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06.戦争を始めよう

 イーサ内での情報収集や海中施設での攻防が繰り広げられている頃、イーサ近海ではもう一つの防衛戦が展開されていた。
 ジェノ・サリスはQIのブルー粒子によって構築された肉体を活かして、海鳥にその身を変身させていた。
 トワイライトの偽装艦隊が近付いてくるが、居て当たり前のものを警戒する者は居ない。念の為に海面ギリギリの低高度を飛んでおり、目視であってもレーダーであっても見付かり難い位置取りを心掛けていた。
「平和になれば、兵士は必要なくなる……受け入れられないものは出てくるのだろう。とは言え、それを認めてやるわけにはいかない」
 ジェノは輸送艦を中心に展開されたIF部隊がすべて攻撃範囲に入ったことを確認するとアポリオンを起動した。
 ブルー粒子のウイルス化によって敵部隊の隊列が乱れた。旧時代の産物である輸送艦にはほとんど影響は与えられなかったが、新時代の主力兵器であるIFは停止までは行かないまでも、装備品の不調や出力低下によって本来の性能が発揮できない状態に陥っていた。
 しかし、僅かな時間で隊列が整えられていく。平和の世でも新たなる戦争のために牙を磨き続けた彼らの執念は伊達ではない。
「気付かれたか……!」
 海鳥の姿に不釣り合いなジェットウィングを展開、降り注ぐ銃弾を躱して超高速で戦場を翔ける。
『ちょこまかと!』
「鬱陶しいか? これがお前達の求めた戦争だろう。Aスポーツのようなルールは無い――卑怯とは言わせん」
 IF部隊の合間を抜けながら量子干渉波を放つ。レーダーと通信に障害を起こして更なる混乱を巻き起こした。


 混乱が最大限に拡大した時、艦隊の前で海が迫り上がった――そう見紛う程の海水がブルー・カリバーに固着していた。
「戦いが終わったってのに、まだアンタらの戦いは終わってねぇみたいだな。なら終わらせてやる」
 飛鷹 シンの操る振電は両腕に握ったブルー・カリバーを大きく横に薙ぎ払った。それはまさしく大津波。寄る辺のない絶海では荒れ狂う波ほど恐ろしいものはない。
 IF部隊は反射的な回避に成功したが、輸送艦は大きく波に揺られて船員は必死でしがみついた。
「注意は引けたとはいえ、予想以上の食い付きだ」
 四機編成の小隊が連携してシンを取り囲む。距離を置いて他部隊もサポートに付いている。
「久し振りのところで悪いが、まだまだ付き合ってくれよ、振電」
 シンはブルー・カリバーを仕舞い込むと、アサルトライフルとブレードに持ち替えた。
 小隊が縦横無尽に駆け巡り、四方八方から正確無比の射撃が襲う。激しく入り乱れているのに一発の誤射もしない恐ろしいまでの手練だ。
「上等だっ!」
 スラスターの急激な加減速とスリップを織り交ぜた機動で翻弄しながら銃弾をばらまいた。
 回避し切れない弾丸はBMバリアで弾く。敵機が間合いに踏み込んで来ればワイヤークローで動きを封じて、ソードフリップから繰り出すブレードを叩き込んだ。
『貴様のような手練と相見えたことを感謝する』
 鍔迫り合いに持ち込んだ敵機がオープンチャンネルで無線を送ってきた。
「買い被りだぜ、こちとらアンタらの最新鋭機には程遠い機体だ」
 シンは機体の性能差で押し込まれていくが耐えた。下手に距離を置けば蜂の巣にされる。敵機と密着しているからこそ射撃を免れているのだ。
 何か打破する方法はないものかと必死に思考を回していると――見覚えのある青の機影が視界に映った。
 追加ブースターを搭載した戦闘機形態の『雲雀・改』が圧倒的な速度で包囲網を突き破り、無数の銃口が狙いを定める前にIF形態に変形した。
「手練をお求めなら、わたしが相手になってあげる」
 桐ヶ谷遥はその手に刀を想起する片刃の光剣――ライトニングブレードを構えて周囲を威圧する。
『無茶苦茶な登場だな』
「余計なお世話だった?」
『いや、頼りにさせてもらう』
「それなら反撃を開始しましょうか」
 遥とシンは背中を預けながら言葉を返すと、目の前の敵に切り込んだ。
「ついでだから、新型の糧になってもらいましょう」
 戦闘機形態に変形して一時離脱から再び急接近。最初に包囲網を破った時と同じように空間知覚によって配置を把握して、飛び交う弾丸を巧みなスラスター制御で躱しながら懐に潜り込み――
「機体が追い付かない!」
 近接戦闘に移行しようとしたが変形の途中で間に合わない。
 想定外の機動は奇しくも意表を突く結果となった。遥は敵機の苦し紛れのブレードを掻い潜り死角から刃を振り上げた。スラスターの勢いを受けた光剣は凄まじい熱で装甲を容易く抉る。
「参考データは得られたけど、思い付きでやるものではなかったわね」
 仮想世界を離脱する敵機を残心を取りながら見送ると、遥は己の無茶を反省した。



 派手に立ち回る二機のIFと陰ながら支援に徹する海鳥の助けを受けて、小さな人影が二つ敵の輸送艦へと接近していた。
「観光と思って遊びに来たんですけどねぇ……いやぁ、どうしてこうなりましたか……」
「今更何を愚痴ってるのよ」
「確かに面白くはなってきましたが、私はただのアイドルなんで」
「良いんじゃない戦うアイドルで」
「うーん、字面から受けるイメージと違いますねぇ」
 アリア・ファールスはスポーンの力で生み出した触手で示翠 風を絡め取り、強化スーツのブースターで海面を滑るように進んでいく。

 触手で風ちゃんを絡め取る!? 卑猥な目的ではない触手の活用に無知シチュの興奮を覚える罪深き者を許したまえ。プロットに『世話焼きアリアママの手取り足取り触手教室』とかいう謎のワードを書いた奴はどこのどいつだ。「厭になるわねぇ……ほんと、救えない馬鹿ばかりなんだもの」というメッセージはまさかメタ的にそいつへの罵倒では? ありがとうございますありがとうございます! あっ、違うんです私じゃないんです!

 変態がトリップしている間にも状況は進む。
 アリアは無事に気付かれず艦橋付近に着地した。
「ここからは別行動ね」
 触手から風を下ろすと、アリアは足早にどこかへ行ってしまう。
「こんな戦線のど真ん中に放り出されると困るんですけどー……と、言ってる暇はねーですねぇ。やれることをやりましょうか」
 風はふと此処がどこであるかを思い出した。
「量子の海なら近道させてもらいますかね」
 檣楼からであれば開けた船上全体を見渡せる。座標を定めて自分の身体を瞬時に転送した。
 派手な動きに出るためには陽動が必要になる。輸送艦までの道を作ったシンが第一の囮だ。
「どうやら始まったみたいですねぇ」
 第二の囮であるアリアが暴れ出したようで輸送艦の警報が鳴り響いた。
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