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理想の未来に死にゆく絆:第7話

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理想の未来に死にゆく絆:第7話
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社交ダンス~第3部~


 型に囚われない演奏が始まり、フリルが多くあしらわれた黒のショートドレスを着るアリーチェはグラスを置く。

(みんな自由に踊っているわね。あたしも華麗なステップを見せてあげるわ!)

 中央に出る途中、ダイアと紺色のスーツに身を包んだフィルを見かける。
 2人はぼそぼそ話しながら何か動きを確認していた。

「手のひらを顔辺りに持ってきて、脇と肘を大きく開く。膝を外側に曲げてダイヤ型を作ってから腰をぐっと落とす」

「フィル、腕は肩より上だぞ」

「あぁ、そうだったな。それでこの状態で右手と右足を一緒に右斜め前に出して……」

 2人の踊りにアリーチェは身を震わせる。
 あれは特異者の誰が見てもわかるであろう、阿波踊りだ。
 練習時はフィルにはリードの練習を、ダイアにはボックスステップを覚えてもらったはずなのだが。

(あたしがちょっと席を外した隙に、何かあったわね……)

「よし、行くぞ。フィル」

「あぁ、ばっちり決めてこようぜ」

「ちょっと待ちなさい!」

 アリーチェは2人の上着の裾を引っ張る。

「どうした? アリーチェ」

「そのダンス、誰に教えてもらったの?」

「潤也だけど」

 アリーチェの眉間にしわが寄る。

「そう。ありがとう。言っておくけどそのダンスはよそでやった方がいいわ」

「そうか。じゃあ、また別の機会にな」

「な」

 2人はホールの隅に行き、ダンスに参加しない冒険者たちに声をかける。
 その様子にうんうんと頷きながら、アリーチェは大股で黒のスーツに身を包む潤也のもとへ。

「お、アリーチェどうした?」

 にこにこな潤也に、アリーチェは乱暴にシャツの襟を掴む。

「ちょっと潤也! あんた、ちゃんとダンスの指導したのよね?」

「したに決まってるだろ」

「じゃあ、なんで阿波踊りやってんのよ!」

「ほら、休憩中にいろんなダンスがあるって教えたんだ」

「危うく2人が恥ずかしい思いをするところだったわよ!」

 襟を掴みながらガクガク揺らすアリーチェに、潤也はごめんと謝り続ける。
 その近くで、淡いピンクのドレスを着たアリシアは胸元を気にしていた。

(このドレス、ちょっと胸の部分がキツいかも……)

 肩が出ているドレスなのもあって、少しだけ胸が締めつけられる。

(またパーティーの機会があったら、新しいドレス買おうかな……)

「アリシア、みっけ!」

 親友の声に顔を上げると、フィリアと一緒だった。

「アリシア、フィリアと一緒に3人で踊らない?」

「3人で? ダンスってペアでやるものじゃ……」

「いいから、いいから!」

 リコに手を引っ張られ、ダンスホール中央に行くと複数人で踊る人の姿があった。

「あ……」

「ね、みんなもこんな感じだし、踊ろ、踊ろ!」

 リコは2人と手を繋ぎ、くるくる回る。
 フィリアとアリシアが他の参加者とぶつからないように、リードしながら会場中央を一周。
 すると、リコが突然ピタっと止まった。

(そういえば、リコちゃんがフィリアちゃんをびっくりさせるって言ってたけど、どんなサプライズを用意してるのかな……?)

「フィリア」

 白いドレスに身を包んだリコはその場で膝をつく。

「わたしと一緒に踊ってくれますか?」

「ええ? リコちゃんどうしたの?」

 何も言わず見つめるリコに、フィリアは差し出された手を取る。
 握られる手にリコは立ち上がり、2人だけの社交ダンスが始まった。
 型に囚われない演奏に合わせ、ボックスステップや互いに回りあったりする。
 テンポが速くなると、キレのいいステップとともにタップを混ぜる。
 フィリアはリコの靴がヒールじゃなく、光沢のある白い革靴だと気付いた瞬間、リコのドレスが大きく舞う。
 それに目を奪われていると、リコは白のタキシード姿に変身していた。

「えっ? えっ?」

「じゃじゃーん! どうよ、早着替え!」

「すごーい!! どうやってやったの?」

「それは内緒! アリシア、おいで!」

「うん!」

 タキシード姿になってからもダンスを楽しんだ3人は、最後にぎゅっと抱き合って会場の隅に戻るのだった。

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