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理想の未来に死にゆく絆:第7話

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理想の未来に死にゆく絆:第7話
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選んだのは……


 千咲と遥の2人だけになった大部屋は集中で静まりかえっていた。
 必要な物が全て揃い、作業に入ろうとしたとき、部屋の扉が慌ただしく開く。

「集中しているところすまない。リイン知らないか?」

「リインならさっきまでここにいたわよ」

「どっちに行ったかわかるか」

「左だったかしら」

「邪魔してすまなかった」

 勢いよく扉が閉められ、バタバタした足音が遠くなっていく。

「……何だったのかしらね?」

「よくわからないけど、とにかく作業を始めるわよ」

 千咲は遥から剣を受け取り、染まる武器の魔力を全て手袋に吸収して蓄える。
 悪意ある犠牲の上に成り立つ物作りは許さない。
 これは物作りをしている彼女の価値観の1つである。
 春奈が千咲に「できる?」と訊いてきたのは、作業工程のことじゃない。
 多くの人を犠牲にしてできた武器を、自らの手で直せるかと訊いたのだ。
 材料の1つがどこの誰かもわからない魔力。
 新たな犠牲をもとに、修理を行なわなければならない。
 作業工程からして冒険者の中でできるのは自分だけ。
 それを理解して彼女は引き受けた。
 時間がないから作業に集中できているが、もし考える余裕があったらものすごく葛藤しているかもしれない。

(集中しなきゃ……人の命がかかってるんだから)

◆ ◆ ◆


 同じ頃、キッチンではソルフェがおにぎりを握っていた。
 その近くで木製の丸イスに座るダイアは出来上がりを待つ。

「出来上がったら手渡しでいい。皿はいらねぇから」

「わかりました。もうすぐできますからね」

 そのとき、リインが入ってきて何かを探すように顔を左右に振る。

「ねぇ、ゴミ箱知らない?」

「ゴミ箱ならあそこですけど……」

 ソルフェは生ゴミが捨てられている大きめのゴミ箱を指す。
 リインは脇目も振らず、まっすぐゴミ箱に行き、靴が入った袋を捨てると慌てて出て行った。

「……何捨てたんだ?」

 ダイアは捨てられた袋を取って開ける。

「靴……? あ、もしかして……!」

 ダイアはリインの後を追って出ると、幸人と派手に衝突した。

「アイタァー!? うぅ……大人ミサイルの破壊力は尋常じゃないよ……」

「幸人、ごめんな! あ、リイン知らね?」

「見てないなぁ……」

「見かけたらでいいからさ。これ返してやって」

 幸人は茶色の革袋を受け取る。
 濡れている部分があるが、それが生ゴミから出た水分だなんて知りもせず確認すれば、白いブーツが入っていた。

「いいけど……ダイア君忙しいの?」

「今からソルフェのおにぎり食べる!」

「あ、おにぎりね。いっぱい食べなねー……」

 ダイアがキッチンに戻るのを見送って、幸人は靴の袋を手に良風旅団のメンバーと合流しようとすると、春奈に遭遇した。

「あ、春奈ちゃーん! リイン君知らない? 大事な物、忘れていったっぽいんだけど!」

「一緒にはいたんですが、そのあとどこに行ったかは……」

「そっかぁ」

「春奈、幸人」

 クルーアルが気迫のこもった顔で迫る。

「ど、どうしたのかな?」

「リイン知らないか?」

「知らないよぉ~!」

「ん、それ……」

「あぁ、これリイン君の忘れ物だって。靴なんだけど」

「幸人、それはお前が履け」

「ふぇ? 何で?」

「それが染まる武器だからだ」

「そうなの!? リイン君、こんな大事な物忘れちゃってるの!? だめじゃない!」

「幸人、早く」

「うーん……しょうがない! 大人しく履くよ!」

 幸人が手に取るとブーツが黒の革靴に変わる。
 靴ヒモを結んでいる間に、クルーアルは春奈の鎧に魔装の魔法をかけたあと幸人の靴にも施すと屋敷の奥へ行ってしまった。

「何か忙しそうですね……」

「そりゃあ、自分の肉体がかかってるんだから、自然とそうなるよ」

「幸人、春奈」

 飛鷹の声に2人は振り向く。

「飛鷹さん。どうしたんですか?」

「みんなを集めるのを手伝ってくれないか? 話したいことがあるんだ」

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