朝霧 垂はセプテットの冒険者ギルドで、ある人物を待っていた。
「垂、お待たせ~!」
ライゼ エンブが手を振りながら走ってくる。垂も軽く手を振り返して席を立った。
「急に呼び出して悪かったな」
「大丈夫! 僕が力になれることなら何でもやるよ」
「助かるぜ。行くか」
「うん!」
今回、二人はカームの家に行き、ダイアの歩行障害改善に協力する。
この世界にいる限り、魔法攻撃を受けないで戦うのは簡単なことじゃない。
いくら強い冒険者がついていたとしても、わずかな隙を突かれて……というのも十分あり得る。
解決策があるなら、なるべく早くダイアに施す。
そうすれば冒険者たちやダイアは足のことなど一切気にせず、戦いに集中できるだろうと考えた。
(自分で選んだ道なんだ、可能な限りサポートしてやらないとな)
改めて身を引き締めていると、見かけたことのある顔に足を止める。
(あの二人は……)
「正義と私叫?」
垂の声に二人は振り返る。
「こんなところで何してるんだ?」
「フィリアさんに会いに行くの。正義は偶然会っただけなの」
「フィリアならグラン・グリフォンのトラディ村に行ったぜ」
「トラディ村……どこ?」
「あっちだ。さっき出発したばかりだから走れば追いつくと思う」
「わかった」
「エルも一緒に行ってるから会えるはずだ」
それを聞いて、正義は自分がいないところで弟分がどう活躍しているのか気になった。
(アイツがどれくらい成長してるのか……見てみたいものだな)
「正義さんも来る?」
私叫が小首を傾げる。
「行こう。もし厄介な案件なら人手は多い方がいい」
◆目次◆
【2】カームの研究に協力する
垂とライゼの研究日誌<1>
意外な関係
垂とライゼの研究日誌<2>
【1】エルフたちの襲来を抑える
護りたいもの<1>
結界周辺調査
護りたいもの<2>
トラディ村とノー・キラー
究極の二択
紹介したい、キミのこと<1>
トラディ村観光
温かいシトラス
フィリアのためにブラジャーを作ろうと思い立ち、女性側の気持ちを理解すべく話を聞いたけど、何だか理解した気になるのは嫌なので、俺たちも巨乳になることにした
トウプの決断
紹介したい、キミのこと<2>
Sideクルーアル
トラディ村に潜む者
報せ~秘密の花園にて~