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理想の未来に死にゆく絆:第7話

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理想の未来に死にゆく絆:第7話
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これも彼の策


 ダレストリスに到着した風たちは急いで船を降りる。
 街に入る直前で、エスとハディック隊に出くわした。

「おかえりなさい。本は手に入りましたか?」

「手に入ったわ。それより、みんなに報せないと。クルーアルが捕まってるって」

「それは……大変ですね」

「何のんきなこと言ってるの? あんたの仲間でしょ。道を開けてちょうだい」

「それは困ります」

「っ、あんたたちまさか……!」

 両者一斉に武器を構える。

「寝返った……なんて言いませんわよね?」

「寝返っていません。ただ、クルーアルの策に傷をつけるような方々には大人しくなってもらうだけです。……ハディック、そのまま後ろ塞いでてくださいね」

「わかっちょる」

 振り返ると、いつの間に体を大きくした彼が立ちはだかる。
 もちろん傷は塞がっておらず、包帯についている血の染みが広がった。

「まずは本をください。そしたら私たちがなぜ銃を向けているかお話ししましょう」

「……ブリジー」

「仕方ないわね」

 ブリジットは本を投げる。
 受け取ったエスはハディック隊の1人に託し、彼をメジェールの屋敷に向かわせた。

「渡したよ。話して」

「ハディック、どこまで話しました?」

「捕まったタイミングと精神だけ移動できる魔導具の存在だけじゃ」

「あー……結構雑ですね」

「しょうがなか」

「私も知ったのはトラディ村の魔力狩り後ですし、細かいことは教えてもらってませんので」

「んじゃ、わしがちょっと説明するき」

「クルーアルが捕まったのは、さっきも言った通り、おまんらがトラディ村に行っている間じゃ。誤解しないでほしいのは、クルーアルはヘマをして捕まったわけじゃなか。これも作戦の1つじゃ」

「ヘルムートさん、私がノー・キラーの屋敷を見つけ出すのにどれくらいかかったと言ったか覚えていますか?」

「1年だ」

「そうじゃ、1年じゃ。最初はおまんらが染まる武器を探してくれている間に、ノー・キラーの拠点を見つけ、おまんらと攻め込む方向で進めておったき。でも見つけるのに最低1年かかる。そこでじゃ。手っ取り早く見つける方法として誰かが捕まることになったき。提案したのはクルーアルで、やるのも自分がと言い出したき」

「貴殿やエスが潜入するのは厳しかったのか?」

「厳しかったです。私が別行動かつ彼女に疑われていたので、ハディックの裏切りにも気付いている可能性がありました」

「リインも挙手したが、クルーアルは拒んだ。結果的にクルーアルが捕まることになったき」

(ここまでの話を聞くと、癒やしの守護が完成したときには既に捕まっていたことになる。それに……)

「実は髪を染めてね。黒髪も似合うだろう?」

(あの魔導具でどこまで振る舞えるかわからんが、髪色の変化はごまかせなかったかもしれない。黒となると……血か……)

「そしてクルーアルは体をノー・キラーの屋敷に置きながら、精神姿でオルディアまで行って靴を回収したり、おまんらに情報提供したり、術の完成を手伝ったり、屋敷で本を読み漁ったりしておったんじゃ」

「魔装は彼女の屋敷に身を置いていたから掴めた情報なのですね?」

「ええ。研究資料では魔装への言及は一切ありませんでしたが、作る過程や完成後に起こった彼女の異変から魔装ができるのではないかと仮定したそうです。これらの話をトラディ村の魔力狩り後に聞いた私は、彼から新しい作戦をもらいました」

「北部地方の魔力狩りを片付けたら、ダレストリスに向かえ。屋敷がこっちにある以上、魔装を勘づかれてはいけない。ダレストリスなら距離も遠いし、気付かれたとしても時間は稼げる。それにもし……僕が捕まっていることを知ったら冒険者たちは必ず僕を助けに行くだろう。そのときはお前たちで押さえろ」

「と。ですが、想定外が起きてしまったのです」

「アーシらが染まる武器を壊しちゃったから」

「ええ。そしてもう1つ。シレーネさんたちがレガリスに残った。これはどうするべきか迷いましたが、私は彼の作戦を守ることにしました」

「そして、今。僕は次の作戦を実行しようとしている」

「クルーアルさん……」

「全員武器を下ろせ。僕がいるということは、どういうことかわかるな?」

「……ノー・キラーがこっちに来ていますね」

 エスとハディック隊は銃を下ろす。
 それに合わせるように冒険者たちも武器を下ろした。

「次の作戦って何ですか……?」

「それは後で説明する。リインはどこだ? 靴に魔法をかけ忘れたから先に向かいたいんだが」

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