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理想の未来に死にゆく絆:第7話

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理想の未来に死にゆく絆:第7話
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ノー・キラーVS<2>


「港側から爆発音がした」

 エーリッヒの耳が鐵の双璧が突破された合図を捉える。

「うわぁ。俺たちが船で来た方角から来たんだ」

 幸人はそれだけ言って沈黙した。
 新しい革靴に問題がないか確認し、良風旅団メンバー全員に声をかける。
 振り向きもせずに。

「みんな、俺ちょっと先に行くね。自分のペースでいいから後から合流してくれると嬉しいな!」

「しゃちょー、それどういう意味……」

 リコが問いかけた瞬間、幸人が消える。

「あれ!? しゃちょー!?」

「あそこだ」

「どこ?」

 エーリッヒが指した建物の屋根に幸人はいるが、リコの今の視力では捉えられなかった。

「とにかく急ぎましょう。ノー・キラーさんを奥に進ませると街の人たちにも被害が出ます!」

 スレイはバリオスに跨がって先を急ぐ。

「あっ、スレイちゃん、待って!」

 翼を広げ追うユエに、他のメンバーも続く。
 イルファンとアリシアの側につくリコは何かを思いついて、急に足を止めた。

「リコ、どうした?」

「イルファン、わたし別角度から攻めてみる!」

「わかった。狙われないように気をつけろ」

「うん!」

 リコは他のメンバーと別の方向に駆け出した。
 その一方で、ノー・キラーは自分の身に起こった異変に気付いていた。

(結界が1枚破れている……紅蓮の焔の名も伊達ではなかったのね)

 揺らめく炎を背に、ノー・キラーは歩みを進めると幸人が立っていた。

「こんばんは、レディ。今宵は月と炎がとても綺麗な日ですね」

「こんばんは、恐れ知らずの双銃士。そうね、あと悲鳴があれば最高なんだけど」

「鐵の双璧はどうしたのかな?」

「鐵の双璧……? あぁ、あの子たちね。鐵でも何でもなかったわ」

「へぇ……俺が知ってる鐵の双璧はめちゃくちゃ強いんだけどなぁ……」

「そうなの? だったら私の方がもっと強いわね」

 両者、二丁の銃を構える。

「良いドレスを着てるんだから、一緒にダンスでもどう?」

「あら、素敵。ちゃんとリードしてくれないと、別の人をパートナーにしちゃうわよ?」

 2人同時に駆け、高速のリロードとともに激しい撃ち合いになる。
 幸人は凪祓で空を舞い、パーフォレイターメインで乱射。
 ヴァルネラブルポイントで急所を探りながら、前や後方、斜めに動いて狙いを定めさせない。
 魔弾迅雷も装填して発砲するが、彼女にとって痛くもかゆくもないようだ。
 幸人は何か仕組まれていると見て着地し、雷の術式が刻まれた靴の力を利用して高速移動する。
 ノー・キラーは縦横無尽で舞い踊る幸人に肩の力を抜いて銃を乱射。
 彼の弾に当たらないように軌道を逸らすなどの相殺を試みる。

(そこ……!)

 幸人は大きな隙を見つけ、着地。
 靴の力で瞬間移動して懐に飛び込み、ノー・キラーの首元に銃を突きつける。
 しかし、彼女も幸人の額に銃口を突きつけた。
 撃ち合っていた弾が今になって、当たり合い、全ての弾を相殺する。

「やるわね」

「そっちこそ」

 ノー・キラーが引き金を引くべく指を動かした瞬間、幸人は後退してパーフォレイターからデュアルバーストを放つ。
 彼女はそれをまともに受けるが、首元に銃痕はない。
 だが、また1枚結界を失った。

(あ、危なかったぁ……靴がなかったら頭貫通してたよ……!)

 ノー・キラーからの弾は靴と稀なる幸運が働いてくれたおかげで、ぎりぎり躱せた。

「その恰好でよく動けるよねぇ」

 幸人は銃を構えながら、フリルが幾重にも重なったドレスをまじまじと見る。
 レオタードにガーターベルト、ニーハイソックスにピンヒール。
 ドレスは蹴りができるように前開きになっている。
 デコルテは大きく開かれ、左の長袖はきめ細かいレースでできていた。
 黒で着飾った彼女は褒められて、上機嫌になる。

「どんな衣服でも戦えるのが強者の証よ」

 すると、右手の銃が格納され、炎を纏った鞭が握られる。

「ねぇ、その右腕って……」

 その瞬間、幸人は気を失った。
 ノー・キラーは鞭を手にした瞬間、幸人の首に巻き付け、一気に締め上げて意識を奪ったのだ。
 これがローグの奥義、ファジーフロウなのは彼女のみが知る。

「ふぅ……次」

 鞭を幸人の首から解くと、蹄鉄の駆ける音がする。
 彼女は来るであろう次の敵に身を構えた。

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