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理想の未来に死にゆく絆:第7話

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理想の未来に死にゆく絆:第7話
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Gとの邂逅


 巨大Gを抹殺すべく森の洞窟に向かう冒険者たちは優とルージュの案内のもと、森に入る。
 目的地がだんだん近づく道中、ソルフェ・セフィーラは未だ腹を括れずにいた。

「あの……例のアレ、それも巨大版の退治とかマジで言ってます? いや、倒さなきゃいけないのはわかってますけど! ちゃんと戦いますけども! 皆さん忌避感とかそういうのないんですか!?」

「別に? 倒すべき相手なんだし、いちいち気にもならないでしょ?」

「Gぐらい別にどうって事ねえだろ? サイズがどうあれ、敵なら撃ち抜くだけだ」

「巨大なGは少しゾッとするけど、別に怖がる程じゃないわね」

「Gなら特に何を思う事もないが……他にもより醜悪な存在は見てきただろうに、今更気にする程でもないだろう?」

 春奈たちの反応に、ソルフェの目が点になる。

「え? どうして全員そんな達観してるんですか? あれ、私がおかしいの??」

「ソルフェさんはおかしくありません」

 共感してくれるのは優・コーデュロイ
 彼女は鞘に収まるルインを握りしめながら続ける。

「あれは台所の敵……滅却しなければなりません!」

「そうですよね……! めっきゃく……」

 ソルフェは言葉を失う。
 優の目がいつも以上に本気だったからだ。
 慈愛に満ちたまなざしは消え、鋭く尖らせたように赤い瞳が光っている。

(殺し屋の目……!)

 ソルフェはそれ以上何も言えず、彼女たちの後をついていく。
 しばらくすると、巨大な穴の洞窟に到着した。
 優はガーナーピアスで改めて魔力を確認。全身に鳥肌を立たせる。

「くっ、改めて感じると気持ち悪いですね……。ですが、殺らねばなりません」

 優、Gへの慈愛を捨てる。
 ソルフェは腹を括ったようで巨大な穴を見上げながら、ニッコリ笑った。

「この依頼が終わったら、全員徹底的に身を清めてください。私もやりますから。い い で す ね ?」

 春奈たちはソルフェの笑顔から何かを感じ取ったようで黙って頷く。
 足を踏み入れれば構造は意外にもシンプルで、暗くてまっすぐな一本道と奥に光差す空間だけが確認できる。
 空間から先は未知だが、Gがいるなら何かあるに違いない。
 奥に進むにつれて魔力が強くなっていく。
 冒険者たちは空洞に入る少し手前で思わず足を止めた。
 コオロギの姿をした茶色い巨体は洞窟の隙間から差し込む光で身体をテカらせながら、白く細長い何かを咥えて壁に貼り付けている。
 壁にはGが咥えていた物と同じ物体がびっしりついており、壁の地肌が全く見えない。
 Gは竜化した竜族と同等の大きさなのだが、遠くからだとなぜかそれ以上にも感じられた。
 作業を終えると音もなく降り、鞭のような触角を不規則に動かしながら三日月型の太く強靱そうな顎で手足を掃除する。

「うぅわ……ちょっと想定外のサイズ……」

 篠宮 千咲は気付かれないようにぼそっと呟くと、ソルフェが悲鳴に似た声を上げる。

「何あれ気持ち悪っ!?  いやいやいやいや、ここまで大きいって聞いてませんけど!?」

「どうやら超獣らしい」

「はあ!? 超獣!? ユニコーンとGとじゃ天地の差があるでしょうが!」

「超獣なら戦ったこともあるし似たようなものでしょ!」

「せめて超獣じゃなく、超蟲にしてくださいよ!」

 準備体操を始める千咲に、ソルフェは気持ち悪さのあまりいつもよりツッコミがはかどる。
 驚いているのは彼女だけじゃない。
 クロノス・リシリアも声には出さないが、巨大Gから目が離せないでいた。

(何あの大きさ! 思ってたのと違うよ! しかも後ろ足の棘に鎧が引っかかってるし!)

 ぐるりと方向転換したGの右後ろ足の棘には、一部錆びた銀の鎧がぶら下がっている。

(さてはあの鎧が悪さしてるのかな? まず棘を斬り落としてあの鎧を回収してみよう。もちろん回収したあとはよく洗うけどね!)

 クロノスが戦法を考える隣で、リコ・ハユハは顔面蒼白で気絶しかけているアリシア・ヴァレンベリの背中を軽く叩く。

「ハッ、り、リコちゃん……あれは、夢、だよ……ね?」

「殺虫スプレーとかあったら、一撃で倒せたり……しないかなぁ?」

 オブラートに包むリコに、アリシアは察して小刻みに震える。

「え……嘘、ほ、本物……?」

 何も言えない仲間たちにアリシアはイルファン・ドラグナの背に隠れる。

「うぅーーっ! マスター! アレ! は、早く倒そう、ね! ね!」

「わかっているから、落ち着け」

 イルファンはそう促すが、自身の腕を握りしめるアリシアの力が強い。
 彼女たちの側で、遠近 千羽矢も珍しく顔を強ばらせていた。

(う……っ、……まさか。ローランドにも、“あれ”がいるとは思わなかった。……普通の小さい姿でも、恐怖を感じるが。ここまで大きいと、別の意味で怖いな。……それに。これだけの卵が孵って、あの魔物が増え続けたら――なんて、考えたくもない)

 Gに呆然とする相棒に、水城 頼斗は明るく切り出す。

「わーぉ。相棒もびっくりした? ローランドにもいんだなアレ。何処にでもいるよな、感心するわ。とはいえ、要は考えようだぜ? “あぁいうナリの魔物”って考えるんだよ、“例のアレ”と思わずに。そうすれば多少なりとも平気に……気にならな……」

 袖を引っ張られて顔を向けると、千羽矢は半分泣きそうな顔で小さく震えている。
 肝試しに行ってみたけど、いざ現場についたら帰りたくなってしまうあの顔だ。

「……はやく、倒そう。そして、はやく帰ろう、相棒……!」

「っ賛成、こんな依頼とっとと片付けんぞ相棒! 長居は無用だこんなとこ!」

 頭を強く振って頷く千羽矢に、レジェヴァロニーエ・レクラムも賛成する。

「こんなところで立ち尽くしている暇はない。さっさと駆除するぞ」

 彼女が前を見据えると、さっきまでいたGがいなくなっている。

(っ、どこに行った)

 顔を左右に振り、慌ててその存在を探す冒険者たち。
 だが、一部の冒険者はGがいる場所を察知し、動けないでいた。

(さっきまであそこにいたのに、この速さ……只者ではありませんね)

 優はルインを手にかけたまま、Gの動きを警戒する。

(気付かれてしまったか……どう動く)

 ルドラ・ヴァリオスはGを刺激しないよう音もなくナイフを抜いた。
 そのとき、ロープのような物がぶら下がってきてソルフェの左頬とクロノスの右頬に当たる。

『!』

 2人の頬にぺちぺち触れるそれは、しなやかで艶があり、生温かくて不規則な動きをする。
 目の前でそれが降りてきたのを目撃したアリシアは、涙目になりながら上を指す。
 2人はゆっくりゆっくり顔を上げると、テカった巨体が天井にいた。

『ら゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!』

 2人ほぼ同時に剣と杖を天井にぶん投げる。
 武器は天井に刺さり、Gは冒険者たちの背後を取った。

「まっ、マママママママママスター!!」

 アリシアにしがみつかれながら、イルファンは剣を構える。
 目が順応してきたようで、Gの目をはっきり捉えた。

(見た目、図体のデカさ、スピード。どこを取っても、俺がかつて戦った“超獣”に匹敵する恐るべき生物だな……)

 動向を窺っていると、一歩進むG。
 思わず全員後退する。
 さらにもう一歩進むG。
 再び全員後退する。

(くっ、動くたびに下がるなど言語道断!)

 イルファンはアリシアをしがみつかせたまま剣を振り下ろすが、Gは壁を走り奥へ。

「っしゃあ! 行くぞお前ら!」

 頼斗の檄が飛び、皆でGを追いかける。

「あ、ちょっ、誰か武器を……!」

 ソルフェとクロノスは絶対届かない天井の武器をジャンプで取ろうとする。
 千羽矢は足を止め、フックショットで杖と剣を回収して2人に渡した。

「ありがとうございます……!」

「急ごう」

 3人は先に行った冒険者たちを追いかける。

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