に死にゆく絆:第7話
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捕獲♪ 捕獲♪<2>


 各部屋のクロッツを追い出したマルチェロは守護光壁で道を作っていた。
 庭側に続く廊下とダイニングルームに続く廊下をそれぞれ1つに絞り、残りを光の壁で塞ぐ。

(大体こんな感じですかね)

 窓も全開になっているのを確認し、マルチェロはシン・カイファたちの様子を見に行く。
 庭側の窓を全部開けているのは、スレイの作戦の1つである。
 庭にダーティベイトを撒き、その臭いにつられたクロッツを空と地上から駆除する。
 スレイがマルチェロに声をかけたのは、その作戦をリインに知られないよう共有するためだった。
 命の選別とも言えるこの方法は、リインにとってとても気に障るやり方。
 余計な争いはしたくない。

「ふっくくく……」

 2人を見つけたと思いきや、ジャスティンが笑いを堪えきれないでいた。
 笑われているシン・カイファは肘で彼を小突く。

「どうしたんですか?」

「や、コイツがGに翻弄されてるのが面白くてさ」

「やめてくれ……」

「それはこれから見れるということで……準備はいいですか?」

「あぁ。こっちは問題ない」

「マルチェロ、笑うなよ?」

「保証できません」

「我慢してくれや」

「じゃ、行くぞ」

 ジャスティンはクロスボウの弦から甲高い威嚇音を立てる。
 乾いた破裂音にクロッツが一斉に壁や床を走る。

「うわ……」

 茶色の大移動に呆然としつつ、ジャスティンは続けて銃で威嚇音を上げる。

「シン、あそこ固まってるから何とかしてこいよ」

 ニヤニヤしながら言うジャスティンに、シン・カイファはしょうがねぇと言いたげな顔で向かう。
 クロッツが固まっているのは光の壁の隅。
 ここを右に曲がるとダイニングルームなので、そっちに動いてもらうよう誘導する。

「ほら、動けって。新しい親が待ってるぞ」

 バックソードを抜き、刃のない方をクロッツに向け、切っ先で羽をつつくと蜘蛛の子を散らしたように塊が消える。
 よし、今回は笑われずに済むと思った瞬間、頭に重たい何かが乗っかり、思いっ切り顔面を壁に強打。
 シン・カイファの後頭部に着地したクロッツは彼を橋にして壁を歩く。

(くっそ……)

 壁に手をついて体勢を整え、道に迷うクロッツを右に行かせる。
 背中や頭に何かがのしかかっているが、もう全力で無視を決め込む。
 その様子をマルチェロとジャスティンは笑いながら眺めていた。
 ラッセルショットのおかげで、2人の周りにクロッツはいない。
 こけそうになるシン・カイファに、ジャスティンは表情を緩ませながら威嚇音を出すが、のしかかってるクロッツは降りる気がないらしい。

「まるでGアーマーですね」

「育てたら良い防具になるかもな」

 正面からだと、後頭部には触角が生え、背中からは翅が生えている。

「フィリアが見たらどんな反応するんだろうなー」

 その名前に思わず、ビクッとするシン・カイファ。
 こんな姿、絶対見られたくない。鏡見なくてもわかる。これは

(圧倒的にダサすぎるだろ――)

 シン・カイファは重い体を動かし、剣身が当たらないように床にいるクロッツに向けて振る。
 するとどこからやってきたのか、茶色の個体がのそのそやってきてシン・カイファの腹部に飛びついた。
 この瞬間、彼は3児の父になる。
 クロッツを引き寄せる餌も持ってないし、優しくした覚えも全くない。
 なぜこんなにも懐かれているのか、クロッツのみが知る。
 もし、ずっとくっついていたらフィリアは育ててくれるだろうか。
 答えはノーだ。
 なぜなら、彼女はクロッツを見るといなくなるまで部屋の隅で震えている。
 誰かが駆除しない限り、彼女は動けないのだ。
 シン・カイファが動かなくなり、さすがにまずいと思ったジャスティンとマルチェロは慌ててクロッツを剥がしにかかる。
 これ以上放置するのも可哀想なので、以降は3人一緒にクロッツを右の通路に追い込んだ。

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