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ヒロイックソングス!

ちゃぷ~ん、プロデューサー! アイドルと温泉と……のぞき!?

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ちゃぷ~ん、プロデューサー! アイドルと温泉と……のぞき!?
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1.アイドル育生~混浴編~

 ちゃぷ~ん!
 いかにも温泉らしきベタな効果音が響き渡る。
 ベタでもいいのです。だってここは温泉。
 くつろぎとやすらぎとリラックスの詰め合わせリゾート!
 そんな温泉宿で、アイドルの卵とプロデューサーたちの慰安かつ育生が幕を開けるのだった。

   ◇◇◇

「ん、んぁあ……っ、はぁあっ、ぷ、プロデューサーさぁん……っ。わたし……もう、キツ……っ」
「んーん、まだまだ、まだいけるわぁ♪ マヤはいける子、やれる子、がんばれる子ぉ♪」
「は、はいぃ……っ! んっ、く、ふぅ……っ」
 いきなり温泉らしからぬ苦悶の声をあげているのはアイドルの卵、四十万 マヤ(しじま まや)とそのプロデューサー御永音 燈
 せっかく身体が温まる温泉という機会を利用し、温泉の隣にあるマッサージ室を借りてストレッチを行っていたのだった。
 身体の柔らかいマヤの特性をもっと伸ばそうと考えられた燈のレッスンは順調に進んでいた。
「OK、よくがんばったわねぇ」
「は……はい!」
「そしたら上半身の次は下半身のストレッチにいきましょぉ。貴女の長所をもぉっと伸ばしていくわよぉ」
「ふぁ……はい!」
 燈はマヤを仰向けに寝かせて片足を持つと伸ばしていく。
「ん~……流石に柔らかいわねぇ。一人だと伸ばせないこぉんな所まで、二人ならしっかりと出来るわぁ♪」
「う……んっ、ど、どうでしょう、プロデューサーさん……?」
「……」
「プロデューサーさぁん……?」
(これは……思った以上の逸材かも。身体が柔らかいのは十分承知してたけど、左右ともにバランス良く筋力がついてる。これは……)
「ぷ、プロデューサーさぁん……?」
「あ、ごめんねぇ。しっかり確認もできたし、そろそろ休憩といきましょうかぁ?」
「はい……!」
「そこで……これよぉ」
 ほっと一息ついたマヤに、燈は可愛らしいパッケージを差し出す。
「これは……」
「ハッピーバレンタインということで、チョコレートのプレゼントよぉ」
「わぁ……ありがとうございます! えと、でも、これは……?」
「チョコレートの美肌パックよぉ。チョコ含有のポリフェノールはお肌にいいの。アイドルはお肌が大事! ということで……さぁ、綺麗なお肌になりましょぉ♪」
「わ、プロデューサーさん……」
「パックと一緒にマッサージもプレゼントよぉ」
 そう言いながら、燈はマヤの白い肌にチョコレートを塗りたくっていく。
「ふふふふふ……しっかり塗り込んであげるわぁ♪」
「ふぁあ……き、きもちー、です……」
「この後はチョコレートを落とすために、一緒に温泉に入りましょうねぇ」
「ふぁい……あの、プロデューサーさん……」
「何かしらぁ」
「あとで、わたしもおかえし……マッサージ、してあげますね」
 体を起こしたマヤのへそには、紫色の石のついたピアスが光っていた。

   ◇◇◇

 血まみれのサメの口から飛び出したチェーンソーが、一寸木 とちお(ちょっき とちお)に襲いかかる!
「わっ、危ねっ、うぉおっ!?」
「ふふふっ、避けてばかりではレッスンになりませんわよ? ほら、ほらぁっ!」
「く……っ、はぁっ!」
 激しく踊りながら、とちおに攻撃……いやレッスンを仕掛けているのは松永 焔子
 とちおの得意なダンス能力を伸ばしつつ、殺陣も学ばせようというのが焔子の考えだった。
 そんな彼女の思惑を知ってか知らずか、練習用の剣を構えたとちおは踊りながらなんとか攻撃を避けていく。
「ふふふ……まあまあといったところですね。次の訓練はさらに厳しくなりますが反撃も構いませんよ。……できるものならね」
「お、言ったな、言ったなプロデューサー! よし、見てろよ!」
「……はぁああああああっ!」
「……ひいっ!?」
 あえて自身を狂乱状態にした焔子はとちおに襲いかかる。
 深いダメージは入らないものの、迫力満点の焔子に襲われたとちおのメンタルは如何に……
「は、ははは……さ、さすがプロデューサー……けど、あたしはこれくらいじゃ終わらないぞ……がくっ」
「ふふふ……っ、今日もいい特訓になったようですわね」
 ダウンしたとちおを焔子は温泉へと引っ張っていく。
「最後のレッスンは……温泉で一休み、ですわ」
 どぷ~ん。
 のぞきを警戒しつつ、焔子ととちおはゆったり温泉に浸かる。
「はぁあああ……生き返る……マジ生き返る……」
 心身とものぐったりと疲れ切ったとちおは焔子の隣で声にもならない声をあげ温泉を満喫していた。
 そんなとちおに、焔子は問いかける。
「私の訓練は厳しいですか?」
「は? そんなの……そんなの当然じゃん!」
「それでも、貴女なら……」
「でも……あたしは乗り越えてやる! そして絶対にアイドルになってやる!」
 貴女なら乗り越えられる。
 そう言おうとした焔子の言葉を遮って、とちおは宣言した。
 ちゃぷんと、ガッツポーズに温泉が揺れる。
 とちおの耳についているイヤリングの赤い石が光った。
「ふふふ。それでこそ私が見込んだアイドルです」
「当然! プロデューサーの期待には応えるよ!」
「ええ……貴女なら、きっと次代のサメ系アイドルになると信じます」
「サメなの? やっぱりサメにされるの!?」

   ◇◇◇

 温泉といえば、混浴。
 同じ湯船に浸かって絆を深めるべし!
 そう考え、アイドルと共に温泉に入るプロデューサーたち。
 高瀬 誠也とその担当アイドル、二ツ谷 フラウ(ふたつや ふらう)もその一組だった。
 青いワンピースの水着に身を包んだフラウは、誠也と共に温泉へと足を踏み入れる。
 痩せ型のフラウは胸もやや控え目な様子で、それを誤魔化すためか胸の辺りにはレースの装飾がやや多い水着をチョイスしたようだった。
 そして胸に揺れる青い石のついたネックレス。
 どうやらお風呂でも外すことはないようだ。
「こうしてプロデューサーと一緒にいるのは、なんだか久しぶりな気がしますわ……以前、プロデューサーが私たちのために頑張っていてくださったのは存じておりますから……」
 先日、マテプロ内で起きた幽霊騒動。
 誠也はその時、騒動解決のために動いていたことをフラウは言っているらしかった。
 水着を着た誠也は、フラウと共に温泉へ――
「……ん?」
 程良い温度のお湯に浸かり、のんびり体を伸ばそうとした誠也は、ふと視線を感じそちらに顔を向ける。
「あ……」
 誠也と目が合ったフラウは慌てた様子で顔を逸らした。
「フラウ、どうしたんだい?」
「いえ、その……プロデューサーは意外に逞しい体をしているなと思いまして……いえ。な、何か運動でもしていたんですか?」
「うーん、運動はしてなかったけど……」
 今までの行程を思い返しながら、誠也は答える。
「色々動いていたからかな?」
「それは……」
 ちゃぷんとお湯を揺らしながら、フラウは俯く。
 そして、何か決心したように誠也の方を向いた。
「よろしかったら、聞かせていただけないでしょうか? 私、プロデューサーのことをもっと知りたいと思いますの」

   ◇◇◇

「きゃっほー♪」
 ばしゃーん!
 シンプルなワンピースに南国の花を思わせるパレオをつけた六角 ハナハナ(むすみ はなはな)は、勢いよくジャンプすると温泉に飛び込んだ!
「うわぷっ!」
 先に温泉に入っていたアリーチェ・ビブリオテカリオは、そんなハナハナの水しぶきをまともに浴びる。
「な、何するのハナハナ!」
「わあ、アリーチェってばやっかましい。温泉は静かに入らなきゃ」
「どの口が言ってるの!?」
「二人とも、いくら貸し切りだからって静かにな。あと、ハナハナは気持ちは分かるけど落ち着いて」
 温泉の端でのぞきを警戒していた世良 潤也がそんな二人に声をかける。
「べ……別に浮かれてなんかいねーですよ!」
「……うん、分かった分かった」
 ウッキウキで水着を選んで温泉に飛び込んだハナハナは、慌てた様子でぷいっと潤也たちから顔を背けた。
「そうだ。そんなことより、プロデューサーにはもっと大事な役目があったじゃねーですか!」
「うん、レッスンのこと? 今回は休憩して、温泉を満喫してもらおうと……」
「じゃなくて、水着! ハナハナとアリーチェの水着、どっちがカワイイか審査してもらうって約束してたでしょ!」
「そ……そんな約束したかな?」
「したの! ハナハナとアリーチェが!」
「うん、俺の意思はなかったね」
「まあ……ハナハナも可愛いと思うけど、あたしの水着の方が絶対可愛いって!」
「何言ってるの? 最初からハナハナの方がカワイイって決まってるの!」
「二人とも……落ち着いて……」
 きゃんきゃんと言い合うハナハナとアリーチェ。
 その姿はどちらも花のように可愛らしく、どちらが上とか甲乙をつけることは非常に困難だ。
「このままじゃラチがあかないわ。そうだハナハナ、浴衣に着替えて、アレで勝負しましょ!」
「アレ? なんでもいーですよ、負けねーですから!」
 そして二人は競うように温泉からあがって、やって来たのは温泉につきものの卓球場。
「勝負、ハナハナ!」
「受けて立つですよ、アリーチェ!」
「まあまあ二人とも。温泉から上がったらまずはコレだろ?」
 熱くなる二人の前に、潤也が3本の瓶を取り出す。
 コーヒー牛乳、フルーツ牛乳、そしてイチゴ牛乳。
「まずはハナハナとアリーチェが好きなのを選んでいいぞ。俺は余ったのを飲むから」
「ふうん……アリーチェはどれがいい?」
「ええと、じゃああたしはフルーツ牛乳……」
「ハナハナもそれ!」
「えー! だったらやっぱり……卓球で勝負よ!」
「望むところですよ!」
「たあっ、えいっ!」
「あたーっく!」
「……なかなかやるわね、ハナハナ。でも、あたしだって負けないわよっ!」
「……まあ、温泉で絆は深まった、のかな?」
 汗を散らしながら卓球に興じるアリーチェとハナハナを見つめながら、潤也は苦笑するのだった。

 ――勝負の後、潤也とアリーチェの椅子の上に2枚の板チョコが置いてあった。

   ◇◇◇

「はいっ、ゴール!」
「うん、お疲れさま。いい笑顔だね」
「あっ、プロデューサー待ってください! 今、ちゃんと顔を作っていなかったからもう一枚!」
 ジョギングを終わらせた一花 蜜柑(ひとはな みかん)の姿をデジカメに収める兎多園 詩籠に、蜜柑は慌てて手を振って抗議する。
「大丈夫、いい笑顔だったよ。でも、その気持ちは大切だね。アイドルはカメラへの対応も大事。素敵な笑顔を思い出に残していこうね」
「はいっ! それじゃ、プロデューサー、お願いします!」
 蜜柑は最高の笑顔で詩籠に向き直った。
 宿の周辺をジョギング……したかったのだが外に出ることは禁止されたので、結果宿の敷地内のジョギングを終えたら、行き先はひとつ――そう、温泉! もちろん混浴!
「……水着だから、そんなに気を使わなくってもいいのに……」
「そういう訳にはいかないよ。ボクはサングラスをかける! それに、暗い上に湯気で曇るから安心して!」
 お互いに水着とはいえ。女の子と混浴するときのマナーとばかりに詩籠はひたすら紳士的に蜜柑を気遣う。
「でも……そんなんじゃ前も見えませんよね? はいっ! わたしが手を引いてあげます」
「あ……」
 そんな詩籠の手を蜜柑は握ると、温泉へと導いていった。

「……ごめんね」
「え?」
 温泉で、詩籠は蜜柑に軽く頭を下げる。
「ジョギング中にマテプロ以外の外の光景をみせてあげたかったんだけど……」
「そんな、気にしないでください。温泉の庭や長い廊下も楽しかったですよ」
「そうか……他に、蜜柑が行きたいところはあるかな?」
「え? えーっと……」
「海? 都会? 異世界? いつか行けるといいね。その時は、僕が案内するよ」
「はいっ! 楽しみにしてますから……お願いしますね」
「あと……ここ、広いね。泳いじゃおうか?」
「ふふふっ、それならサングラスは外した方がいいですよ?」

 温泉から出た詩籠は、プレゼントを手にして蜜柑を待っていた。
 バレンタインの友チョコだ。
 もうじき彼女が着替えて出てくる。
 そしたら、このチョコを渡そう――
 数分後、お互いにチョコレートを交換することになるとは夢にも思わずに。
 ……とはいえ、蜜柑からの手作りチョコは詩籠のものより大分形が崩れたハートのチョコレート。
 プロデューサーよりも下手なチョコで恥ずかしい……と、渡そうとした瞬間思わず逃げ出しそうになったりもしたのだけれども。

   ◇◇◇

「……うん、やっぱり温泉は疲れが取れる……」
「……そ、そだな、プロデューサー」
「五日市君は元気いっぱいだし、お湯とかかけてはしゃぐかなと思ったんだけど……随分落ち着いてるね。えらい」
「そ、そりゃまあ……」
 マテプロの男性アイドル五日市 一善(いつかいち いちぜん)と水着で混浴中なのは、剣堂 愛菜
 黄色のワンピース風水着を身に纏った愛菜の横で、一善はいつもの元気な様子はどこへやら。借りてきた猫のように大人しく明後日の方向を見ながら汗を流していた。
「……どうしたの? 本当に大人しいけど……具合でも、悪い?」
「いや、そりゃまあ……女の子と混浴ともなれば緊張するっつーか」
「でも、水着。ライブとかにも使う予定だから、あたしはそんなに恥ずかしくないかな」
「いやでもその、プロデューサー、可愛いから……」
「もし恥ずかしいと思うなら、そういうメンタルのトレーニングがいるかな……」
「トレーニングって、どんな!?」
 落ち着き払った愛菜とは裏腹に挙動不審になる一善。
 そんな相手の様子をじっと見つめながら、愛菜はふと気になったことを口にする。
「そういえば……リストバンド、お風呂の時もつけてるんだね」
「あ、ああ……守りの石もついてるしな」
「石……?」
「ん、これな」
 一善はリストバンドを掲げて見せる。
「うちに代々受け継がれてきた、アイドルとしての力に反応する石だって」
「ふうん……あ、そういえば、五日市君たちは温泉旅行とか、アイドルのライブ見学とかで外に出ることってあるの?」
「いや、旅行というなら、今回の温泉が始めただな! アイドルの活動するようになったら、もっと外に行けるのかな……」
「そうか……あたしがこれから先、五日市君に色んな風景を見せてあげれたらいいな……」
「ん、何か言ったか、プロデューサー?」
「ん、別に……」
 愛菜の小さな小さな呟きは、湯船に落ちる湯気の雫の音に消えていった。

   ◇◇◇

「さあクレハ、一緒に温泉、イキましょー!」
「はい、プロデューサーさん!」
 セクシーな水着に身を包んだマーリン・ケストレルと白黒フリフリのゴスロリ風水着に着替えた五郎丸 紅葉(ごろうまる くれは)は、露天風呂へゴー!
「さて、リフレッシュがメインだケド、ちょっとレッスンもしましょーか。人間、フシギなモンでフロに入ると歌いたくなるのよね」
「わかりましゅ! ついフンフンしたくなりましゅよね!」
「屋内浴室だと音が反響して歌ってヘタになるんだケド、露天なら大丈夫。湿度高いから喉痛めにくいし」
「はーい!」
 と、ご機嫌で歌のレッスンが行われたのだった。
「さてさて、歌はココまで。お次は……クレハちゃんは肩まで浸かって100まで数えられるかしらん?」
「も……もちろんでしゅ! いーち、にーい……」
 ~数分後~
「は……いえ、ななじゅーごぉ……ななじゅーはちぃ……」
「はい、ここらでストーップ」
「ま、まだできましゅ……」
「もう数もカゾエてランないくらいナノに、なにイっちゃってるの?」
 のぼせそうになった紅葉をマーリンは救出したのだった。
「ご……ごめんなさいでしゅ……プロデューサーさん……」
「謝るコトはないわよ? クレハが楽しんでイってくれたなら、それが一番ナンだから」
 横になった紅葉にうちわで風を送りながら、マーリンは笑顔で答える。
「まあ、ヨかったら後でキかせてね? どうしてアイドルヤってんのかとか、デビューしたらナニしたいかとか……」
「どうして……って、それは、それしか選択肢がないからでしゅよ? だから……そうでしゅね、デビューしたらどうしたいかなんて、考えてなかったかもしれないでしゅ……」
 横になったまま、紅葉は遠い目をしたまま答える。
「……まぁ、今はそんな深く考え込むトキじゃないかも。そうそう、ヨかったら、コレ……どう?」
「わ、猫……」
 マーリンが紅葉に差し出したのは、猫型のチョコ。
「アタシ、料理できないから出来合いでワルいんだケド……」
「う、嬉しいでしゅ! あの、あの、あたちも……」
 五郎丸も小さな箱をマーリンに差し出した。
 それは、リボン型のチョコレートだった。

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