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リアクション
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09.エピローグ

「おかえり、諸君。時間旅行は楽しめたかな?」
 アドミンの出迎えを受けて、特異者達は彼女の姿を、そしてイーサという場所を見詰め直す。どれだけ過去に救いがなくても、生きて抗うべきはこの時代に他ならないのだ。
 報告を聞き終えたアドミンは小さく頷いた。
「関係者には情報を共有しておくよ。ただ託された言葉や想いは……きみたち自身で本人に伝えてあげるといい」
 メアリは立ち去ろうとするアドミンを呼び止めた。
「突然で悪いのだが、おぬしの母親について聞かせてもらえぬかのう」
「……イーサの記録情報で良ければ提供しよう」
 アドミン――ユニの母親の名前はカナデ・エルフォード。連合軍の従軍聖職者でイーサに常駐していた。遺伝子疾患を抱えておりイーサの医療部門で懸命な治療を受けていたが若くしてこの世を去っている。その姿はフェスタと瓜二つだった。
「ちぐはぐだったプロファイリングが繋がったのう」
 かつてフェスタはアドミンを失敗作と言った。アゼルは何を作りたかった? どうして失敗の可能性があっても推し進めた?
「実験台にしたのではない。母親と同じ遺伝子疾患を抱えた娘を救うために時間制限の中で行動したのじゃ」
 無謀な試みで娘を苦しめるだけだったが、それは結果論に過ぎない。
「過去で話した印象だと目的はあっても……強い信念があるように見えなかったわ……」
 ルナの言葉にメアリは頷いた。
「あの時点ではそうじゃろうな。いや、今でもそう変わらんかもしれん。恐らく根は真っ当で善良じゃ」
「大切な者のために……それ以外のすべてを切り捨てたのね……」
「『覚悟に囚われた弱者』と呼ぶべきか、もはや何があろうとも止まるまい」


「あの日を再現したのは誰か、その答えを共有しておきたい」
 鈴乃宮燕馬は集められた情報をもとに大きな謎の一つに答えを出していた。
「システム自体の構築者はアゼル・エルフォードに違いないが、あの日を再現したのはあなただ」
 燕馬の指がアドミンに突き付けられた。
「私のトラップに掛かったQIは誰も知り得なかった。あなたを除いてはね」
 ツェツィーリア・ボーゲンが決定的な根拠を口にする。
「知らないものは再現できない。あの男が当時、把握していないのであれば記録も取れないか……きっとその通りなのだろうね」
 アドミンは苦笑を浮かべた。
「隠してたつもりはないよ。知らなかった……いや、覚えていなかったのさ。ただきみたちの話を聞いて私は私が誕生した理由を思い出したよ」
 僅かに取り戻した記憶からユニの最期を語り出す。
「海中施設の悪事を暴くためにあの男の記憶を何度も確認して、行動を読み、計画を探った――」



『ここから出せです!』
『協力者らしきQIを捕らえました』
 監視カメラにジョエルの率いる部隊がセイムを主任研究室に閉じ込める様子が映る。
 ユニは管理区の防衛司令部で情報面から二重の封じ込めを行った。
『位置情報が改竄されていたようだ。ここにアゼルの姿は無い』
「防衛隊に捜索を行わせます。皆さんはすぐに海中施設から脱出してください」
 海中施設の設計者はアゼルで、イーサの権限を奪われても対抗できるように準備をしていたのか干渉を避けられなかった。
 追い打ちを掛けるように防衛隊から情報が入った。
「イーサ内の機体が制御を受け付けない? ジョエル小父さん、イーサに常駐する連合軍を動かせますか?」
 程なくして連合軍の哨戒機からソナーに反応ありと報告される。哨戒機は報告後すぐに沈黙した。
「私が追い掛けます」
 ユニは防衛司令部を飛び出した。
『どうやって追うつもりだ』
「一つだけイーサのネットワークに登録されていないIFがあります」
 通信を切ると自分の研究室に入り、実体化した群青色のIFに覚悟を決めて乗り込んだ。
「行こう、エルガイスト」
 自らの戒めとして名付けた“パイロット殺し”の汚名を持つ呪われし機体。
 無茶な機動に操縦席で血反吐を漏らそうとも加速は緩めない。ここで間に合わなければすべてが無意味に終わる。
「追い付いた!」
 海中の反応を確認して、レーザーソードを引き抜いた。
「どこへ向かうつもりですか。既に後ろ盾はないのですよ」
『どうとでもなる。奴らの負の遺産は私の手にあるのだから』
「止まって、止まってください」
『お前もまた翡翠の黄昏で見付け出そう――撃て』
「……やだ、こんなのやだよ……お願い、やめて」
 潜水艦からミサイルが放たれて回避に専念するが徐々に追い詰められていく。
「ああ、あああ……あぁぁぁぁっ!」
 エルガイストは長大なレーザーソードで海を叩き割り潜水艦を斬り裂いた。
 それと同時にミサイルがエルガイストに直撃する。爆発の余波で脱出装置のパラシュートが正常に開かずユニの身体は海面に叩き付けられた。
「お父さん……」
 ユニは後悔と絶望に苛まれながら意識を失った。


 目覚めると病室の白い天井があった。
 事態を把握しようとしても、ニューロチップに刷り込まれたアゼルの記憶ばかりが流れ込む。
 少女は自分がどんな人間か知ろうとイーサの記録を閲覧する。
「触手? 私はこういうものが好きなのだな」
 本来の言葉遣いを忘れ、友達のために仕方なく変態グッズを作った記憶を失い、治療失敗の弊害で優れた演算能力は発揮できず、エルガイストの操縦で傷付いた肉体は運動能力を損なっていた。
『ここから出せです、イーサの管理者!』
 考え込んでいると端末に自分と似た姿を持つ誰かが投影された。
「管理者か……ふむ、イーサの管理者であり肉体の管理者。アドミニストレータ……長いな」
『何を言ってるです? 脳味噌でも溶けたですか?』
「誰だが知らないが病室で騒ぐなよ、お祭り頭くん。それと私のことは――今後は親しみを込めて、アドミンと呼んでくれたまえよ」
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担当マスターより

▼担当マスター:トヨシロ

マスターコメント

 バッドエンドなんてノーサンキュー、ハッピーエンド主義者のトヨシロです。
 ターニングポイントにしてエピソードゼロな第三話をお送り致しました。
 終わり果てた悲劇の中であなたは一つでも大切なものを見付けられたでしょうか。

 今回のリアクションで現代に至るまでの空白部分はほとんど埋まったかと思います。
 まだ埋まっていない箇所が気になる方は今後のシナリオで踏み込んでみると良いでしょう。
 ただ今回で伝わったかと思いますが、本シリーズは知れば知るほど絶望できる愉悦仕様です。
 どいつもこいつも闇を抱えて不幸塗れでどうしようもなく救われない。
 そんな彼ら彼女らを救えるのはあなただけです!(無責任な丸投げ)

 今更ながらの補足ですが私のプライベートシナリオではNPC関係の称号は基本的に出していません。どう思われているのかはシナリオガイドやリアクションから読み取ってください。『本当はどう思っているか』を隠す意味もありますし人間関係を流動的に扱いたいという考えからです。
 もう一点補足ですが、今回のシナリオではPC全体を示す時は特異者という言葉で統一しています。
 今後も三千界のアバターの世界を舞台にした場合は『特異者』、蒼空Reを舞台にした場合は『契約者』、ヒロイックソングス!の場合は『アイドル』という形でシナリオの舞台に合わせてPC全体を示す言葉を統一する予定です。


■シナリオガイドの訂正箇所について
・リアクションの時間帯:午後9時 → 午前9時
・過去のイーサの位置:エリア15から少し離れた大海原にポツンと浮かぶ小島 → 位置は変わらないが当時はエリア15が存在しない
・過去のジョエル・マクベスの階級:技術将校の中佐 → 技術将校の中尉
 アクションを確認した限りではどれも実害は無い訂正ですが、イメージなどで支障が出たかと思いますので、改めて訂正してお詫び申し上げます。


 さて、以下にリアクションの結果と各パートごとの感想的なものをまとめました。
 今回はパート2,3は失敗前提ぐらいのつもりの難易度でしたが、皆様の奮戦によって成功に近い結果を得られています。

■リアクション結果まとめ
 ●エドマンド・オールストンの死亡事故はアゼルが口封じのために起こした殺人事件だと判明する
 ●海中施設の一部の防衛には成功するが、重要データの回収には失敗する
 ●偽装艦隊のイーサへの襲撃を許してしまうが、調査のための時間稼ぎには成功する


【1】過去のイーサを調査する
 参加人数から調査は人手不足になるかなと思いましたが良い感じにばらけていて、当時のイーサの全体像を掴めたのではないでしょうか。
 エドマンドについては万全の対策によって事件そのものが起こりませんでした。事件であればエドマンドに殺される理由があったということで、それこそが犯人を特定できる情報の一つであり、生き延びた彼の口から聞くことができる真相です。
 データと割り切りエドマンドを見殺しにして犯人を探る方法もありましたが、それをやると漏れなくイーサ関係者の好感度が下がります。
 特異者によって変えられた世界では、恐らくエドマンドがアゼルを止めることに成功してエキセントリックシリーズは始まらない未来となることでしょう。しかしそれは絶対に手に入らないもしもの可能性であり、すべてを知った上で現在を強く生きるしかありません。
 今回はイーサを巡る因縁に部外者だった皆様を巻き込むための舞台でもありました。少しでも彼ら、彼女らの内面に踏み込んで感じ入るものがあったならこれに勝る喜びはありません。
 さて、メインとなるエドマンドの事件以外にも多くのことを知り得たでしょう。その情報がどう取り扱うのか今後の指針となれば幸いです。

【2】海中施設を防衛する
 重要データの確保のためには待ちではなく積極的な排除が求められました。そのため本パートの難易度は高く設定されています。
 完全なる阻止はできませんでしたが調査を優先する行動からある程度の情報を回収できています。
 防衛戦としては失敗とまではいきませんが苦戦を強いられました。室内の限られた空間ではそれに適した戦法を取る必要があります。
 このパートではアイとジェラルドの過去を垣間が見えました。アイは既に明かされている情報から割と悲惨な境遇であることは伝わっているかと思いますが、改めて形にすると重いですね。

【3】偽装艦隊を迎撃する
 最初から完全阻止よりも時間稼ぎと割り切って行動する方が多くいらっしゃいました。難易度は敵の強さというよりパート自体の難易度を示していますが、推測通り完全なる阻止は非常に困難です。
 リアクションの描写から失敗のようにも見えますが、必要な情報収集を終えるまでの時間を稼いでいるので私としては成功と考えています。遅滞戦闘お見事でした。
 フェスタが手を貸してくれてますが、あいつは構ってくれた方には恩を返す律儀なところがあります。ただ望んだ形になるとは限らないのでご注意ください。決して私があわよくばアイドルを触手で弄ぼうとした事実はないです。ないですよ。ないですからね。



【第二回IF開発会議・反映結果】
 今回の変更部分を赤字にしています。次回で最終形が決まるので機体名など機能以外の部分も考えておくと良いでしょう。
 基本的に順当な強化路線を進んでおりますが『前線指揮型』については、今回の改修でどっちつかずになってしまいました。指揮型という方向に戻すか、それとも完全に新兵器実証用の試験機とするか選ぶと良いかもしれません。

■1:砲撃特化型(提案者:ジェノ・サリス 様)
 ヴァルツァーブレンで培ったデータをもとに制作した射撃制システムを搭載している。
 専用兵装を扱うための姿勢制御と重量を得るために装甲を厚くして鈍重になっている。
 支援砲撃の役割を担うため近接戦闘には向かず近付かれる前に撃ち落とすことが前提になる。
・専用装備『レーザーカノン』
 両肩に積んだ二つの長大な砲撃兵装。強力なレーザーを放つことができる。
 砲撃モードに対応するため折り畳み式となった。折り畳んだ状態では拡散砲撃、展開した状態で貫通砲撃を行える。
 スキル「クイックロード」を用いても連射を行うことはできない。
・砲撃モード
 貫通砲撃:砲撃を収束させたレーザーを放つ。射程は長く威力は凄まじいが線の攻撃であり狙いを定める必要がある。
 拡散砲撃:砲撃を収束せず拡散させる。射程は短くなり一撃の威力は落ちるが広範囲の面攻撃を行える。
・最大出力砲撃
 砲撃モードに合わせた砲撃を最大出力で放つ。
 基地や艦船などのエネルギー供給を受けられる環境でのみ行うことができる。
 ただし両足が地面に足を付いた安定状態が必須であり発射シークエンスには時間が掛かる。
 また一度放った後は冷却のため一定時間はレーザーカノンを使用できなくなる。
 最大出力時の単純な威力はグラヴィティキャノンを超え、広範囲の攻撃となるため慎重に扱う必要がある。
 シナリオにおいては上官からの許可がなければ運用する事ができない。

■2:可変強襲型(提案者:桐ヶ谷 遥 様)
 戦闘機形態と旧式レベルまで小型軽量化した人型形態を使い分ける強襲仕様。
 変形速度ど機動性を高めるために搭乗者の命を守る最低限の装甲を纏う。
 マオアークロイツをベースにしており操作性に優れている。
 ただし手動操作を求められることが多くパイロット自身の力量に大きく依存する。
 可変機構と操作性のため可動部位が多く耐久性は低くなっている。
 人型形態時には巨大な翼は折り畳まれて拡張ブースターとなる。
 コックピットは搭乗者と機体のリンクを高めるために、より直感的な操作を行えるインターフェースを採用している。
・専用装備:『BMPB』
 BMピンポイント・バリア。
 本来のBMバリアは自分の機体を包み込むように展開されるが、それをLDの操作によって細かく調整できる。
 範囲を絞ることで多重バリアを展開して強力な攻撃を防いだり、一時的な足場や強制的な方向転換など様々な利用法がある。
・『スプリット・ソード』
 主武装として搭載されたレーザーソード。
 切れ味に優れているが剣身が細いため正確に狙う必要がある。鍔迫り合いや力任さの使用には向かない。
・『マニュアル・スラスター』
 四肢に増設されたスラスターユニット。軽量化による出力不足を速度で補う。攻撃や回避時に瞬間加速に利用する。
 加速のタイミングや加減を間違えると関節部を痛めたり、機体が回転して大きな隙を晒すことになる。
 戦闘機形態の加速性能も向上している。
 マニュアル操作によるテクニカルな操作の幅が広がった。
 【ソードフリップ】の技術と組み合わせることでより有効活用できる。


■3:前線指揮型(提案者:藤原 経衡 様)
 索敵能力とデータリンクシステムを持つ前線指揮官用のIF。
 「プロジェクト・イカロス」で開発されたファントムホークを参考にしている。
 戦闘に比重を置いており特殊光学迷彩をオミットして、その代わり機体造形によって視認性を下げる工夫がされている。
 リアルタイムでの情報送信・分析を得意としており、COと通信を繋ぐことができれば更に詳細なデータ解析を行える。
 指揮官機として操縦者はベテラン以上に限られるため戦闘能力は大きく強化されている。
・専用装備:『試作ブルー・コネクト』
 ブルー・カリバーを発展させた試作装備。外見はガントレット。両手装備。
 海水を纏わせて固着する。固着した海水の形は剣や盾など自在に変えることができる。
 形を変える場合は一度解除して、再度固着する必要がある。
 大きくすればするほど威力や強度がの低下する。更に大きさに対しての性能低下はブルー・カリバーよりも著しくなっている。
 また射出機構を持たないため、あくまで近接用装備としての運用に留まる。

×専用装備:『ADS』オミット
 アサルト・データリンク・システム。
 戦闘用に特化したデータリンクシステムで部隊や戦況を細かく確認できる。
 また各パイロットの操作ログや状況判断を蓄積して、より正確な行動予測を行える。
 その情報をもとに各パイロットへの指示や連係に活かすことができる。
(※試作装備の搭載に伴い『ADS』のオミットなど指揮官機としての機能が低下している)


■4:調査特化型(提案者:幾嶋 衛司 様)
 旧式より更に一回り小さいIF開発初期時のパワードスーツに近い機体。
 あくまでLDが運用することを前提とするため、OCやCOは基本的には扱えない。
 その分、IFとしての機能と優れた操作性を持っている。
 有毒な廃棄物がある汚染地域や深海や砂漠など生身では過酷な環境の調査を行う。
 データリンクによるリアルタイムのデータ送受信で、COとやり取りを行いながら調査を進められる。
 サイズの小ささと最大出力の低さから戦闘能力は低い。
 過去のジョエルやエドマンドからのアドバイスを受けて、無駄を省いたリソースで装備制限が取り払われた。
 緊急時に備えて各種サバイバルキットや救命道具なども備え付けられている。
・専用装備:『調査キット』
 各種採取キット、ドローン、サンプルを保管する気密収納、高性能のソナー、撮影機材など調査用の装備一式。
 研究者の要望からフィールドワークに必要なものは一通り揃えられている。


 改めてまして本シナリオにご参加頂きありがとうございました。
 次回もご縁がありましたらよろしくお願い致します。