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死の大地に眠る物【最終話】

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死の大地に眠る物【最終話】
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「せっかく、調査拠点も整備されてこれからが開拓の本番だというのに!!」
 トスタノ・クニベルティは声を荒らげる。
 折角様々な手を入れて発展させていったというのに、それを無かった事にされては堪ったものではない。
「とはいえアレは動く鉱脈だね。ある意味では適度なサイズでの養殖とかができたらとても美味しい類の話なんだけどなー」
 定期的な産出を目論むのであれば是非とも実現したいものだが、費用や危険性の面から難しい話だろう。それにどのような経緯で進化してきたのかも分からない。下手に人の手を入れ、取り返しのつかぬ事態を引き起こすくらいならば討伐してしまった方がシャングリラの為になるだろう。
「よし、まずは防衛戦……気張らないとね!!」
「そう、防衛戦!! レアメタルを、纏った、ボス戦なのよ!! これは稼ぎドコロなのよ!!」
 トスタノの研究者らしい見解とは裏腹に、ジョーイ・バンドールは実に傭兵らしい声を上げた。
 あのコーデリウムが採れれば、報奨金も振る舞われる。その金額は今回の働きに直結するものだろう。そうすればうんと手持ちが潤うだろう。
 キラキラとした笑顔も、ぴょんぴょん跳ねる仕草も納得がいくというものだ。
「だから傭兵さんたちも気張るのよ!!」
 ジョーイは気鋭の女傭兵気鋭の女傭兵に目配せをする。今回、隊を成す彼女らにも働いてもらい、少しでも多くの報奨金を得ようとする腹づもりである。
「ま、そうだね。僕達も頑張ろうか」
「うんうん、それじゃあ……フェニックス隊スクランブル!! 緊急発進だよ!!」

 ◇◆◇

「って飛び出したものの、僕らは外様のクレギオンだ、決定力には欠けるのは否めないね?」
 別世界の力は便利なものが多い。それこそ世界のあれやこれをねじ曲げてしまうようなものまであった。
 しかしながらそれには枷が付き纏う。元の世界では十分な力を発揮できたものも、世界を跨げばその理についてはいけない。性能や原理の違うものなどは上手い具合に働いてくれず、十全の力を出せないままである。
 それでもある程度立ち回れるのは特異者という立場にあるお陰だろう。それを利用し、なんとしてでも今回の任務を成功へと導かなければならなかった。
「今回は他の特異者もいるし、目標が同じ者もいるからね。僕達は主力の戦闘準備が整うまで目標の進行を遅らせることにしよう」
 目指すべきは敵の侵攻妨害。攻撃は他者に任せてサポートに立ち回るのが今回の作戦だ。
「ジョーイ、どこまで近寄れる?」
「ここらへんが限界なのー!!」
 トスタノはジョーイのバンドール号に搭乗し、様子を窺っていた。後方にはフェニックス隊が控えてはいるが、観測を終えるまでは控えて貰っている。作業効率の向上を狙うのならば先ずは敵を知るに限る。そう考え、バンドール号から近づけるギリギリの場所から科学者として観察する事にしたのだ。
「……甲殻はコーデリウム、未知の鉱石とはいえ事前に熱に弱いって事を聞いていたから……コーデリウムを剥がせばもっと叩きやすいよね」
 火炎の武器や弾ならばそれなりに用意は出来る。この世界に合ったものでなくともある程度働いてくれるはずだ。
 トスタノはシンカーを用いて演算補助を受け、攻撃可能な位置を算出していくが、風の流れが強いのでそちらも織り込んで計算していかなければならない。
「砂嵐も考慮して……そうだね、近接か遠距離の二択にはなるけど、それぞれ立ち回れそうだ」
 気紛れな風が味方してくれるかどうかはまた別にはなるが、回避用のブースターやバリアなどの手があれば回避や受け流し、不測の事態にも対処ができるはずだ。
「レーザーやビームなんかの高出力エネルギー兵器があればコアの装甲も剥がせるし、ある程度戦いやすい環境も作れるからね。切り拓けば蓋然性が高い。……さあ、みんな今の話は聞いていたよね。ドンドンコアを壊していくよ!!」
 仲間達の通信を終えたトスタノはオープンの回線に切り替えた。計算したものを共有するためである。不完全な情報も混ざってはいるが何もないよりはマシである。いくらか有利に働けるだろう。
「僕はもうちょっと風の計算をするから攻撃はみんなに任せるよ」
 それが今回の戦い中に終わるかどうかは怪しいが、以後の戦いには役立ってくれるかもしれない。トスタノはシンカーを使いできるだけ詳細を詰めていく。
 そんなトスタノに代わり、動き始めたのはジョーイだ。
「一攫千金のためなのー!! フェニックス隊続くのよ!!」
 ジョーイはバンドール号の舵を切り、巨大バルバロイの進行妨害へと向かった。
 トスタノの言う通り、エネルギー兵器を用いるのが良いだろう。
 細かな調整や操縦が必要となるため、ジョーイは生体LANジャックを用いて機体の制御を行っていく。扱うのはFPW2-インフェルノ、火炎での攻撃だ。
 敵の胴節へ当たるように機器を調整し、焼夷弾を落としていく。風の流れに揺られていくつかは無駄となってしまったが、上手く着弾したものもあった。
 焼夷弾はコーデリウムの甲殻に当たる油を飛び散らせ、あっという間に炎を広げていく。熱によってコーデリウムは姿形を変え、煌めきを残しながらも地面へと零れ落ちていく。
「射線が通ったら一気にいくのよー!!」
 ジョーイの指示を受け、傭兵達も同じように戦闘艇の舵を切る。
 電脳拡張視野インターフェースを用いてコアに狙いを定め、砲台を傾けた。
 放たれたのは高出力のビームだ。雷光の光を携えたビームは風に煽られて軌道を僅かに狂わせる。だが、ホーミング機能が搭載されているのでその辺りは織り込み済みである。
「あたったのよ!!」
 ジョーイの歓声が上がると同時にビームはコアへ着弾した。中央部からやや外れてしまったがコアにはヒビが入っている。一度で決められなかったのはきっと埒外の能力を持ち込んだからだろう。
 しかし、時間は掛かれど攻撃は通る事が分かった。それだけで十分だ。
「さー、一気にいくのよ!!」
「うんうん、僕も頑張って戦闘データを集めるよ!!」
 トスタノとジョーイはうなずき合う。自分たちに出来る事をこなすため、それぞれのやるべき事をこなしていった。
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