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理想の未来に死にゆく絆:第7話

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理想の未来に死にゆく絆:第7話
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ノー・キラーVS<4>


 ノー・キラーは右手から黒の大剣を出し、イルファンの剣を受ける。
 イルファンは剣から伝わる振動を手に感じながら、勢いよく弾き、前に踏み込む。

(なかなか重い剣だな。それにかなり硬さを感じる)

 振るわれる大剣に、イルファンは大盾で受け止めて返そうとするが、カウンターさえも防がれる。
 それを利用して打撃に変えるが、大剣の面で受け止められた。
 イルファンはそのまま大盾でノー・キラーを押さえながら、魔剣による回避が厳しい斬撃を連続で繰り出す。
 ノー・キラーは大剣によるグレートウォールで全て弾き返し、全く同じ技を返してきた。
 イルファンは大盾で防ぎ、大剣をえぐるようにして反撃する。
 シールドカウンターで剣筋がぶれた隙をついてもう一度、高速の五連斬りを見舞うが……

(通らないだと……!)

 魔剣にも関わらず、刃がノー・キラーの体に届かない。
 左胸を斬ろうと力を込めるが、それ以上刃が進まない。

「魔剣なのに届かないって思ってるでしょう? イルファン、あなたのために私ちょっと頑張っちゃった」

 顔を近づけるノー・キラー。
 大きな隙に剣を振るおうとするが、彼女はイルファンの顔を見据えたまま、大剣で抑える。

「このドレス、何重にも結界が張られているの。そう簡単には破れないわよ」

「……ならば、俺も貴殿の努力に応えなければならんな」

 互いに下がり、再び斬撃を重ね合う。
 隙が見えた瞬間、イルファンは重さと速さを兼ね備えた剣技でノー・キラーの体を斬り裂いた。
 また1枚結界が割れたのに気付いた彼女は、同じ技を返していく。
 イルファンがノー・キラーを相手取る中、アリシアは負傷した仲間に治療を施していた。

「アリシアさん、すみません……」

「謝っちゃだめだよ。今は休んで……」

 スレイは気絶した幸人とユエ、座り込むバリオスとともに建物の壁に寄りかかる。
 アリシアは治療を完了させると、3人とはまた別の魔力を感知する。
 その方角を見ると、炎の海が広がっていた。

(あっちにも行かなきゃ……!)

 鐵の双璧のもとに走るアリシア。
 炎が彼女を脅すように揺らめくが、アリシアはそれでも飛び込む。
 炎の内側には鐵の双璧がうつ伏せになって倒れていた。
 近づけば靴の先が血で濡れる。

「っ……!」

 アリシアは2人を何とか仰向けにし、強力な治療術式を施す。

(大丈夫かな……?)

 2人の規則正しい呼吸が聞こえて、アリシアは胸を撫で下ろす。
 だが、ここからが本題だった。

(2人をどうやって運ぼう……)

 鐵の双璧を抱えて運ぶには炎を越えなければならない。
 今のアリシアでは厳しかった。

(だ、誰か呼ばなきゃ……!)

「だ、誰か……」

 いつもの声じゃ誰にも届かない。

(もっと張らないと……)

「誰か……!」

 これでもまだ届かない。

(もっと……!)

「誰か! 手伝って!」

◆ ◆ ◆


 アリシアの声にユエは目が覚める。

「スレイちゃん……」

「ユエ、目が覚めましたか。どこか痛いところはないですか?」

「ん、首がちょっとね……それよりアリシアちゃんの声が聞こえたわ。行かないと」

「おそらく千羽矢さんたちの治療で何か困っていることがあるのでしょう。加勢しませんと」

「スレイちゃん。ワタシが行くわ。今は治療術式が使えないから、誰かにこのことを報せてくるわね」

 ユエは翼を広げ、金属音が鳴る方へ飛ぶ。
 その一方で、ノー・キラーとイルファンの戦闘は続いていた。
 斬撃を受け、額や鎧の隙間から血を流すイルファンに対し、ノー・キラーは無傷で果敢に攻める。
 大盾で斬撃を受け流した瞬間、仲間の声が飛んだ。

「イルファン下がれ!」

 声の主は垂だった。
 イルファンは彼女の剣が届かない位置まで後退し、垂と入れ替わる。

「行くぜ、ブリジット!」

 垂は白い炎の塊となった槍を投げ、起爆。
 爆風と砂煙がノー・キラーを襲う。
 彼女が腕で顔を防御している間、ブリジットが砂煙に溶け込んで仕掛ける。

(この状態でどこまでやれるかわからないけど、超近接戦闘なら防ぎようがないわ!)

 短刀を振り回した瞬間、薄く晴れた砂煙の中でノー・キラーと目が合う。

「目くらましで私を欺けると思わないでちょうだい!」

 次の瞬間、キルストームがブリジットと垂を襲う。
 2人はノー・キラーが生む魔風に巻き込まれながら大剣の超高速回転連続斬りを受け流すが、魔風が止むと2人は全身傷だらけになっていた。

「くそっ……!」

 2人はぎりぎりの状態で体を起こすが、ノー・キラーの斬撃が来る。
 リコのスクールオブフィッシュが妨害し、下がっていたイルファンが瞬時に間に入って大盾で彼女たちを守る。
 イルファンが相手している隙にシレーネとエーリッヒがブリジットと垂を運ぶ。
 ヘルムートは輝神オータスに祈りを捧げ、小規模な聖域を形成。
 2人は彼女たちをそこに下ろした。
 すると、ユエが空から合流する。

「誰か、アリシアちゃんのところに行ってくれないかしら? 多分何かあったんだわ」

「俺が行く」

 垂はまだ傷が塞がってないのにも関わらず立ち上がる。
 ユエはそのままいてほしかったが、炎の中なら彼女の方が有利と思い、言葉を堪えた。

「こっちよ」

 ユエの案内に垂は走る。
 それを目撃したノー・キラーはイルファンの剣を弾き、標的を垂に変えた。
 一歩踏み出した瞬間、弾丸がノー・キラーの足下を跳弾する。

「はいストップ。あの部屋の続き、やろうよ」

「いいわよ。後悔しても知らないんだから」

 右手が大剣から銃に変わる。
 その間にシレーネはイルファンに動けるなら垂たちのところに行った方がいいかもと伝えた。
 イルファンはヘルムートの聖域で傷を癒し、アリシアのもとへ走る。

「ねー、その右腕、いくつ武器隠し持ってんの?」

「7つね。シレーネ、あなたのおかげよ。私、機装を使うことにしたの」

「うっわ。 超みんなに申し訳ないんですけど。ま、みんな強いし、何とかなるっしょ」

「シレーネ、今は深追いするな」

「オッケー」

 エーリッヒの忠告に頷いた刹那、発砲するノー・キラーが映る。
 シレーネは走り、二丁拳銃の弾丸を重ねて発砲。
 フォーサイトミラーで予知しながら、ホークアイで周囲を全把握。
 ガーナーピアスの力も借りて魔力の流れも感じ取る。
 おかげでノー・キラーが撃つ弾に擦りもしないが、ノー・キラーもノー・キラーで飛ぶ弾に体を捻らせるなどして結界を破らせない体さばきを披露する。

(射線とかで判断してんね、これ。でも、動きがさっきよりも若干硬いかも)

 シレーネはフォーサイトミラーに映る次の行動からその先を読んでみる。

(次が右手の銃だからその次に左の銃で撃つよね)

 シレーネは右手の銃から放たれる弾丸を躱し、まずは深海の大渦を発砲。
 上半身を反らす彼女の左手の銃の引き金に指がかかる。
 シレーネは右に走り、二丁拳銃の弾丸を重ねて発砲。
 ノー・キラーの結界を1枚破ることに成功した。
 治療を受けるブリジットの前に立つエーリッヒは銃を構えたまま、高度な銃撃戦を目で追う。

(何かあれば援護をと思ったが、これじゃ横槍を入れたら大変なことになるな)

 すると、彼の耳に何か向かってくる音が聞こえた。
 振り向けば、空には竜化したレジェヴァロニーエの背に乗る優。
 地上はマルチェロ、ジャスティン、シン・カイファ、潤也、アリーチェ、シュヴァリエが駆けつけている。

「シレーネ!」

「りょ!」

 ここで切り上げて、優たちに繋げよう。
 そう思った瞬間、フォーサイトミラーはノー・キラーが走る姿を映す。

「(え、やばっ……!)師匠!」

 振り向いて叫んだとき、ノー・キラーは超至近距離でエーリッヒの胸を撃っていた。
 すぐさま、銃で反撃するシレーネだが、彼女はそれに構わずドレスの下から黒い霧の塊を出現させる。
 それは竜の形になり、彼女はその背に乗って空を飛んだ。
 迫る敵に優は剣を抜く。

「来ました! 行きますよ、レジェ!」

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