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GJT-グレート ジィチャン トミオ-【第2話/全3話】

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GJT-グレート ジィチャン トミオ-【第2話/全3話】
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 一章
 
 梅山十三雄はぬるぬるべたべた。四肢には紫色の触手が絡みつき、はちみつが降り注ぐ。
「ああ~! まったぁく、破廉恥なステージでぞっとしてしまいますわ~。狙ってやってるのでは?」
 松永 焔子が梅山から3ヤードほど離れ、顔をしかめた。
「おおっ!!! 楽しくなってきたぞ!!! ふっうぅー♪ うっうー♪ ほれ、ほれい!」
 梅山は触手に捕らわれたまま、ぐねぐねと踊る。
「ああっ、無害で本当に良かったですわね! むしろ、一生、そこで踊ってくださいまし!」
 焔子は盛大な溜息を吐いた。誰が助けるものか。むしろ、助ける方がどうかしている。
「本当ですよ! 一体全体、何ですか、この吸血鬼の館は!? 申し訳ないのですが、造った方に文句を言わせてください! 何処にいます? 出てきてくださーい!」
 暁月 弥恵は激怒している。弥恵にはエロトラップなどわからぬ。だけれど、弥恵は人一倍敏感だった。
「そうよ! 何よ、この館! エロトラップにショタ系の男の子? そんなの気持ちよくなるしかないじゃない!」
 今井 亜莉沙が鼻息を荒くする。
「あ、亜莉沙様っ! 既に理性がぶっ壊れておりますわよ!」
 山内 リンドウがどうにかツッコミを入れ、亜莉沙がはっとする。
「しまったわ、あたしの本音が……あれ?」
 慌てて口を押える亜莉沙。今日はどうしたのだろう。
「アサリ様……と言うか、幸人様は何を?」
 リンドウが亜莉沙の脳みそを憐れみながら、紫月 幸人に声をかけた。幸人はリンドウと亜莉沙に尻を向け、赤い箱を熱心に漁っている。先ほどまで、幸人はきょろきょろとあたりを見渡し、ふぅむと唸っていたわけだがすぐに適応力の高さを皆に見せつけている。ただ、亜莉沙は不満顔だ。
「もーおー、アサリ違うしっ! そろそろ、覚えて欲しいわよ! クールでスタイリッシュ、そして、インテリジェンスな女を!」
 完璧に言い切った。だが、不幸なことに、誰も聞いちゃいないし幸人に至ってはいまだに箱を漁っている。
「む? あんた、それってトライアングルさー?」
 リズ・ロビィが幸人の手元を覗き込み、それ以外の者は小首を傾げた。トライアングルってなによ。奇妙な雰囲気の中、幸人はその言葉に得意げに頷き、立ち上がった。
「その通り~、トライアングルですよ! そうそう。これを使ってね……出でよ! ショタ系の男の子達! 此処に得物がおりますぞぅ? チンチーン!」
 幸人はトライアングルを鳴らし続ける。
「ちょ、ま……! 他の吸血鬼が集まってきたらどうするのさー!」
 リズは叫び、蠢く触手と梅山の狂演にびくりとする。
「う……あ。い、嫌なもん見ちゃったさー……」
 青ざめるリズとは裏腹に目をぎらつかせる亜莉沙。
「ええ、そのお気持ちわかりますよ、おじさんの触手ものはマニアックすぎますからね」
 優・コーデュロイがにっこりと笑い、亜莉沙の目と口を何食わぬ顔で塞ぐ。
「は?」
 ぎょっとする亜莉沙。
「少し、落ち着いてくださいね」
 諭すような優の声に亜莉沙が暴れだす。
「あなた、出し抜こうとしてないわよね! てか、メガネが食い込むじゃない!! あああ~~~~、あたしのアイデンティティー~~~~!!!」
「……透けますよ、暴れると。それに男の子達はお譲りします」
 ふぅと溜息をつき、優は亜莉沙から離れた。見れば、静かになるどころか、亜莉沙は好戦的な目をしている。
「恐ろしい人ですね……おや?」
 足元がじんわりと温まっていることに優は気がつく。床暖房ですか? いえ、これはトラップですね、そう感じた時にはプリン色の触手が滝のように落ちてきたし、優はあえてなのかその全てを受け止めた。所謂、直撃である。
「え、は、ちょ──!? え、え? あっ!? え、いったい、どこを触っているのですか! あひやっ!?」
 優の両目を覆い隠し、両腕を真上に固定する触手。
「や、やめなさい!!」
 ぶるぶる震える優。
「視覚を奪うことによって、感度を上げる作戦ってことですわね。おー怖い、怖い!」
 その様子を見つめる焔子。
「見ているだけでいいのですか?」
 あわあわする弥恵。
「ええ、こっちに触手が来たら困りますから」
「あっ、んんんっ!? んふっ!! あっ、怒りますよ!」
 どろどろぐちょぐちょ姿の優。何人かがそわそわするが、簡単にヤられる優ではない。喘ぎながら、手の拘束をどうにか解き、梅山聖水を触手に投げつける。
「はー……どうにか消えましたね……はー……」
 優は喘ぎ、スケた身体を隠すように大きな壺の後ろに立った。
「あたしを止めたバチが当たったのよ!」
 亜莉沙が指を指す。
「はい? 何です、それは」
 優の眉根が寄り始める。
「あっ、亜莉沙様! バスローブが透けています!」
 一触即発の気配を感じ、弥恵が叫んだ。
「はぁ~ん? ほぉーん? 透け上等YO!!!」
 亜莉沙がふんと鼻を鳴らし、男性陣が礼儀的に目を伏せる中、幸人が堂々と亜莉沙の正面に立つ。もしかしたら、空気を読んだのかもしれない。
「上等なら俺が受けて立ちましょう!! ふんっ!!」
 ドヤ顔の幸人。あろうことか、幸人のバスローブも透けていく。ただ、女性陣は慣れてきたのか目を覆うことすらしない。むしろ──
「ああ、どうしましょう!? この状況に慣れてきた気がしますわ! 嫌ですわ、慣れたくありませんわ! 羞恥を忘れてはダメ、リンドウ!」
 頭を抱える。
「やべー館で皆、おかしくなったのさー?」
 小首を傾げるリズ。
「亜莉沙様!! やっぱり、同じ女性として見過ごせません!」
 真っ赤な顔で弥恵が亜莉沙に抱き着き、「社長、少し落ち着いてくださいまし」と焔子が真顔でジャーマン・スープレックスを幸人にきめ、すぐに離れる。幸人は白目を剥き、ぴくぴくしている。
「……死屍累々とはこのことを言うのですね」
 ごくりと喉を鳴らす高瀬 誠也。もう、めちゃくちゃだ。
「これは誰よりも早く脱出しなければいけません」
 誠也は誓い、バスローブの紐をきゅっと結びなおした。視界の先には、触手とはちみつと梅山。
「おっ、おおっ!! 見よ、この身体を!! 神より美しいだろう!?」
 狂ったように叫んでいる。
「ええ……大丈夫でしょうか……それとも、戦いはもう始まっていますか?」
 誠也は目を細める。気力を保てた者だけが生き残る気がした。
「そっか、セフィロトってこんな雰囲気なんだね」
 アイン・ハートビーツが初セフィロトの感想を口にし、落ちていたトロフィーを拾い上げた。
「それは誤解じゃないか」
 飛鷹 シンが首を振り、うっと顔をしかめる。梅山を見てしまった。
「え?」
 振り向くアイン。
「何が誤解なのかな? 触手とえっちなトラップ、吸血鬼がセフィロトだよね?」
「かなりの風評被害だろ、それ……吸血鬼は合ってるが、触手はそうそうあるもんじゃねぇし……そして、念のため聞くが俺、元の姿に戻れてるよな……?」
 こっそりと聞く。
「ううん、かわいい女の子かな」
 即答するアイン。ぎょっとするシン。
「は? 嘘だろ? なぁなぁ、俺、元の姿に戻ってるよな?」
 シンは四十秒以上待ったが、皆の反応はゼロだった。
「ああくそっ! また聞いてねぇな! ああ……鏡、鏡!」
 シンは苛立ちながら、鏡を探す。
「はい、キミが欲しい鏡だよ」
「おっ、ありがとな! そうそう、これ! これで紙を切れ……は?」
「うん、ハサミだし嘘だよ」
 アインはしれっと言い、シンは脱力した。
「おい、楽しもうとしてんだろ? 伝わってくるわ……てか、どこで拾ったんだ、これ」
「ハサミはね、壁に突き刺さってたんだ。うん、そう。またいつ来れるか解らないし、この機会にたっぷり堪能しておきたくて。酸いも甘いも噛み分けるってことかな」
「……悪い。それは必要な経験なのか?」
 頭が痛くなってきた。
「あ」
 指差すアイン。シンは顔をしかめる。大事なところをアインに聞き飛ばされていた。
「あ? なんだ? もう、ツッコまねぇぞ」
「足元に魔法陣があるよ」
 アインの言葉に素直に下を向くシン。しかも、本当にあった。
「なんだ、これ? また、触手の類いか?」
 シンはうんざりしながら、シャンデリアに飛び付こうとした。だが、その前に。
「お、本当だな! 何かのトラップか?」
 どろどろの梅山が目の前に立っていた。
「ああ……梅山、無事だったんだな……」
 言いながら、シンは顔を引きつらせる。突然、トラップの難易度が上がったような気がする。
「おうよ!! 飽きちまったから抜け出してきたわ!! ん、足元にボタン? がーっはっは!! 押さなきゃそんそん!」
 梅山はボタンを反射的に押し、呆気なく穴に落ちていった。
「……いや、明らかトラップだろうよ。と言うか、そっちなんだ……」
 
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