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理想の未来に死にゆく絆:第5話

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理想の未来に死にゆく絆:第5話
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 乱戦は電撃を纏ったキルストームが決め手となって幕を下ろした。
 正義は焔子をクレリックがいる治療班のもとまで無事運び、焔子はしばらく安静となる。
 彼女に敵の所持品からノー・キラーに繋がる手がかりを探してほしいと頼まれた正義は、運んですぐテントを出た。
 残ったのは焔子とエス。
 彼女は毛布にくるまり、エスに背を向ける。

「助かってよかったです」

「干しクラーケン、ありがとうございました」

「それは潤也さんに言ってください。私は飛ばしただけですよ」

「そうですね……」

「珍しいですね。溌剌じゃない貴女は」

「私だって色々考えたりします。……ノー・キラーに会ってからでしょうか。自分の詰めの甘さを感じるのです。指輪奪還もあと一歩で奪えず、敵の最期の一撃も躱せずで……」

「ふむ……それは染まる武器のせいかもしれませんね」

「ピアスですか?」

「はい。染まる武器に共通するのは初めて持っても支障なく扱えることです。加えて所持者の能力を底上げし、自信を持たせる効果があります。今回の場合、勲章の効果も加わったので元々ある自信をさらに強くしてしまったのでしょう。染まる武器は人によって能力が派手になるので、副次効果みたいなものは忘れがちになるんですよ」

「では勲章は必要ないと?」

「そういうわけではありません。時と場合によっては必要になるでしょうし。まぁ、身につける際はそれなりの覚悟がいりますが」

「意外と厄介ですわね……」

 染まる武器は魔導具だ。
 魔導具は使用すれば、所持者に何らかの異変をきたす。
 だがそうならないように前所持者、クルーアルの祖父たちが手を加えている。
 彼らの施しも働いているが、装備によっては何かしらの影響を受けるかもしれない。

「……何だかムカついてきました。あのクソ魔族に翻弄されている気がします」

「染まる武器はノー・キラーが作ったものですからね」

「……エス、ノー・キラーの代わりに殴られてくれません?」

「嫌です」

「私、このままだと安静無視して暴れそうですわ」

「それはもっとだめです」

「では殴らせてください!」

「来ないでください!」

 数秒後、エスの頬に真っ赤な手形ができたのは言うまでもない。

◆ ◆ ◆


 正義たちは倒れた相手の所持品を物色する。
 装備品が出てくる中、ポケットから小瓶が発見された。

(これは……)

 中に細い半透明の糸が入っており、少しだけ輝いている。
 潤也やアリーチェの手にも全く同じものが握られており、ハディック隊やダレストリス兵、教会の者も小瓶を手にしている。

「何だろうな、これ?」

「エスに聞いてみる?」

 3人は小瓶を持ってエスがいるテントに戻る。

「なぁ、エスこれって……お前その頬どうした?」

「理不尽な理由で平手打ちされました」

「ちょっとムカついたことがあったので、サンドバッグになっていただいたのです」

「へ、へぇ……」

「それより、何か聞きたいことがあるのでしょう?」

「あぁ、そうそう。これなんだけど何か知ってるか?」

「倒れた魔人全員が持っていた。魔力狩りに関連するものじゃないかと思うが……」

「もしかすると、新しい染まる武器の原料なのかもしれませんね」

「だとすると、糸だから……糸を使った武器とか?」

「潤也、姿が変わるのよ? 糸を使った武器とは限らないじゃない」

「じゃあ、アリーチェは何だと思うんだ?」

「……服かしら。何の服かわからないけど、着たら姿を変えるとか」

「なるほど。それだったら納得がいきます。何の服を作るかにもよりますが、時間はそこまでかからないかと。武器に移すと壊れる恐れがあるので時間がかかりますし、効率も悪いです」

「焔子さん、調子はどうですか?」

 そこに焔子に情報提供してくれた受付嬢が入ってくる。

「調子は良いです。ご迷惑をおかけしました」

「いえいえ。助け合いは当然ですし、それに個人的になりますが、お役に立てて嬉しいです!」

「では、もう1つだけ、私を助けていただけますか?」

「はい! 何なりと!」

「私と潤也様、アリーチェ様のように敵に扮装されている方は他にもいらっしゃるのでしょうか?」

「ちょっと待ってくださいね」

 受付嬢はスカートのポケットをごそごそ探り、丁寧に畳まれた紙を取り出して広げる。

「ええっと……言いにくいのですが……お名前読み上げますね。敬称は省かせていただきます。イルファン・ドラグナ、リコ・ハユハ、桐ヶ谷遥、飛鷹シン、アキラ・セイルーン、ルシェイメア・フローズン、ダイア・ヴォルフ。以上7名、北部地方における大量虐殺首謀者として指名手配し、見つけ次第即刻死刑とする」

「なっ……!」

 潤也が思わず声を漏らす。
 残りの4人は事の大きさに沈黙した。

「みんなは何もやっていない! 俺たちとずっと一緒にいたんだ! 信じてくれ!」

「信じます。信じますよ、ですが決定事項です。今回のように偽者を確保しないと死刑は免れません」

「だったら探してくれ! 頼む!」

「もう探しています。ですが、見つからないのです」

「皆様、行きますわよ」

 焔子がベッドから降り、身なりを整える。

「焔子さんはまだ安静に……!」

「いえ、もう大丈夫です。大変お世話になりました」

 受付嬢の引き止める声に、彼らは振り返らず走る。

「あの7名がいる場所はたった一国のみ」

「レガリスか」

「ええ。船に乗り次第、飛鷹様にもお伝えしましょう」

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