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<スカイドレイクII>高空の神島

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<スカイドレイクII>高空の神島
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~ 神話時代の終わり ~

「あー、あー……わしらがカミさん――カミさん言うても嫁はんやあらへんで、怒ったら怖いのは同じでも――の御使いやなんて、買いかぶりもええとこや」
 蝋燭の炎が神妙に照らす空間に響いた声は、場違いなおどけた声だった。
 試練に向かった者たちが退出した後も、広間には威厳ある象頭の大王を筆頭に、抜け目ない猿頭のバラモン――神官たちが並んで目を光らせている。しかも、協力を要請するため押しかけてきて、頭を下げねばならないのは自分たちのほうなのだ……そんな中で空気も読まずに好き放題喋り散らかすとはこの松本 留五郎という男、どれほど肝が据わっているものだろうか? もしも彼らの不興を買えば、決してただでは済まされないぞ……心配性じみて何やらぶつぶつ呟くクラウディオ・トスティの内心にもかかわらず、留五郎の独演会はまさに留まるところを知らぬといった風だ。

 けれどもこうした外来の異物こそ、神秘の中に安寧を貪る島々を、大きく変えるものであるのかもしれなかった。
 否、それは決して留五郎に限った話ではあるまい。かつてこの島を襲ったという“騎竜帝国”オルド・ハンの軍勢も、この島を訪れた特使艦隊も、全てそうした客人(マレビト)たちのひとりであることだろう。
 今、この“神秘の島”ナヴァアーラヤは、歴史の岐路に立たされている。すなわち――

 このまま誰とも関わりを持たずに、神話そのものの生活を続けるか。
 それとも広く世界と交わることで、いち国家として歴史を始めるか。

 けだし、その答えは誰かに強制されるものでなく、彼ら自身が選びとらなくてはならぬに違いなかった。しかし、彼らがこの“雲龍世界”の歴史の中で、おのずとそれを選ぶ時期に来ていることだけは真実であろう。
 ならば、特異者たちはつまびらかにするだけだ……その選択肢がはたしてどのようなもので、選べばどのような未来が待っているのか、と。
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