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理想の未来に死にゆく絆:第7話

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理想の未来に死にゆく絆:第7話
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希望と決裂


「簡潔に言う。俺はこの事件を円満に終わらせたい。アンタやクルーアル、この一連の騒動に関わったやつらが心から救われるような……そんな結末にしたいと思ってる。そんなことできないと思ってるかもしんねぇけど、俺はできると信じてる」

 そうはっきり言えるのは、ルージュの存在もあるからだ。
 かつてユーラメリカでevilとして敵対していた彼女は今、立派な仲間である。
 特異者たちと共闘し、優と共にいることを誓い、愛を胸にいろんな世界で戦っている彼女の人生はまさに理想に近い。
 ノー・キラーとクルーアル次第だが、ルージュのような歩み方もできる可能性がある。

「俺はお前たちを救いたい」

「私がいつ助けてほしいと言ったの?」

「っ」

「私はこの復讐をやりたいからやっている。これが仲間への弔いだと思っているわ」

「アンタは死んだ仲間に囚われすぎだ」

「囚われていない。これが終わったら、誰の干渉もない場所でゆっくり過ごすつもりよ。誰かが私の安全を脅かさない限りね」

「だったら、もうここで武器を捨てた方がいい。そうすれば、俺たちは何もしない。クルーアルにも殺さないように話をつける」

「信用できないわ。なぜだか、わかる?」

 黙る飛鷹にノー・キラーは続ける。

「あなたがロージを救わなかったからよ。どうしてエスの方に向かったのかしら? 想像つかない? 死にたいって言い回っている人がいるなら、人族の多くが彼の死を止めに行く。それはなぜか。私の仮説に過ぎないけど、きっと体の中に刻まれていると思うの。人は1人じゃ生きていけないって。仲間を失えば失うほど、種としての生存も難しくなっていく。だから、反射的に止めるし、亡くなったら亡くなったで相当苦しくなってしまうの。顔を知らなくても死という事実を目の当たりにすれば胸が痛むのも、きっとそういうことよ……それで」

 ノー・キラーは飛鷹の耳元に顔を近づけ囁く。

「どうしてロージを救わなかったの? まさか仲間と衝突するのが怖かった……なんて言わないでしょうね?」

(変なところついてきやがりましたね……)

 風は飛鷹の背を見つめながら、顔をしかめた。
 彼がトラディ村の夜戦が始まるまで、悩んでいたのは知っている。
 自分が正しいと思う考えと世間や周りが正しいと思っている考え。
 どちらを取るべきか。
 村のために戦う仲間の邪魔はしたくない。でも向かってくる者全員を救いたい。
 相反する考えの選択にどれだけ時間を割いてきたか。

「…………アンタなら、どうする?」

「私があなたなら、両方救うわ。例え殺す考えの人がいても、気にせず救うわよ。私が正しいのだから」

(あぁ、この人は……仲間のことを考えないのか、あるいは仲間のことを考えたくなくて蓋をしているんでしょうね)

 そう思うと、飛鷹がたくさん悩んできた時間は誰かを思い遣る時間であることに気付かされる。

「あぁ、そうだわ……私を救いたいなら、1つだけ方法がある」

「教えてくれ」

「クルーアルを殺したら、私は心から幸せになれるわ」

「それはなしだ」

「飛鷹…………僕を殺せ。お前に殺されるなら、僕嬉しいよ」

「ほら、クルーアルもこう言っているわ。私たちが望む幸せをちょうだい」

「飛鷹」

 クルーアルは起き上がり、飛鷹に腕を回す。

「頼む。ここで終わらせてくれ」

「だめだ。お前はっ、うっ……」

 突如背中の痛みとともに、体にのしかかる重み。
 クルーアルが飛鷹の背中にグラヴダートを刺し、その場に座らせた。

「てめぇ……」

「僕は本気だよ」

 クルーアルは飛鷹の右脚にある黒緋の短剣を取り、飛鷹の手に握らせる。

「精神姿ならこれを突けば即死だ」

「盛り上がってきたわね……! 彼だけ傷つけるのは不平等だから……あなたたちにも、ちょっとだけ傷をつけてあげるわ」

 ノー・キラーはクルーアルの肉体を左手で抱え、右手に短剣を握る。

「あなたたちが嫌いなこと、それは目の前で救えるはずの命が救えないこと」

 冒険者たちが一斉に武器を構える。

「せっかくだから、同時に刺しましょう。短剣を振り下ろすタイミングはいつでもいいわよ。私が合わせてあげる」

 ノー・キラーが飛鷹に時間を与える。
 ノー・キラーと冒険者たちが飛鷹を見守る中、彼は短剣を握りしめた。

「クルーアル、もうちょっとこっちこいよ。刺せねぇから」

「うん」

 クルーアルは飛鷹の膝に座る。
 飛鷹は重い腕を彼の腰に回すと、クルーアルが囁く。

「飛鷹、お前が僕を殺せば魔装が解放される。リインにも魔力が行く。ダイアへの償いになる。そしてお前にも何かしらのメリットが生まれる。やってくれるね?」

「……あぁ。お前の望み、叶えてやるよ」

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担当マスターより

▼担当マスター:黒羽冴

マスターコメント

本シリーズ第7話、おつかれさまでした!
唐突ですが、夏凛とーご様からファンアートをいただきました……!
ツイッターにアップされているそうなので、ぜひご覧ください!
お忙しい中のファンアート、本当に感謝です!

では改めまして、今回はちょっとした雑談交えての全体的な結果報告となります。
さらりと目を通していただけると幸いです。

■染まる武器について
【3】にて本の獲得と修理が完了しています。
従剣:ツヴィンリング・ガードと白導が支障なく使用できるようになりました。
また、白導につきましては能力の詳細が確定しましたので、個別コメントのご確認をお願いいたします。
従剣:ツヴィンリング・ガードに能力の変化はありません。

染まる武器の鎧と靴を獲得された方にも個別コメントを送信しております。
ノー・キラーとの対戦にて能力の一部を紹介していますが、
描写されていない能力もありますので必ず個別コメントをご確認ください。

ノー・キラー戦にて能力を失っている描写がありますが、後ほど復活します。

■ノー・キラーについて
右腕を失ったことで、機装が扱えるようになっています。
砂漠地方のアバターで挑まなければいけないのかと思うかもしれませんが、そうではありません。
右腕以外は生身なので、北部地方アバターでも十分戦闘ができます。
ドレスの結界が厄介ですが、破る方法も示してますので、アクションを組む際の参考にしていただけると幸いです。
彼女のドレスも新しい染まる武器で、当初トレーンが長いドレスを想定していました。
ですが、皆さんが魔力狩りを阻止したことで、足首ほどの長さに変更となっています。

■裏話
今回Gをテーマにシナリオをやるにあたって、いろいろ調べてみたのですが
もうね、ぜひ皆さんにも見てもらいたいです。(皆さんのスマホやPCの履歴をGで埋めたい黒羽)
見てると結構面白く、人類の宿敵に相応しいなと思いながら、書きました。
そしてGを舐めていたのか、巨大Gの部分は何回も書き直す足止めを食らっております。
本編の流れがおざなりになってないか心配……。恐ろしいぞ、G!

ダレストリスの日常では、フィリアとフィルの素性がボロボロ出てますが……
もし需要とタイミングと運営チームの許可があれば、2人を軸にしたシリーズものもできるかと思います。
ただ、新しいシリーズとなるといろいろ設定を組まなければならないので、すごく間が開くかもしれません。
黒羽の独り言だと思って、ここはさらりと流していただければ幸いです。やれるかどうか本当にわからないので……!

■次回予告
話数の変更は今のところ、予定しておりません。
現在、別のシナリオを出させてもらってますので、次回ガイドまで空きます。
こちらの都合で大変恐縮ですが、残り3話、最後までお付き合いいただけると幸いです。