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理想の未来に死にゆく絆:第7話

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理想の未来に死にゆく絆:第7話
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ぼくはあの子たちを飼う<2>


 冒険者たちとリインは、ダイニングルームにある椅子に腰を下ろす。
 もちろんここもクロッツがうろついているので、アキラ・セイルーンがオータスシェルターを張って侵入を防ぐ。
 メジェールは外で待機となった。理由はお察しのとおりである。

「リインはどうしたいんだ?」

「もちろん飼うに決まってるでしょ。今度こそ、クルルを説得する」

「ん? リイン、抱えてるそれはもしかして……」

「クロッツだよ。案内中に飛びかかってきて、あ、どうしようって顔してたから、きっと目標位置を間違えちゃったんだと思う。その隙に石を食べさせて大人しくさせた」

 どこから話を広げればいいのかわからなくなったアキラは、理解したようにうんうんと頷いて口を開く。

「リインが責任持って飼うというなら捕獲を手伝うぞ」

「ありがとう、アキラ」

「ワシも手伝うぞ。少し手荒になるかもしれんがの」

「気絶程度にしてくれれば大丈夫だよ」

 隣に座るルシェイメアもアキラの理解したフリに内心苦笑いしながら賛成する。

「俺もその方針で行くぜ」

「飛鷹もありがとう。この子も喜んでるよ」

「そ、そうか……(無表情にしか見えねぇんだが)」

「私もリインが飼いたいなら飼ってみればいいと思います」

「オレもリインの意向はできるだけ尊重したい」

 マルチェロ・グラッペリとシン・カイファも同意を示す中、ジャスティン・フォードは頬杖しながら視線をリインに向ける。

「なぁ、何でG……じゃなくてクロッツを飼いたいと思ったんだ? “親がいないから”とかいう理由……だったら俺は驚かないぜ」

「可愛いから」

 頬杖していた肘が滑り、クロッツの顔が視界に入る。
 黒光りした目、小さくて強靱な顎に揺れる触角。
 ときに脚をパタパタさせて謎の動きをしている。

(かわ、可愛いか? まぁ、可愛いは人それぞれだ。変わった生き物を飼ってた奴いるしな)

「何か変?」

「変じゃない。蛇とかタコとかデンデンムシ飼ってた奴は知ってるから、その辺は問題ない。捕獲は協力する」

 6人がリインに賛成する中、ユエは困ったような顔、スレイは両肘をテーブルについて小刻みに震えていた。

「み、皆さん捕獲の方向なんですね……」

「お前まさか……」

「駆除の方向でして……」

 言いにくそうに話すスレイにリインは乱暴に席を立つ。

「すみませんすみません! ひっ……!」

「許さないよ……」

 後ろに回られ、殺気とともに短刀の刃が首に添えられる。
 シン・カイファは慌てて席を立った。

「リイン、落ち着けって。全部飼うわけじゃないだろ。だったら駆除も考えないとだな……」

「全部飼う」

「まじかよ……」

 呆れるようにつぶやくジャスティンに、シン・カイファは話を続ける。

「できれば数は……手の届く、抱えられる範囲で妥協してくれや。多頭飼育崩壊で周りの迷惑になるのもなんだ、バツが悪いぞ」

「シン・カイファの言う通りだぞ、リイン。お前がちゃんと魔獣たちを管理しているのは俺もこの目で見たから賛成してやりたいが、万が一脱走とかされたら他人に迷惑かける。それに一般人は魔獣なんて飼わないし、下手すると討伐依頼が出るかもしれねぇんだ」

「でも、みんな優しい……」

「お前がそう思っていても、他人は魔獣ってだけで武器を向けるんだ」

 シン・カイファと飛鷹の懸念に、リインは顔を伏せて黙ってしまう。

「まぁ、そこまで深刻に考えなくてもいいでしょう。大事なのは、飼うなら最後まで面倒見ること、他者に迷惑をかけないよう躾けることといったペットを飼う上での注意事項を守れば問題ないと思います」

 マルチェロの言葉に、リインは顔を上げる。

「できますね?」

「うん。できる」

「決まりじゃな。ところでリイン。ちょっと聞きたいことがあるんじゃが」

「何かな?」

「クロッツ自体の効能や、薬として調合した場合どうなるか知っておるか?」

「え?」

 リインの目がぎらつく。
 命の危機にルシェイメアは慌てて補足する。

「きっ、貴様は魔物や魔獣に詳しいのじゃろ。だったら、こういうことも詳しいかと思っての。雑談じゃ雑談」

「知りたくもないよ。そんなの。その系統ならエスが詳しいから聞いてみれば」

「意外じゃの。そういった知識も持ち合わせておるのは」

「今でも忘れられないよ。昔、足と同じくらいの大きさの芋虫飼ってたんだけど」

 早く捕獲に移りたいが、リインの目が殺気立っている。
 これは聴いてあげないと落ち着かなそうだと察して、話に耳を傾ける。

「すごくムチムチしてて、癒やしが欲しいとき、よく顔を埋めてたんだ。そんなある日、隠れ家から帰って癒してもらおうと芋虫のところに行ったらいなくなっていて、エスが留守番だったからエスの部屋に行ったら、石臼の中に入った何かを石棒で潰してて……そしたら石臼から芋虫が顔を出して、それを容赦なく石棒で……」

「リイン、もうよいもうよい。ワシが悪かった。もうその話は二度とせんから安心するがよい」

「そのあとしっかり処したけど、エスは頭がおかしいんだ……! ぼくが可愛がってたのを知ってたくせに!」

「わかった、わかったからの」

 ルシェイメアはリインの背中を撫でる。

「とりあえず、メジェールさんに私たちの方針を伝えてきますので」

「あ、マルチェロさん。移動しながらでいいので、少しお話が」

 アキラがオータスシェルターを解いたあと、マルチェロとスレイは部屋を出る。
 マルチェロたちがメジェールに話をしに行っている間、リインは床でうつ伏せになり、クロッツを再び観察。
 ただじっとしているだけなのだが、彼にとってその様子も飽きないようだ。
 飛鷹は白いブーツを手に足元へそっと近づき、手技でリインの靴と履き替える。
 対象が靴なので足はちょっと持ち上がったが、リインは変わらずクロッツを眺めている。
 飛鷹は革袋の中にさっと染まる武器をしまい、安堵の溜息をつくとマルチェロたちが戻ってきた。

「話をつけてきましたので、早速捕獲しましょう」

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