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理想の未来に死にゆく絆:第7話

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理想の未来に死にゆく絆:第7話
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真正面からカチコミじゃあっ!


 クルーアルの参戦が決まり、早速冒険者たちは木柵の扉を開ける。
 ブリジット、風、焔子、クルーアルは入ってすぐ、小屋の影に隠れた。
 シレーネ、エーリッヒ、ヘルムート、ハディックの4人は屋敷の玄関へ一直線に進む。
 彼らの堂々たる侵入に生きた人の姿をしたアンデットたちは畑を耕すのを止め、鍬を手に迫ってくる。
 シレーネは真正面を見据えたまま、それぞれの銃を左右に向けて発砲。
 2人のアンデッドは同時に倒れ、背後から来る敵も身を翻して撃ち抜いた。
 光の下で動けるタイプのアンデッドだが、その分弱体化している。
 敵や味方の動きを加味した上での射撃判断、自分に向かってくる敵の位置、どう立ち回ってくるのか。
 それらを全て頭の中で処理して、最も適した一発を容赦なく放つ。
 エーリッヒはエルフ特有の優れた聴覚と視覚を活かし、銃でアンデッドを狙撃。
 アンデット特効を持つ彼の銃に、複数のアンデッドがバタバタ倒れていく。
 聴覚で敵の足音を拾い、即座に聖銀弾を装填。
 体を180度向けて撃てば、これもヒットして敵は前に倒れた。
 銃声もあってアンデッドが小屋から次々と出てきている。
 さりげなく屋敷の窓に目を向ければ、中にいるメイドの魔人が慌ただしく廊下を走っているのが確認できた。

(気付いているな。いつ来てもおかしくない)

 再び聖銀弾を装填し、群狼の矢とともに放つが、狼の群れは聖銀弾の能力を持たず、アンデッドに突撃していく。

(これだと厳しいか)

 エーリッヒは銃の連射を軸に、ちょっとでも間が出来たら聖銀弾を装填して対応する。
 ヘルムートも十字状の光を召喚し、アンデッドを磔にしていく。

「ふふっ、1体1体丁寧に……大変ですね」

「なっ」

 耳元で可愛らしい女性の声がした瞬間、シレーネの弾がヘルムートの耳を掠めた。

「おでましじゃん」

 前方を見据えれば、シレーネより小さい魔人のメイドが剣を背負って立っていた。

「ハディック。また仲間を死なせにきたのですか?」

「今日は死なせんき」

「同じ過ちを繰り返すかもしれないというのに、学習しませんね」

「よくわかんないけど、アーシたちがハディやんに屋敷に連れていってほしいって頼んだんだよ。よくもうちのもんに冤罪仕向けてくれたじゃん」

「冤罪……あぁ、魔力狩りのあれですか。冤罪に仕立て上げたつもりはありませんが、感謝した方がいいですよ。ちゃんと教会が機能していると。間違ってましたけど♪」

「教会の人たちも被害者だからね。原因がそっちなのは変わんないし」

 魔人メイドは少しだけ顔を伏せる。

「……そうですね。ええ。そうですね」

 彼女は顔を上げてにっこり笑う。

「では精一杯のおもてなしをさせていただきます」

 そう告げた瞬間、シレーネは彼女の魔力が一気に強まったのがわかった。
 加えて、この庭の状況も把握する。

(やば、囲まれたじゃん。数は8人か……どれくらい引きつけられたか、わかんないけど。とりあえず屋敷に戻らないよう片付けるじゃん)

「シレーネ、すまん。わしのせいじゃ。わし、ちょっと強いけんの」

「えー、ハディやん対策? アーシらもそれなりに強いよ? まぁ、冒険者等級で力量を見極めるならアーシは上から数えた方が早いけど、師匠とヘルムートは下から数えた方が早いし……そう思われても仕方ないよね」

『おい』

 エーリッヒとヘルムートの声が重なる。

「2人とも頼りにしてるって」

「最期の会話はよろしいですか?」

「ん、ばっちり。ねぇねぇ、アーシへのおもてなしはアンタにやってほしいんだけど」

 指名された魔人のメイドはきょとんとした顔をしてすぐ、弧を描いて笑う。

「かしこまりました」

 魔人のメイドは剣を抜き、左手に盾を、腰に黒いナイフを提げる。
 シレーネが彼女を指名したのは8人の中で魔力が最も強いと感じたからだ。
 それに装備がどことなくダイアに似ている。
 彼女が魔力狩りに参加していた1人なのかもしれないとも推測していた。

(あとは、ほむちゃんに言われたこと忘れないようにしないと)

 クルーアルの同行が決まってすぐ、焔子から1つ懸念が示された。
 屋敷の異変がノー・キラーに伝わるといった術式が使用人たちにかけられており、死亡で発動するのではないのかと。
 クルーアルもハディックもそこまで把握していないが、なくはないと答えたのだ。
 戦闘不能が前提の陽動。
 やりすぎはシレーネたちにとって命取りになる。

「そちらからどうぞ」

 シレーネは双銃を構え、モノクルに次の行動を映してもらうが、彼女は動かないまま。
 シレーネが動かないと仕掛けないつもりでいる。
 戦闘不能に留められそうな箇所を特定して、双銃を同時に発砲。
 雷撃を纏った水弾はまっすぐ魔人メイドへ。
 盾で防がれるのは承知済み。即座に次の弾丸を撃つ。
 魔人メイドの剣と盾から鳴る金属音の速さを耳に、ヘルムートは小規模な聖域を形成し、魔人メイドの相手をする。
 モップを持った相手は、槍のように振り回し、果敢に攻めてくる。
 ヘルムートもメイスを持って対抗するが、防戦ぎみだ。

(神聖術を打たせない気だな)

 屋敷の中から見られていたかは定かではないが、立ち回りからしてそう思わせてくる。
 それに1人だけを相手にしていられない状況。
 背後からのナイフにペンダントの結界を展開。
 防御後すぐモップの柄頭による突きが来る。
 メイスで斜め下から思いっ切り振り上げ弾いた瞬間、それに気を取られる魔人メイド。
 その隙をついてバインドクロスで拘束する。

「後ろじゃ!」

 ハディックの声にホーリーガーディアンを召喚。
 守護者が武器を弾き、ハディックが拳を一発食らわせた。

「助かった」

「なん、これくらいよか」

「貴殿の方は終わったのか?」

 親指で左を指すハディック。
 アンデッドがいる小屋の屋根の縁に魔人メイド2人がぶら下がっていた。

「早いな……」

「今は気絶しとるだけじゃき。あとで拘束しといてくれたら助かる」

「やっておこう」

「実力、見誤ったのう!」

 ハディックは不敵な笑みを浮かべながら、エーリッヒと対峙する女魔人を片付けに行く。

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