カームの成長術
買い出しを済ませ、何事もなくダイアの家に戻ってきたルージュたち。
ステーキ用の牛肉、サラダなどに使えそうな野菜たち、ライトブレッド人数分をキッチンに広げる。
加えてバターなどの調味料も少し買い足した。
「カフェ風ステーキランチ、作るわよ!」
そう意気込むルージュが取ったのはステーキ肉。
狭いキッチンをサラダ・パン担当の優と、かぼちゃスープ担当のレジェヴァロニーエに譲り、彼女はテーブルに移動する。
まずは牛肉に塩とコショウを薄くかける。
(ダイアは中がピンクって言っていたけど、みんなには中をしっかり焼いたものにしておこうかしら)
ダイア用の肉とみんな用の肉を分け、区別がつくようにみんな用の肉を五等分にカットする。
優は2センチ間隔でパンを切る。
その隣でレジェヴァロニーエは瓢箪の形をしたかぼちゃの皮を剥く。
「ルージュ、剥き終わったら切ればいいのか?」
かぼちゃの皮を剥きながら、レジェヴァロニーエは振り向く。
「えぇ、小さい四角になるように切って」
「小さい四角……優、どうすればいいんだ?」
優はパンを切る手を止めて、剥き終わっているかぼちゃを取る。
「いいですか? まず輪切りにしたあと……棒状に切って……今縦の状態になっていますからそれを横に。そのままもう一回縦に切ったら……小さい四角になったでしょう?」
「あぁ。なるほど、そう切ればいいんだな。助かった」
優が教えている間、ルージュはカットした肉をフライパンの上半分で焼く。
肉汁が流れてこないよう、下半分には仕切りをつけた。
その間に鍋を棚から出し、フライパンの隣に置く。
鍋には水、砂糖、塩を入れ、火にかけた。
「ルージュ、パンをここに置いても?」
「いいわよ」
優はフライパンの中にパンを置いたあと、卵を割ってボウルの中へ。牛乳と砂糖を入れてかき混ぜる。
「ルージュ、かぼちゃ終わったぞ。鍋に入れればいいのか?」
「ええ。レジェはかぼちゃスープを見てて」
「わかった」
「あとは……片付けながら様子を見ましょう」
◆ ◆ ◆
「二人とも。はい、あーん」
ルージュは味見用に作ったフレンチトーストを優とレジェヴァロニーエに食べさせる。
中まで染みこんだ卵液、ちょうどいい塩梅でふられた砂糖、パンの柔らかさに二人の顔がほころぶ。
「美味しいです」
「あぁ。上手くできたな。かぼちゃスープはどうだ」
二人はスプーンでひとすくいして一口。
「優しい味がしますよ、レジェ」
「かぼちゃの味がはっきりしてて美味しいわ」
「ステーキはどうでしょう?」
今度は三人同時に食べる。
「中もちゃんと焼けているし、問題ないわね」
「えぇ。味もばっちりです」
「二人とも堪能しているところ申し訳ないが……味見に時間をかけていると冷めるぞ」
「そうですね。早く持って行きましょう」
ルージュが外に出て、冒険者たちに声をかける。
「みんな! お昼にするわよ!」