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ヒロイックソングス!

ジュエルトップ『開幕だよっ、プロデューサー! ~ミュージカル、スタート!』

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ジュエルトップ『開幕だよっ、プロデューサー! ~ミュージカル、スタート!』
リアクション
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1.裏方は既に始まっている!

 いよいよ、舞台の幕が上がる!
 アイドルたちの公演が始まる!
 しかし既にその遙か前から――裏方たちの戦いは始まっていた!
「う~ん、このサメだけは使いどころが分かりませんねえ……」
 一人ちくちくとお針子仕事を片付けていたカガミ・クアール(ちゃん)は、以前、松永 焔子から渡されたサメの行き場に悩んでいた。
「ええ、それでも皆さんの素敵な衣装ができましたわね。あとは……あら」
 そこで、カガミちゃんは鼻をひくつかせる。
 舞台前の緊張する空気を和らげるかのような良い香りが周囲に漂っていた。
「さあ、パンプキンカステラ風ケーキの出来上がりだ!」
 アイドルたちの差し入れのためのお菓子を作っていたのは、迅雷 敦也
「よーし、完璧な仕上がりだ。みんなで同じお菓子を食べればきっと絆も深まるってもんさ~」
 鼻歌交じりに、できあがったお菓子を並べていく。
「ふぁあああ……素晴らしい! さすが敦也さん、めちゃめちゃ美味しそうなお菓子ができあがってますね!」
 匂いにつられてまてちゃんが給湯室に顔を出す。
「ああ。材料費は経費で落ちるって聞いたから、遠慮なく作らせてもらったぜ!」
「おぉ~、これはこれはありがたい限りです! アイドルたちもみんなきっと喜ぶと思いますしなによりまてちゃんが大喜びです!」
 敦也の言葉に飛び上がらんばかりに感謝を表すまてちゃん。
「まだ材料があるみたいだから、普通のカステラも作るとするか」
「あ、俺も手伝います」
 そんな敦也を、今回は裏方に徹する高瀬 誠也が手を貸す。
「…………」
 その背中に注がれる二ツ屋 フラウ(ふたつや ふらう)の恨みがましい目線には気付かずに――
「それでは私は、もぎりの準備に参りましょうかね~。リリィさまは……私の出る幕ではないようですしね……」
 そんな様子を見たカガミちゃんは、ロビーの方へと向かった。

 そして医務室では――
「ごめん、なさい……皆さんにご迷惑をかけてしまって……」
「迷惑なんてとんでもないわ! 今は余計な事を考えないで、とにかく体を休めることが大切よ」
 横たわるリリィ・イルルノール(りりぃ・いるるのーる)の手を握りながら宵街 美夜は囁く。
(もっとリリィの側にいて、彼女の負担を減らしていれば……ううん、そんな風に自己憐憫に浸っていても何の解決にもならないわね)
 湧き上がる無念を堪え、今すべきことを考える。
 果物も、消化の良い食べ物も準備OK。
「……それではすまないが、後は任せる。俺は仕事に戻らねば」
「ああ、ロズさんも無理してはいけませんよ。頼れる時は人に頼りましょうね」
「……承知した」
 美夜にリリィを任せ仕事に向かおうとするロズ・イルルノール(ろず・いるるのーる)にも、一声かけておくのを忘れない。
 二人きりになった美夜は改めてリリィの顔を覗き込んだ。
「本当に、気に病む必要はないのよ。それに、不謹慎だけど私……」
 顔が近づく。
「仕事を離れてこうして二人きりで過ごすこの時間、悪くないと思っているのよ?」
「そうですわね……私も、そう思っていますわ。でも……」
 二人の唇が触れあう――直前に、リリィの指が挟まれた。
「うつる、かもしれないから……また後で、ですわね」
「ふふっ……お預けね」
 美夜は微笑みながらリリィから体を離す。
 そしてじっとリリィの足下を見つめた。
 そこには、黒いもやのようなものが絡みついている。
(なんだか……嫌な感じがするわね)
 美夜の脳裏に浮かぶのは、以前、彼女と面会した紅玉 磨(こうぎょく みがく)が階段から落ちてしまった時に見えたもや。
(何にしても……私のいる間は、リリィに手出しはさせないわよ)

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