「来た」
リインが窓を開けると、ブリジットのスパローホークが窓枠に止まる。
その足には紙が巻き付けられていた。
「あれ、ブリジーのスパローホークじゃん」
「ということはクルーアルと接触したのか」
ヘルムートが窓を閉める。
リインは二人の反応を見て、足についた手紙を取って広げる。
「で、何て来たんだ?」
飛鷹は手紙を覗き見る。
「アジトに移動するよう指示が出た。ブリジットとエーリッヒも同行するそうだよ。名前の筆跡、間違いない?」
リインはシレーネとヘルムートに手紙を見せる。
「確かに二人のもので間違いない」
「師匠とブリジーに間違いないよ」
「それなら早速行こう。少し歩くけど」
詳しい場所は聞かされず、冒険者たちはリインの後に続く。
◆ ◆ ◆
交易都市セプテットにある、とある酒場。
店自体はクローズしているが、店内は筋肉隆々で屈強な男性騎士たちがどんちゃん騒ぎしている。
騒ぎの中で、窓ガラスをノックする音を聞いた一人の騎士が店のドアを開ける。
白いフクロウが立っており、フクロウはドアが開くなり腕に止まる。
足についた紙を取り、広げ見る。
その内容に彼は、他の騎士より一回り体の大きい男に駆け寄った。
「ハディック様、クルーアル様からお手紙が届いています!」
「読め」
騒ぎに負けないよう、大きな声で読むが、全く内容が聞こえない。
ハディックと呼ばれた男は、持っていたグラスをテーブルに叩きつけた。
「おまんら! せからしかぞ!」
どんちゃん騒ぎが一気に静まる。
「最初から読め」
「クルーアル、リインは冒険者10名と接触。信用に値する者としてノー・キラーの情報提供および潜伏先へ招待する。彼らによると残り9名の冒険者がセプテットにて行動中。もし接触したら協力するように……以上です! ……手紙返信しますか?」
「せんでよか。ただの業務連絡き。おまんら、続けていいぞ」
店内は男たちの雄叫びで揺れる。
ハディックは鶏の骨を噛み砕きながら、手紙に書かれた19名の名を黙読する。
(可哀想なやつらじゃ。最悪なやつに目をつけられおって……)
酒をあおろうとするが、グラスは粉々に割れていた。
「そっちグラスあるか! あるならわしに分けてほしいき!」
大声で話す男たちに劣らない声を出しながら、彼は席を離れた。