プロローグ
グラン・グリフォン都市同盟。
木漏れ日が差す森に竪琴の澄んだ音色が流れ、寄り添うように愛が歌われる。
(今回はどんな旅になるのでしょうか)
秋良は竪琴を奏でながら、地面を覆う根を避けて歩く。
先を進むアリヤも目を伏せながら唄を紡いでいると――
サクサクサクサク――
足早に落ち葉を踏む音が旋律と重なる。
琴から顔を上げると、キャスケット帽を被った青年が焦った様子で秋良たちの横を通り過ぎようとしていた。
「何かあったんですか?」
秋良の声に青年は足を止めて向き直る。
「あぁ、手紙を預かっていてね。早く届けなければならないんだ」
「手紙ですか」
「しかも宛先がダレストリス一世様でさ。異名持ちに頼まれたら断れないよな。いや、怖くて断る勇気もない……」
異名持ちに2人はお互いの顔を見る。
「この近くに村か町はありますか?」
「ん、この近くだとトラディ村だな。ここからずっとまっすぐ行ったところ。最近まで結界が張ってあったけど、今はなくなっているから普通に入れるはずだ」
「ありがとうございます」
「おっと、いけね。道草食ってると怒られる」
青年はキャスケット帽を被り直し、再び足早に急ぐ。
するといきなり立ち止まって、秋良たちの方に振り向いた。
「村に人が集まってたからすぐわかると思うぞー!」
それだけ叫ぶと、彼は背を向けて去って行った。
「……行ってみるか?」
「そうですね。人があっての物語ですから」
秋良の言葉に、アリヤはふっと笑う。
「さてさて、何が待ち受けているやら……ま、焦ってもしょうがないし、気負わずに行こうぜ」
◆目次◆
1章 役割分担
おしゃべり魔鳥に、片想い
各チーム紹介
2章 魔力狩り阻止:グラン・グリフォン編<1>
作戦会議
酷似した特徴
染まる武器を探して
立場逆転?
グラン・グリフォン組VS――
3章 魔力狩り阻止:プリシラ編<1>
PairHeroins
愛のために
4章 周囲把握
リインのこと、隠れ家のこと、クルーアルのこと?
5章 魔力狩り阻止:デルク編
音に惑わされて
仲間に意思を託して
踏みにじられる想いに鐵の一閃を
ハディックとの合流
狂信の断罪者
希望の燈
探索結果
6章 地下トンネルでサバイバル!
いざ、出発!
地下トンネル初心者コース<1>
地下トンネル上級者コース<1>
地下トンネル中級者コース<1>
地下トンネル初心者コース<2>
地下トンネル上級者コース<2>
地下トンネル中級者コース<2>
7章 魔力狩り阻止:ダレストリス編
束の間の散策、ダレストリスの状況
魔力狩り制圧戦線
糸
8章 魔力狩り阻止:グラン・グリフォン編<2>
クルーアルの思惑
9章 魔力狩り阻止:プリシラ編<2>
予知鏡(フォーサイトミラー)
エピローグ