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<スカイドレイクIII>暴かれた聖域

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<スカイドレイクIII>暴かれた聖域
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~ 和平の先触れ ~

 かの双子島の和平が進展しはじめた。

 その報せは瞬く間にワハート・ジャディーダじゅうを駆けめぐり、多くの商人たちの噂になっていた。
「今日の大バザールは何だか慌ただしいね。アダルイファトっていうのはそれほどまでに重要な島なのかい」
「お前さん、重要も何もあの双子島は、ダーウード・スライマーン・スルターン陛下が直々に気にかけてらっしゃる島なのさ! 嘘だと思ったら宮殿の前まで行ってお触れを確かめてみるといい。読むのが面倒くさければ、旅芸人のムスタファ一座を探すといいさ……一体どういうことになっているのか、事のあらまし込みで弾き語り劇を演じてくれるはずさ」
 バザールの露店主がそう答えてやれば、いかにも田舎から出稼ぎにきたばかりといった装いの行商人は感心したように宮殿の方角をあおぎ見る。
「ムスタファ一座っていったらあの妖精姉妹の一座かい? 大戦中からちらほらと名前を聞いてはいたが、よくぞまあそんな大きなネタを仕入れてきたもんだ」



 妖精姉妹の青髪妖精――葉剣 リブレのリュートと歌が、ワーハの通りに響きわたる。奏でるは、共に戦う兄妹たちの英雄歌。仲の良かった兄妹戦士が、些細な誤解から仲を違えて……再びともに歩むまでの物語。
 妖精姉妹の黄髪妖精――ファリダの空舞う踊りが、ワーハの通りに華やぎを与える。演じるは、兄を憎み慕う妹の葛藤する心。兄は家族である以上にライバルであり、互いに妬み陥れはするけれど……強大な魔物をともに討ちはたした時に、それも兄妹ゆえだったと気づくのだ。

 実際の双子島の関係がそんなに美しいものでなんかなかったことは、リブレとて解らぬはずもなかった。でもこれからのアダルとイファトを思えば、“そうだった”ことにしてやってもいいじゃあないか。
 双子島をとり巻く人々も、双子島の人々さえもが、これからは上手くやっていけるのだと信じて注視する。そうすれば始まりかけた和平への試みを力ずくでもひき裂こうとする者たちにとって、その目を避けて事を運ぶのは困難になる。
「まあ、旅芸人はおひねりさえもらえればそれで十分なんだけどさ――」
 ショーの後、そんな言い訳をしながらファリダと焼いた自家製アンジェロ――アダル島の主食兼おやつは……目ざとく焼いているところを発見した観客たちにそれは何かと問われ、妖精姉妹の口に入ったのは随分と残り少なくなっていたそうな。
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